キーワードは「自己開示」「楽しむ」「つながり」。理想の組織風土を実現する計画的なツール活用法とは!?
ユニアデックス株式会社
- 効果
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- PHONE APPLI THANKSの利用開始が、めざす組織風土を再発進する絶好のチャンスに
- 多様性・心理的安全性を高めるために、感謝・称賛文化の定着を促すツールとして活用
- PHONE APPLI PEOPLEプロフィール機能とPHONE APPLI THANKSのダブル活用で、心理的安全性の高いコミュニケーションの場づくりに成功
課長 大津 麻由美(おおつ まゆみ)氏、水上 智遥(みずかみ ちはる)氏、八賀 嘉彦(はちが よしひこ)氏
同社は2021年から段階的に「PHONE APPLI PEOPLE」(以下、PA PEOPLE)を利用開始し、コミュニケーションの利便性を高めてきた。2024年5月からは利用範囲を全社に拡大し、PA PEOPLE のサンクスカード機能「PHONE APPLI THANKS」(以下、PA THANKS)も活用して、感謝・称賛文化の定着に役立てている。取り組みの具体的な施策と成果について、人事部のご担当者にお話をうかがった。
ミッションは企業理念「ユニアデックス・フィロソフィー」浸透とダイバーシティーの推進
──まずは、みなさまの自己紹介をお願いいたします。
大津氏 人事部コーポレートコミュニケーション推進室働きがい推進課で課長をしている大津麻由美です。以前は営業をしていて、4年前に人事部へ異動し、現在の課でマネジメントをするようになって3年目です。
八賀氏 PA PEOPLE および PA THANKS 利用推進の主担当をしている八賀嘉彦です。中途入社してから十数年、エンジニアとして現場で働いて、その後、経営企画部を経て人事部へ異動し、主に社員教育の分野で仕事をしてきました。
水上氏 八賀さんとともに PA PEOPLE、PA THANKS の推進を担当している水上智遥です。新卒入社してから2年間、エンジニアとして中部支店で勤務していました。今年の4月に念願が叶って人事部へ異動し、もうすぐ1年が経ちます。

──「働きがい推進課」という組織名が印象的ですが、どのようなミッションをお持ちなのでしょうか。
大津氏 企業理念である「ユニアデックス・フィロソフィー」(以下、フィロソフィー)の浸透と、ユニアデックスにおけるダイバーシティー(多様性)の推進が主なミッションです。
4年前にユニアデックスのあるべき風土を考え直す全社横断プロジェクトで、フィロソフィーに含まれる「ビジョン」の内容を刷新しました。その後、プロジェクト終了後にビジョンの浸透を継続的に図っていくための専任の組織として働きがい推進課が発足しました。

PA THANKS を利用開始した背景とは?
──感謝・称賛の贈りあいを推進する活動は、どのような背景で始められたのでしょうか。
大津氏 感謝しあう文化については、数年前から人事部で推進していました。サンクスカードの取り組みも2014年からしているんです。当初のツールは「Outlook」で、その後はタレントマネジメントシステムの機能などを利用していました。
──2024年度から PA THANKS を利用し始めたのには、どのようなきっかけが?
大津氏 当社では2021年から PA PEOPLE を社内連絡先のハブとなるコミュニケーションポータルとして利用していたので、同じツールでサンクスカード機能も使えるのがいいなと。
水上氏 また、スマホでも使えるという点も理由でした。以前のシステムはPCのみで利用できるものだったので、PA THANKS に切り替えてすごく便利になりました。
八賀氏 それと、派遣社員に利用を広げられる点も大きかったです。もともと現場の社員から要望が寄せられていたのですが、従来はシステム運用の都合上、派遣社員にはライセンスを付与するのが難しく、困っていたので。
PA PEOPLE ではもともと雇用・契約形態の垣根を超えたコミュニケーションをとることを想定されているため、費用や機能の点でも派遣社員にライセンスを付与するハードルが低く、助かりました。

