出光興産グループ約1万4,000人のコミュニケーション円滑化を実現~「Microsoft 365」「Box」「PHONE APPLI PEOPLE」を経営統合のコミュニケーション基盤の中核に~

出光興産株式会社

効果
  • 昭和シェル石油との経営統合に伴い、グループ間コミュニケーション活性化を推進
  • コロナ禍での「出社率抑制、リモートワーク対応」に活躍
  • グループ間コミュニケーション基盤の中核として、「Microsoft 365」「Box」と連携利用
情報システム部 共通IT推進課 課長の澤井隆慶氏(中央)、松本祐介氏(左)、篠原賢司氏(右)

社員の「なんとかしてくれ」をPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)で一発解決

 20194月に昭和シェル石油と経営統合した出光興産は、統合によるグループ間コミュニケーションの活性化を推進。グループ間のコミュニケーション基盤の中核として、「Microsoft 365」「Box」に加えて、「PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)」の導入を進めた。

 中でも、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)の導入検討を始めたきっかけは、実は社内からの “名刺管理ツールがほしい”という要望だった。複数のツールを比較検討するなかでコミュニケーションポータルとしての機能も兼ね備えるPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)に注目。

 情報システム部 共通IT推進課 課長の澤井隆慶氏は「PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)は『誰かに連絡をとるための入り口』になるもの。それなら名刺管理以外の課題も含めて、これで一気に解決しようと考えた」と当時を振り返る。

 導入も一気に進め、経営統合した昭和シェル、グループ社員も含めて約14000人が名刺管理機能に加えて、連絡を取りたい社員の電話番号検索・発信、さらにMicrosoft Teamsのチャット連携機能などを使った社内コミュニケーションのポータルとして活用している。

「PHONE APPLI PEOPLE」(旧:連絡とれるくん)PC・スマートフォン表示画面

 導入前、出光興産はどんな課題を抱えていたのか。

 そもそも同社にはITツールを積極的に活用しようとする風土があり、その分、機能や使い勝手に関して情報システム部に寄せられる要望も多いという。情報システム部 共通IT推進課の松本祐介氏は、「社員が真面目にITを使い倒す。そのため、アレができない、こうしてくれというリクエストが次々出てくる」と話す。

 PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)導入前に社員が使っていた共通電話帳や拠点の住所録についても、改善を求める声が上がっていた。例えば、「電話帳は番号が検索できるだけで発信に手間がかかること」、「メールアドレスや住所を検索する際にはそれぞれ別のファイルを探さなければならないこと」などだ。

 また、約9000人の社員に配付しているiPhoneの電話帳管理にも問題があった。iPhone内の電話帳には各社員の所属部署内のデータしか登録しておらず(全社員を登録するとデータが多すぎて混乱するため)、「他部署からの電話を着信した時に発信元の部署や名前がわからないこと」も改善したかったことの1つだ。

こうした数々の課題は、「クラウド側で連絡先データを一括管理するPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)を導入すれば解決できてしまう」と澤井氏。電話番号や勤務する拠点などの情報をクラウド上で一元管理でき、社員は検索結果からそのまま電話やメールの発信、Microsoft Teamsのチャットまでできる。電話着信時の発信元表示も可能だ。

 特に、データの集中管理が可能になることによる効果は大きい。従来は、社員が異動した際のiPhoneへの電話番号の追加や、デバイス変更時のバックアップ・データ移行作業を個々の社員が行っており、負担が大きかった。これもPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)の導入後は情報システム部門が部署ごとに整理された連絡先データを一括管理し、各社員はiPhonePCからそこにアクセスすればいつでも最新の情報を使ってコミュニケーションがとれるのだ。

 このように「面倒だ、なんとかしてくれという社員の声が一発で解決できる」(澤井氏)という手応えが、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)採用の大きな決め手になったという。

コロナ禍のリモートワーク対応に効果

 新型コロナウイルス感染症対策のため出社率を大幅に抑制する最中、20204月にPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)を全社一斉に展開した出光興産。「コロナ禍のリモートワークにおいて社員が密なコミュニケーションを行うのに、これが大きな役割を果たした」と松本氏は話す。

 社員から好評の理由は電話発信の効率化と、電話着信時の「発信元表示」だ。iPhoneアプリで連絡を取りたい相手の番号を検索した後、即座に電話発信でき、着信側は発信元の部署・名前を確認してから電話に出ることができる。「これがなかったらテレワークは大変だったろう」と松本氏。澤井氏も「PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)で、誰からの電話かがわかるようになったことはとても大事」と高く評価している。

 社員の大半がリモートワークの状況だったため、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)の機能や操作に関する説明会はオンラインで実施した。毎回200300人、トータルで数千人が参加。これは、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)の浸透を早めることにもつながったようで、「質問に応えながら、アプリをダウンロードしてサインインが完了ところまでウェビナーでやった。この手のツールは、サインインでつまずいて使われないケースも多いが、それをチャットでサポートすることで、誰でも使い始められる状況ができた」と松本氏。社員の期待も高く、“待ってました”という雰囲気で全社展開をスタートできたという。

予想外の使い方を現場社員が発案

 “ITを使い倒す風土は、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)導入後の使い方にも表れてきている。例えば、「社員だけでなく、よく連絡する取引先の情報も自動的にPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)に登録されるようにして、電話番号やメールアドレスがすぐに分かるようにしたいといった話が出てきている」と松本氏は話す。

出光興産は現在、販売店や特約店、サービスステーションとの間のコミュニケーションを効率化するための新たなポータルサイトを準備している。そこに登録されるアドレス情報をPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)に連携すれば、販売部門の担当社員は簡単に連絡先を探して電話できるようになる。また、部門内で取引先の情報がすべて共有されるので、担当が変わる際の引き継ぎ作業もなくなるなど様々な効果が見込める。

 通常のPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)の使い方としては、社外の取引先や顧客の情報は名刺管理で扱うのが基本だが、「名刺情報ではなく、社内の一部署のような感覚で取引先の情報を扱いたいというニーズが販売部門から出てきた」と共通IT推進課の篠原賢司氏は話す。こうした現場からのアイデアによって、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)の活用法が広がっているのだ。

 「情報システム部が予想もしなかった使い方」(篠原氏)は他にもある。PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)には施設アカウントも登録できるが、そこに、よく利用する施設の連絡先を登録して社員間で共有している。例えば、製油所に赴く際に使う現地のタクシー会社の電話番号を製油所に関連付けて登録しておけば、その製油所を訪問する社員は簡単にタクシーを呼べる。これも「社員が勝手に使い方を開拓した」ものだ。

 このように使い方が広がっていくのも、社員からのPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)の評判と期待が高いからだと松本氏は話す。「導入をアナウンスしてから実際に使えるようになるまで、いつから使えるのか”“早く使いたいというすごく問い合わせが多かった」という。それだけ社内コミュニケーションや名刺管理に関する課題感が大きかった証左であり、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)はその期待に十分に応えていると言えるだろう。導入後まだ1年に満たない中でも社内外のコミュニケーションにすっかり浸透している様子。今後、さらに応用範囲も広がりそうだ。