IP電話の仕組みを図解でわかりやすく解説|固定電話やPBXの違いも説明

PHONE APPLI PEOPLE
2022.04.21

IP電話の仕組みを図解でわかりやすく解説|固定電話やPBXの違いも説明

「固定電話を使ってきたが、それに代わるものを検討したい」
「IP電話を導入したいが、どういうものなのか仕組みを知りたい」
「今使っている固定電話とIP電話は、何が違うのかがわからない」

導入企業が年々増加しているテレワークやISDNの「デジタル通信モード」が2024年1月にサービスを終了することから、注目されているIP電話。固定電話よりもコストを削減できる電話として知られています。自社でIP電話を導入する際は、仕組みや特徴などをしっかり理解したうえで、活用することがおすすめです。

そこで本記事では、IP電話の仕組みを中心に、以下のポイントをお伝えいたします。

ぜひ本記事の内容を参考に、IP電話への知識を深め、自社のIP電話導入にお役立てください。

IP電話の仕組み

IP電話のつながる仕組み

IP電話は、簡単にいうとインターネットを利用して通話ができるサービスです。さっそく、IP電話の仕組みについて順を追って確認していきましょう。

  1. VoIPゲートウェイを通じて、音声をIPパケットに変換
  2. インターネット上でIPパケットを受信する
  3. 着信側のVoIPゲートウェイがIPパケットを電気信号に変換
  4. 電話機やスマートフォンが音声信号に変換
  5. 接続にはSIP(シグナリングプロトコル)が必要になる場合も

1. VoIPゲートウェイを通じて、音声をIPパケットに変換

IP電話では、VoIP(Voice over Internet Protocol)という機械の言語を使い、音声情報を電気信号に変換します。その後、VoIPゲートウェイが電気信号をデジタル化し、IPパケットに変換してインターネット回線に流しやすい形にします。

VoIPゲートウェイとは?

VoIPゲートウェイは、IP電話の際に使用する機器です。VoIPはインターネット回線を利用して音声データを送受信する技術のことを指し、ゲートウェイは異なるコンピュータやインターネット間を中継する機器を指します。つまり、VoIPゲートウェイとは、VoIPを利用するためのゲートウェイのことです。

VoIPゲートウェイは、VoIPの技術で音声信号をデジタル化し、IPパケットに変換します。IP電話を契約すると貸し出される仕様になっています。

IPパケットとは?

IP(Internet Protocol)とは、インターネット上でのデータのやりとりを行う際の通信上の決まり(ルール)のことです。そしてパケットは、分割された小さなデータのまとまりのことをいいます。つまりIPパケットとは、IPに沿って分割されたデータのことを指します。

2. インターネット上でIPパケットを受信する

分割されたデータであるIPパケットは、インターネット回線を通じて着信側に届けられます。つまり、発信者と着信者を繋ぐ役割をしているのがインターネットです。

固定電話(アナログ回線)では、回線の途中で交換局を経由して通話をします。それに対しIP電話では、メールと同じルートでインターネット網を使って通話を可能にしています。

3. 着信側のVoIPゲートウェイがIPパケットを電気信号に変換

IPパケットが、インターネット回線を通じて着信側にたどり着いても、そのままの状態では音声として聞きとれません。音声として聞くためには、音声情報に復元させる必要があります。

着信側のVoIPゲートウェイが、分割された電気信号、つまりIPパケットを繋ぎ合わせて電気信号に変換し音声情報になります。

4. 電話機やスマホが音声信号に変換

VoIPによって変換された電気信号は、電話機やスマートフォンを通じて音声情報に復元されます。それにより、電話機から音声が出力され通話が可能です。IP電話はインターネットの普及によって注目され、データをデジタル化する技術によって実現しているのです。

インターネットは、データ量や機器の性能によって通信速度が変動します。その影響でIP電話では、発信者と受信者でタイムラグが出るといった現象が起こることがあります。

5. 接続にはSIP(シグナリングプロトコル)が必要になる場合も

SIP(Session Initiation Protocol)とは、VoIP用のプロトコルの1つです。SIPは呼制御(シグナリング)と呼ばれ、電話を接続したり切断したりするための処理をする際に用いられるものを指します。簡単にいうと、IPネットワークを使って相手に音声パケットを送るための、出入り口を作る役割をしているのです。

シグナリングにはいくつか種類があります。その中でもSIPが汎用性・拡張性が最も高く、多くの企業が採用しています。

IP電話の特徴

ここまでIP電話の仕組みについてお伝えしました。次にIP電話の特徴についてみていきましょう。IP電話の特徴は、主に以下のようなことがあげられます。

  • 050番号・0ABJ番号の2種類がある
  • LINEなど電話番号が不要なものも登場
  • 電話機をはじめPC・スマートフォンからも利用できる
  • 電話回線を使わないため料金を安く抑えられる
  • テレビ電話のような動画通信が可能
  • 不正アクセスの対策が必要
  • 音質がインターネット環境に左右されやすい

IP電話には2種類の電話番号があり、多くは050番号で、電話サービス事業者によって番号が異なります。インターネット回線を利用しているため、電話機をはじめ、PCやスマートフォンなど対応端末が幅広いことも特徴です。そのため、音声に加えてテレビ電話のような動画通信が使えます。

一方で、不正アクセスによる乗っ取りの被害も発生しているため、セキュリティ対策が必要です。インターネット回線を使うため利便性がよいですが、その分しっかりとセキュリティやネットワーク環境について、事前の対策をしておきましょう。