事業が好調な今だからこそ、感謝・称賛文化の定着が必要
──昨年(2024年)、感謝・称賛をテーマとした研究者である正木郁太郎先生と、御社の田中建社長による対談(本記事末尾にリンクを掲載)を実施されましたね。そのとき、田中社長に「御社の事業と感謝・称賛の文化の推進は、どう結びついているとお考えですか」とご質問したところ、要約すると次のように語ってくださいました。
“リモートワークが社会的に浸透し、お客様の環境整備の需要が増えたため当社の事業は好調です。しかし一方で社員は多忙になり、ともすると目の前のことを1人で抱え込み、組織としてバラバラになってしまうと思います。そんな今だからこそ、仕事仲間との気軽な感謝や称賛の交わしあいを増やして、ふとしたときに支えあえるようなつながりを再認識することが大切なのではないでしょうか。”
大津氏 この話を聞いて、本当にそうだなと。社員から「忙しい」という声をとてもよく聞くんですけど、忙しくて疲れていると余裕がなくなりがちですよね。そんなときに、自分の仕事や行動を見てくれている人がいると、少しほっとすると思うんです。その意味でサンクスカードを受け取る瞬間は、自分の業務のやりがいを感じたり、よりよい未来のことを考えたりするきっかけにもなると思います。
PA THANKS の利用開始が、めざす組織風土を再発信する絶好のチャンスに
──理想の組織風土をめざすにあたって、PA PEOPLE や PA THANKS をどのように役立てていらっしゃるのでしょうか。
大津氏 まず、PA THANKS 利用開始のタイミングは、めざす組織風土を再確認して発信する絶好のチャンスでした。新しいサンクスカードツールを使い始めるという注目度の高い状況で、社長からユニアデックスをどんな会社にしたいのかという想いを、イントラネットで公開している「経営だより」であらためてメッセージを発信できたことはとても重要だったと思っています。

──利用開始直後から利用率が高かったのは、こうした発信の効果でもありそうですね。
八賀氏 さらにいうと、社長自ら頻繁にサンクスカードを贈っていて、それを PA THANKS 上で全社の誰もが見られるので、社員の納得感が高まったと思います。社長の発言と行動に共感してくれた人が自分も使ってみようと思ってくれたことで、利用が増えたのかなと。
水上氏 そういった共感を、サンクスカードで表してくれる人もいます。社長から社員に向けた今年(2025年)の「年頭あいさつ」に関して、あるエンジニアから社長にサンクスカードが贈られました。それを読むと、その方が感謝と称賛を大切にする文化にすごく共感されたことが伝わってきたんです。
──贈られたカードに、社長もハートマークのリアクションをつけていらっしゃって、とても和やかですね。

多様性・心理的安全性を高めるために、感謝・称賛文化の定着を促すツールとして活用
──経営だよりによる理想の組織風土の再発信のほかにも、様々な施策を計画・実行されたとうかがっています。取り組みの全体像を教えてください。
大津氏 まず、最初にしっかりと目的を再確認しておけたのが、様々な施策を実行していくうえでのポイントでした。目的とは、先ほども触れたフィロソフィー(企業理念)と、コーポレートメッセージの「同じ未来を想うことから。」の実践です。そのためには「個を認めあい、想いを伝えあう会社」になること、言い換えると多様性と心理的安全性の高い状態を作っていくことが必要です。
そのための第一歩として、感謝や称賛の伝えあいを大切にする文化を根付かせようとしています。さらに、この文化の定着にとって必要な要素とは……と考え、「自己開示」「楽しむ」「つながり」の3要素に重点を置こうと整理しました。

