“人で勝負する銀行”のDX最前線!約900人の業務を変えたスマホ活用の舞台裏

株式会社仙台銀行

効果
  • 「ConnecTalk」連携によりスマホ内線化を快適に支援。ダイレクトなやりとりで「人の力を引き出す」業務環境へ
  • 電話帳のクラウド一元管理を実現し、いつでも最新の情報を全職員に共有可能に
  • 「行き先」機能も自然に定着。相手の状況が簡単にわかり、所在確認の負担やすれ違いが大幅減少
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経営企画部 DX推進室 三浦 若菜(みうら わかな)氏、同 室長 髙橋 悠飛(たかはし ゆうひ)氏 ※所属は2025年3月時点

「宮城県の中小企業の支援・育成」を経営理念に掲げ、地域社会からの信頼を重視する仙台銀行。「人で勝負する銀行」というビジョンのもと、人材を資本と捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業価値の向上を目指しています。
その取り組みの一環として、全職員へのスマートフォン配布と「PHONE APPLI  PEOPLE」(以下、PA PEOPLE)の導入を推進。従来の電話対応のあり方を見直し、職員同士が直接つながることで、コミュニケーションの即時性と業務効率が飛躍的に向上しました。
本記事では、導入の背景と選定のポイント、現場での活用状況、そして理念を支えるDXの取り組みについて、実際の声を交えてご紹介します。

──まず、所属されている経営企画部DX推進室のミッションと、お二人の業務について教えていただけますか。

髙橋氏 私たちDX推進室のミッションは、バンキングアプリなどの非対面取引の拡充や業務効率化施策を通じて、顧客利便性の向上と行内業務の最適化を実現することです。PA PEOPLEの導入・運用も業務効率化の一環で、全職員に配布しているスマートフォンを、安全かつ快適に使用するためのアプリとして利用しています。

三浦氏 私は室長の髙橋とともに、PA PEOPLEの導入検討から実際に導入されるまでの業務に携わってきました。PA PEOPLE等の業務アプリのほか、スマートフォンなどのモバイル端末自体の導入もおこなっています。

導入の背景:電話対応の限界と、情報管理の煩雑さ

──PA PEOPLE導入前には、どのような課題がありましたか?

髙橋氏 当時は固定電話が中心で、社用携帯(フィーチャーフォン)は限られた部署にしか支給されていませんでした。人事異動の際には、総務課が役職者の情報を更新していましたが、その他の職員については、使用者の把握・管理が難しく、職員が各自で対応していたため、電話帳の一元管理ができていませんでした。

──たしかに、人事異動も多いでしょうから、大量の情報を各自で正確に反映するのは困難だったことと拝察します。

髙橋氏 そうですね。頻繁に連絡をとる相手の情報だけ修正して、他は後回しにせざるを得ない状況だったと思います。それで、いざ必要になったときに連絡すると、異動により担当者が変わっていたことを知るという状況も発生していました。

──課題は他にもありましたか。

三浦氏 固定電話を使用していたので、営業担当者が外出中に電話がかかってきても対応できず、折り返しに時間がかかることも多かったです。一方で内務担当者は、伝言メモを残すなどの電話取り次ぎ業務に追われていました。

──電話のすれ違いや取り次ぎは、積み重なると負担が大きく感じるものですよね。

三浦氏 そうなんです。正直なところ、かなり負担に感じていました。自分の部署宛ての電話はもちろんなのですが、他の部署の代表電話についても、その部署の人たちが不在であれば代わりに出ざるを得なくて。ただ、用件をうかがっても自分では対応できず、内容によっては誰につなぐべきかさえ判然としないので、困ることがよくありました。その上、お客さまが急いでいる場合には、どうにかして早く適切な担当者に取り次がなくては……と、ストレスを感じる状況でした。