IP電話の特徴については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご参照ください。

IP電話と他の電話との違い

ここではIP電話とその他の電話の違い・特徴について簡単にご紹介します。



IP電話 固定電話 ひかり電話 インターネット 電話 IP-PBX
クラウドPBX
回線 インターネット アナログ 光ファイバー 公衆回線 LAN クラウド
利用形態 電話機
パソコン
スマートフォン
電話機 電話機
パソコン
スマートフォン
パソコン
スマートフォン
電話機
パソコン
スマートフォン
費用 ×
通話品質 × ×
緊急通報電話 × × ×
フリーダイヤル × ×
サービスによる

固定電話:アナログ回線の固定電話は、専用の電話線でつなぎ、通話者間における各地の交換局を経由して通話を行う。その分通話品質は安定しているが、IP電話に比べると導入費用や通話料が高く、遠方になるほどより高くなる

ひかり電話:インターネット回線でも光ファイバー網を利用。高い通話品質のため、固定電話番号の番号を引き継げる

インターネット電話:インターネット回線でも、IP電話のように専用回線ではなく、公衆の回線を利用した通話形式。そのため、電話番号が存在せず、使用するにはアプリケーションが必要

IP-PBX、クラウドPBX: IP電話を利用するときに必要なのがPBX(電話交換機)。IP-PBXはLANケーブル上に、クラウドPBXはクラウド上に、PBXを構築し機能させる

IP電話と他の電話との違いをもっと知りたいという方は、以下の記事で紹介していますのでぜひご参照ください。

IP電話導入のメリット・デメリット

IP電話を導入することによるメリット・デメリットも理解しておきましょう。

メリット

  1. 基本料金と通話料金が安い
  2. 同一プロバイダ間の通話が無料
  3. 電話加入権が必要ない
  4. 電話機を買い替える必要がない
  5. PCやスマートフォンを端末にできる
  6. 拠点の増減に対応しやすい
  7. さまざまなシステムと連携しやすい

デメリット

  1. 電話番号が変わる
  2. 緊急発信番号やフリーダイヤルに接続できない
  3. ネット環境によって通信品質が不安定になる
  4. 停電のときに利用できない
  5. 050番号は信頼性に欠けるイメージがある

特徴でもご紹介したように、導入時の費用負担やランニングコストが抑えられるという点が最大のメリットです。またIP電話は、回線の追加と削除を簡単にできるため、社員の増減にも柔軟に対応できます。

デメリットは、インターネット回線を使用しているため、ネット環境に通信品質が左右される、緊急発信番号など通話できない番号があることです。これらのデメリットについては、導入前に把握し対策を検討しておきましょう。

IP電話帳のメリット・デメリットについては以下の記事でより詳しく紹介していますのでご参照ください。

【コラム】IP電話の導入時に知っておきたい「Web電話帳」とは?

PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)

Web電話帳をご存知でしょうか?Web電話帳とは、簡単にいうと「電話帳をインターネット上で管理するサービス」のことです。電話環境を整備するためにIP電話を導入するのならば、Web電話帳も一緒に導入すれば業務の効率化にもつながります。

なぜならWeb電話帳は、社員や顧客の電話番号・所属会社名、部署名、メールアドレスなど電話帳の一元管理が可能だからです。さらには、従業員全員が必要な情報にすぐにアクセスできたり、着信者情報が表示できたりという特徴もあります

Web電話帳は次のようなさまざまなメリットをもたらしてくれます。

  • 着信表示
    端末の電話帳に登録がなくても、PHONE APPLI PEOPLEに登録されている番号の着信表示が可能
  • スマホ認証
    無許可のスマホではPHONE APPLI PEOPLEにアクセスできないようにすることも可能です。
  • セキュリティ万全で安心!
    セキュリティソフト(MDM:モバイル端末管理、MAM:モバイルアプリケーション管理)の導入が不要に!つまり、BYOD(私物の業務利用)でも安心・便利!
    ※プライバシーマーク 登録番号 第21001182号 取得、ISO27001 認証番号 MSA-IS-273 取得
  • 組織ツリーで従業員の基本情報を管理
  • 従業員や取引先の連絡先をクラウドで一元管理
  • 強固なクラウドサーバーによって社内情報を保守
  • 連続ログイン時、自動的にログイン不能とする「アカウントロック」機能
  • 登録を行ったデバイスからのアクセスのみを許可する「端末ID認証」機能

社内外のコミュニケーションがスムーズになるWeb電話帳。低コストで場所を選ばず使用できるIP電話と組み合わせれば、業務効率化だけでなく、テレワークやフリーアドレスの促進にもつながります。

WEB電話帳のメリットについては以下の記事でより詳しく紹介していますのでご参照ください。

【まとめ】IP電話の仕組みについて

本記事では、IP電話の仕組みについて以下のポイントを中心にお伝えしました。

  • IP電話は、そのまま音声を届けるのではなく、データをデジタル化して通話できるという仕組みになっている
  • データのデジタル化にはVoIPという技術を使用。音声をデジタル化しIPパケットへ変換し、インターネット回線を介して通話ができる仕組みである
  • IP電話の特徴は、050から始まる電話番号が多く、インターネットを介すためパソコンやスマートフォンでも利用可能
  • IP電話は固定電話や他の電話と比べると、使い勝手がよくコストが安い
  • IP電話は、運用がしやすく他のシステムとの連携がしやすいというメリットをもつ。一方で、ネット環境による品質の不安定さなどのデメリットがある

インターネットの普及や技術の発展によって、電話の形式も進化しています。IP電話は、固定された場所だけでなく、場所や端末を選ばずフレキシブルな電話対応ができます。一度、自社にとって最適な電話環境の構築を、検討してみてはいかがでしょうか。

ぜひ記事の内容を、IP電話導入にお役立てください。

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