「自己開示」「楽しむ」「つながり」の3要素に PA PEOPLE と PA THANKS で働きかける
──その3要素に注力して働きかけるツールとして、PA PEOPLE と PA THANKS を活用されたのですね。
大津氏 そうです。まず「自己開示」を促すきっかけとして、PA PEOPLE へのプロフィール登録を推進しています。また、「楽しむ」要素として、同じくプロフィールや PA THANKS を積極的に使ってもらうことで、自分らしさを表現する機会と、他者の活躍を知る機会を創り出すことをねらいました。「つながり」については、仕事上はもちろん、業務外のつながりや部門を超えた関係も深めることをめざして、オープンで気軽なサンクスカードの贈りあいを推進しました。
──目標設定はどのようにされたのですか。
大津氏 まずはサンクスカードの利用を促すことに注力して、PA THANKS 利用率(サンクスカードを送信または「いいね」した人の割合)の目標値を設定しました。目標達成に向け、年度当初に立てた年間スケジュールに沿って定期的にキャンペーンを開催してきました。
文化の定着には、計画的・継続的な働きかけが必須だと実感
──目標の達成具合はいかがでしょうか。
八賀氏 中間報告の段階ですが、PA THANKS 利用開始から8カ月間で、月ごとの利用率は約2.62倍に上昇しました。また、参考値として閲覧率(サンクスカード送信や「いいね」はしていないが、ログインした人の割合)も確認しているのですが、これも導入当初の44.8%から76.5%まで到達しました。
──良好な結果を出せている要因は、どのようなものだと思われますか。
大津氏 利用率・閲覧率が導入直後からわりと高かった理由には、経営トップから導入意図をしっかりと発信し、社長が積極的にツールを利用している姿を見せられたことが影響していると思います。
また、そこからさらに大きく伸ばすことができたのは、やはり計画的に継続して施策を打った結果だと思っています。毎月の推移を追い、全社的に利用促進するイベントを行えば数字がグッと上がるけれど、イベントがないと伸び悩むというのは、この約1年の活動で明らかにわかってきたことです。

利用率を高めた具体的な施策例とは?
──具体的には、どのような施策を実行されましたか。
大津氏 例えば、導入意図とツール利用法を学んでもらう社内勉強会の開催、部門別利用率の発表、サンクスカードを受け取った人が他の人に贈る「サンクスリレー」の開催、新入社員による利用促進キャンペーン、社長対話会の実施、オリジナルステッカーの配布などです。
サンクスリレーがもたらした利用率アップと“意外な喜び”
──特に効果的だった施策はありますか。
八賀氏 2024年8月に、PA THANKS の認知度を高めるねらいもあって実施したサンクスリレーは成功しました。サンクスカードを受け取った人が、リレー形式で他の人へとサンクスカードを贈ってもらうという企画です。実施月は利用率がすごく高まったのと(前月と比較して16%アップ)、その月を境に、月ごとの投稿枚数が実施前の月よりも増えました。
スタート時は、全部門が取り組みに参加してもらうために人事がガイドしました。まず社長から全役員にサンクスカードを贈る、役員から各部門長にも贈る、とつなげてもらいました。それ以降は、社員相互に自由に贈りあってもらい、網の目のように広げていってもらいました。
──カードの送付を後押しするような工夫はされましたか?
八賀氏 部門ごとの利用率を競ってもらうというゲーム的要素も加えました。最も高い利用率だった部門を表彰し、副賞として、親会社であるBIPROGYのバドミントンチームに当時所属していたワタガシペア(※)にサインをしてもらったバドミントングッズをプレゼントしたんです。表彰したときは、ベタですが盛り上がって、喜んでくれていましたよ(笑)。
※ 混合ダブルス 渡辺勇大・東野有紗ペア。オリンピック2大会(東京・パリ)連続銅メダルを獲得する快挙を記録し、2024年8月にペア解消。
──サンクスリレーに参加された方の感想や意見などは届いていますか。
大津氏 受け取ったカードを見て、「この人、こんなことを自分に対して思ってくれていたんだ」という意外な喜びを得たという話を聞いています。例えば、社長から常務執行役員の橋本博文さんへ贈られたサンクスカードのメッセージにも、意外な称賛が書いてあったようです。「社長が私の仕事についてこんなふうに言ってくれて、うれしかったよ」と橋本さんが周囲に話しているのを見て、1枚のサンクスカードが仕事上の関係性をよくするということがあるのだなと感じました。
八賀氏 役員同士が理解しあっているのを見ると社員の会社に対する信頼が増しますし、共感も生まれやすいんですよね。トップダウンのリレーというと強制感があって抵抗を感じる場合もあるかもしれませんが、あえてそれをやる意味があったと考えています。
社内の遊び心をくすぐるオリジナルステッカー
──その他の施策については、いかがでしょうか。
大津氏 「楽しむ」「つながり」の施策の一環で、ステッカーも作りました。
八賀氏 全国に4つの大きな拠点があるので、それぞれのご当地ものをあしらったデザイン4種類と、フィロソフィーの文言を載せた4種類、そして「THANK YOU」と書いてあるデザインもあります。で、これはレアなやつ(笑)。
──わ、キラキラしていますね!(笑) もらったらうれしいですね、これは。

