“あの人はどこ?”で、もう困らない!メガプレートオフィスで社員の居場所を見える化

株式会社梓設計

効果
  • 5300㎡のメガプレートオフィスで全社フリーアドレス化
  • 「誰がどこにいるかわからない」不安を居場所見える化で解消
  • テレワーク時のステータス確認も容易に
左)情報システム部 主任 出井秀明氏、右)総務部 総務G グループリーダー 山口功二氏

 仕切りのない広大なフロアに多くの社員を配置する「メガプレートオフィス」。社内全体を容易に見渡せる空間を作り、フリーアドレス制と併用することでフラットなコミュニケ―ションを促す新たなオフィスデザインとして、例のないチャレンジングなオフィスである。

 20198月に本社機能を移転した梓設計の新オフィス「HANEDA SKY CAMPUS」は、そのコンセプトを体現したものだ。

 約100m×65m、総面積は5300㎡にもおよぶ物流倉庫内の1フロアに本社機能を集約し、約450名の社員がフリーアドレスで働いている。個人で作業を行うワークスペースからミーティング用のオープンスペース、カフェテリアなど、業務内容・目的ごとに選べる様々なエリアが設置されており、それらを滑走路に見立て“ランウェイ”と名付けた横断路が結ぶ。階高も6.6mと高く、非常に開放的な空間だ。

 この新オフィスは梓設計にとってチャレンジの場だと語るのは、情報システム部 主任の出井秀明氏だ。「広いフロアでみなフリーアドレスで働く新しいかたちを目指す。ITツールの活用も含めて、どんな新しいことができるのかを検討した」。数年来取り組んできた働き方改革をさらに進展させることはもちろん、生業とするオフィスデザインの観点から「前例のない広大なオフィスで人の働き方や居場所、移動の仕方がどのように変わるのか。それを示す統計的なデータを収集したいという目的もあった」という。

フリーアドレス化には、位置情報の表示が必要不可欠

 ただし、それを実現するには解決しなければならない課題もあった。「ある程度空間が閉じている状態とは異なり、誰がオフィスに来ているのか、どこにいるのかがわからなくなるのではないかという不安があった」(出井氏)のだ。これを解消するため新オフィスに導入したのが、スマートフォンやノートPCから得られる位置情報を使って社員の居場所を可視化する「PHONE APPLI PLACE(旧:居場所わかるくん)だ。

 梓設計は、移転前の旧オフィスにおいて4年前から段階的にフリーアドレス制を導入、実践してきた。文書の電子化など、働く場所の自由度を高めるために必要なITツールも合わせて活用することで、「社員からはよい反応を得ており、全社フリーアドレス化に向けた機運も高まってきていた」と総務部 総務Gのグループリーダーである山口氏は振り返る。

 こうして段階を踏みながらフリーアドレス化をベースとした働き方改革を進めてきたが、そこで顕在化したのが「誰がどこにいるのかわからない」という課題だ。メガプレートへの移転と全社員フリーアドレス化を控え、社員が互いに居場所を簡単に把握できるシステムの導入が不可欠だった。

支社にも展開、本社との連絡も便利に

 移転プロジェクトを進めるなかで、様々なベンダーの屋内位置情報システムを検討。PHONE APPLI PLACE(旧:居場所わかるくん)を採用する決め手となった理由の1つが、Wi-Fiで位置を特定できることだった。

 他社システムの多くは、ビーコンを用いて社員のデバイス位置を特定する仕組みであり、「オフィスが非常に広いので、グリッド状にビーコン受信機を置いていく方式が適するのか疑問だった」(出井氏)。一方、PHONE APPLI PLACE(旧:居場所わかるくん)はビーコンだけでなく、Wi-Fiによる位置検出にも対応するうえ、梓設計が採用しているシスコシステムズのネットワークインフラ「Cisco Meraki」をサポートしていた。

 新本社は30台弱のアクセスポイントでフロア全域をWi-Fiエリア化しており、全社員がiPhoneとノートPCを使って働く。日常業務で使うそのWi-Fiを居場所の特定にも使えるのは好都合だった。同僚や上司・部下に連絡をとりたい場合は、iPhoneのアプリ画面から相手を検索すると、下画面のようにオフィスレイアウト図の上に現在位置が表示される。出社していることを確認したうえで電話することができ、もちろん直接会いにいく場合でも迷うことはない。

 新本社に導入したこの仕組みは、その後、支社・事業所にも展開した。派遣・契約社員も含めて約800人がPHONE APPLI PLACE(旧:居場所わかるくん)、ならびにコミュニケーションポータル「PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)を利用している。「支社も含めて全員がiPhoneを持ち、Wi-Fiもあるので問題なく導入できた。支社から本社の社員に電話をかけるときにもすごく便利だと、よく使われている」(出井氏)そうだ。

コロナ禍でのテレワーク時も「本社にいる・いない」が即座にわかる

 こうしたオフィス環境を整える一方で、梓設計ではテレワークやサテライトオフィスを活用した働き方も志向している。本社移転から約半年後の2020年初頭、新型コロナウイルス感染症の拡大により期せずしてその取り組みが加速した。「緊急事態宣言下では必要最小限の社員のみ出社し、基本は完全在宅。解除後も在宅を推奨しており、現在は出社率が4割程度」(出井氏)という。

 そんなコロナ禍においても、PHONE APPLI PLACE(旧:居場所わかるくん)をはじめとするITツールは貢献している。「移転と同時にノートPCを配布し、社外からもアクセスして働ける環境を目指していたので、ほぼそのまま対応できた」と山口氏。出井氏も「iPhoneで簡単に社員の位置が把握できるので、在宅で働くときもオフィスに誰がいるのか、いないのかが明確にわかる。それだけでも使う理由がある」と評価する。

 メガプレートへの移転と全社フリーアドレスの導入に加えて、大量の社員がテレワークに移行するという大きな変化を経験するなか、通常であれば社員は少なからぬ不安を抱えることとなっただろう。そこに安心感を与えることができたと山口氏は振り返る。「メガプレートオフィスにふさわしいシステムを入れられたと思っている。このオフィスには社員の安心感が必要で、『誰がどこにいるのか把握したい』という要望に移転時から応えることができた」。顔写真付きで社員のステータスを確認できるPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)も含めて、期待以上の効果を実感しているという。

株式会社梓設計

業種 設計業

従業員数 625人

導入サービス
PHONE APPLI PEOPLE
PHONE APPLI PLACE