──とても軽視できない課題だったのですね。

髙橋氏 そうですね。それに、電話をすばやくとる人って、だんだんと固定化されていってしまって、不公平感を募らせる要因にもなったりしますよね。

──非常によくわかります。

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三浦氏

髙橋氏 そのような背景で、社用携帯の契約終了を機に、スマホを配布し、あわせて固定電話の撤廃とスマホ内線化を進めたんです。具体的には、ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク社)が提供する「ConnecTalk」というクラウドPBX/FMCサービスを導入することに決めました。

また、全職員へのスマホ配布、スマホ内線化にあたって、よりリアルタイムでの電話帳更新、端末故障時等のデータ安全性を確保するため、「クラウド上での電話帳一元管理」を実現する必要がありました。

──なるほど、そこでPA PEOPLEが解決策として登場するわけですね……!

髙橋氏 はい、その通りです(笑)。

PA PEOPLE導入の決め手:連携性と安心感

──PA PEOPLEを選んでいただいた経緯や理由をお聞かせいただけますか。

三浦氏 スマホ内線化を進めるなかで、ConnecTalkを提供しているソフトバンク社に電話帳管理の課題を相談したところ、ConnecTalkと機能連携できるクラウド電話帳サービスとしてPA PEOPLEをご紹介いただきました。

PA PEOPLE上で連絡先を見つけてそのままスムーズに内線発信ができる点や、内線着信時に相手の部署と氏名が表示される点が便利だと感じました。また、保留と転送の機能に対応していることも助かりました。こういったConnecTalkとの親和性の高さが、PA PEOPLEを選定した一つの大きな理由です。

髙橋氏 また、トライアルを実施した際、UIがシンプルで直感的に操作できるという声が多く、現場の反応も良かったです。操作方法のわかりやすさは、スマホ内線化という大きな変化が行内でなるべくスムーズに受容されるために重要だったので、これも決め手の一つでした。

三浦氏 さらに、以前から、部署内での名刺情報共有のために名刺管理ツールの導入も検討していましたが、費用対効果の面で断念していたため、PA PEOPLEなら1つのツールに名刺管理機能が統合されている点も、コスト面で非常に助かりました。

髙橋氏 もう一つ、金融機関での導入実績が豊富で、クラウド管理によるセキュリティ面の安心感も決め手になりました。以上のような様々な面から総合的に考えて、最も「使い勝手がいい」と判断したPA PEOPLEを採用することになりました。

業務改善の実感:「電話を取る」から「直接つながる」へ

──導入後、業務にはどのような変化を実感していただけましたか。

髙橋氏 まず管理上の観点からいくと、「電話帳のクラウドでの一元管理」をPA PEOPLE導入によって問題なく解決することができました。スマホ故障時のデータ消滅の懸念がなくなったほか、組織変更や人事異動の際に部署や役職を即時に一括で更新できるようになりました。

それにより、行内全体で最新の情報を共有でき、連絡を取りたい担当者を探す負担を減らすことができました。実際に、本部の職員からは「スマホで手軽に所属や役職が確認でき、コミュニケーションをとりやすくなった」という声が届いています。

──ありがとうございます。情報管理の改善が、利用者のコミュニケーションのとりやすさにもつながったのですね。

三浦氏 そうですね。また、利用者目線での一番大きな変化は、電話取り次ぎ業務の削減です。今では、職員同士が直接連絡を取り合えるようになり、第三者を挟まずにスムーズなコミュニケーションが可能になりました。

髙橋氏 スマホ内線化と併せて、名刺に記載する電話番号も代表番号から直通番号に変えました。それによりお客さま対応のスピードも上がり、お待たせする時間を減らすことができました。

──電話取り次ぎの削減が、行内だけでなく、お客様対応にも効果を及ぼしたのですね。

三浦氏 その通りです。本当に連絡をとりたい相手とダイレクトにやりとりできるようになったので、すれ違いのもどかしさが減り、スムーズな対応が可能になりました。本部・営業店問わず職員それぞれが、本来の仕事を進めやすくなったので、人の力を引き出すことにもつながっていると思います。その意味でこの取り組みは、当行が謳っている「人で勝負する」というビジョンの実現にも貢献できていると感じます。

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髙橋氏、三浦氏

──ビジョンの実現にもつながっているとのこと、大変光栄です。実感されている効果は、他にもございますか?