PA PEOPLE/PA THANKS のダブル活用で、心理的安全性の高いコミュニケーションの場を実現できた「社長対話会」
──これらのステッカーは、どのような場面で配布されるのですか?
大津氏 新入社員配属時に配布したほか、社長対話会の参加者にも配布しました。対話会の様子がこちらです(下の写真)。「組織風土とマネジメントと経営」をテーマにディスカッションして、それぞれの捉え方の違いを知り、認めあう時間となりました。2024年度は全部で8回実施し、各回の参加者は社長の他に10人、ファシリテーターは私ともう1人、人事部の課長が担当しました。

──参加者のみなさんも、田中社長も、いい表情をしていらっしゃいますね。
大津氏 はい、いいコミュニケーションがとれていました。自分の現場の働き方を、課題感を含めて社長や周りの組織のメンバーに伝えるときには、心理的安全性が重要になってきますよね。心を開いて議論するにはやっぱり、社長も参加者も「自己開示」をすること、つまりお互いの人となりをある程度伝えあっておくことが大切だと思うんです。
そこで、対話会の冒頭では、PA PEOPLE のプロフィール機能を使って全員が自己紹介をしました。業務の概要だけでなく、人となりが伝わるような自己紹介の時間を大切にできたことは、その後のディスカッションでの、率直で温かい意見の交わしあいにつながったと思います。
──ありがとうございます。PA PEOPLE は「自己紹介をしやすくするツール」という側面もありますので、そうした活用法もどんどん広めたいです。
大津氏 私たちも続けていきます。また、対話会終了後には、参加者同士でサンクスカードを贈りあうことも推奨しました。そこでも参加者の思いが見られてすごくよかったです。そういう意味で、PA PEOPLE と PA THANKS は、開始から終了後にまでわたる、心理的安全性の高いコミュニケーションの場づくりに役立ちました。
今後の展望:社員1人ひとりがフィロソフィーを実践できる、多様性・心理的安全性の高い組織をめざして
──来年度も見据えて、今後はどのような活動を展開される予定ですか。
八賀氏 PA PEOPLE と PA THANKS の利用率は上がってきましたが、まだ伸びしろがあります。また、より効果を発揮するために、PA PEOPLE へ社員の顔写真登録を本格的に進めていく予定です。
水上氏 社内での問い合わせなど、特に初めて連絡をとるときには、顔写真の存在は大きいんです。私も実際に最近、初めて連絡する相手がどんな方なのか気になって PA PEOPLE の顔写真を見ました。心の準備がだいぶ、進みますよね。プロフィールに詳細な情報が載っていればもっとよかったのですが、そのときにはまだ登録がされていませんでした。
八賀氏 そういうことが社内の他の場所でも日々起こっていると思うので、注力して取り組んでいきます。また水上の例でもそうですが、プロフィールの登録もまだまだ増やしていく必要があります。
自己紹介や自己開示って、“自分のために” もあるけど、“相手のために”というのが大きいのかなと。自分のプロフィールを見た相手が、コミュニケーションをとりやすくなって、仕事がしやすくなりますから。特に、新卒や中途で入社した社員は特に、他の社員のことがわからないじゃないですか。そんなときに顔写真やプロフィールがあると、仕事を進めるハードルの緩和につながるのではないかと考えています。
──おっしゃるとおりです。実際に当社で PA PEOPLE を利用しているなかで、私自身を含め、弊社の多くの社員もそのありがたみを感じてきました。
大津氏 “自分のために” だけでなく、“相手のために” って、いいですね、響きます。そのキャッチコピーでいきましょうよ、今後の推進は。
八賀氏 本当ですか?(笑) ではそんな感じで、がんばりましょう。