三浦氏 着信時に相手の氏名や部署が表示されるので、電話に出る前に心の準備ができるようになりました。人事異動が多いなかで、いつでも相手の最新の部署・役職が把握できるので、より安心して電話に出ることができるようになったと思います。

──リアルな状況が目に浮かびます。より安心でスムーズなコミュニケーションが実現できているのでしたら、とてもうれしいです。

髙橋氏 あと、「行き先」登録機能も活用されており、「会議中」「休暇中」などのステータスを簡単に共有できるようになりました。実は、導入当初にはこの機能をそれほど意識していなかったのですが、導入後に自発的に活用が広まっていきました。

PC環境では他のグループウェアでもステータスの共有をしているのですが、パッと手軽に登録・閲覧するにはスマホで使えるPA PEOPLEが便利だったようです。利用している本部職員からも、「行き先の登録により、他部署の職員の状況が把握できるようになり、無駄な確認や電話がかなり減った」という実感の声が上がっています。

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「行き先」機能の利用イメージ(スマートフォン上)

──その他、実際のご利用者からの感想などはございますか。

三浦氏 そうですね。他にも、「着信履歴や電話帳データからSMSに遷移できるのが便利」という声や、「業務上よくかける連絡先を行内外問わずグルーピングして登録できるのが便利」という声も届いています。

髙橋氏 営業店の職員も、「共有電話帳(名刺管理機能)の利用により、店内での取引先連絡先の共有が可能になり、異動時の引き継ぎもスムーズになった」といった実感を語ってくれました。

今後の展望:風土を生かし、さらに柔軟な働き方をめざして

──御行では、今回の一連の取り組みも含め、DX推進に力を入れていらっしゃるのですね。

髙橋氏 そうですね。これまでDX推進室では、今回のスマホ導入・内線化のほか、タブレットの導入など様々な起案をしてきましたが、いずれも経営層からは「失敗するかもしれないけど、挑戦してみよう」というマインドが示され、新しい取り組みが推進しやすい環境と感じています。

一般的に、こうした行内業務改善に関するツール導入などは「守りのDX」と言われ、営業ツールのIT化といった「攻めのDX」と比べて投資が控えめになりやすい分野ですよね。それでも導入に前向きなことからも、会社としてDXを本気で推進していこうという意志を感じます。

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髙橋氏

──失敗を恐れずに挑戦を促すような雰囲気があるとのこと、とても素敵ですね。

髙橋氏 ありがとうございます。人を成長させる風土や、心理的安全性と呼べるような風土は、働くなかでよく実感しています。例えばDX以外にも、若手職員の育成施策として、県外の企業の施策を学ぶために取材に行くようなプログラムが実施されるなど、チャレンジ精神を育むような取り組みが多く行われています。

三浦氏 背中を押してくれるような、温かい人が多いなという感覚は、私もずっと抱いています。

──働き方や会社のあり方について、今後より改善をめざしたい部分があれば、教えてください。

髙橋氏 そうですね、当行の組織風土としては変化に対して非常に前向きなのですが、その反面、まだまだ制度化が追い付いていない面があります。テレワーク環境についても、インフラ面では整っているのですが、制度面ではまだ課題が残っているため、より柔軟な働き方を目指していければと思います。また、モバイルインフラが整いつつあるため、この基盤を活用したさらなる機能拡充を前向きに検討していきます。

三浦氏 PA PEOPLEに関しては、職員間のコミュニケーションをさらに取りやすくするため、顔写真や担当業務の登録を進めたいと考えています。職員自身での登録をよりしやすくなるために、操作性のさらなる向上にも期待しています。

──ありがとうございます。今後も御行のみなさまのよりよい働き方に貢献できるよう、サービスをブラッシュアップしてまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました。

株式会社仙台銀行

業種 金融

従業員数 895名(嘱託/臨時従業員を含む)

導入サービス
PHONE APPLI PEOPLE