IP電話とは?固定電話との違いや料金について詳しく解説
「IP電話と固定電話の違いについて知りたい」
「柔軟な働き方に対応するため、固定電話に代わるものを検討したい」
「IP電話導入の際に気をつけるポイントをおさえておきたい」
IP電話とは、IP (Internet Protocol)という通信方法を利用し、インターネットに接続して音声を届ける電話サービスのこと。IP電話を知ってはいるものの、固定電話や他の電話とどう違うのかをよく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、IP電話について、以下のポイントを中心にお伝えいたします。
ぜひ本記事の内容を参考にして、自社のIP電話導入にお役立てください。
またIP電話の基本を詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
IP電話と固定電話(アナログ回線)の違い
固定電話は「アナログ回線」と「インターネット回線」で接続するものがあります。アナログ回線とIP電話の違いは、音声通話をするネットワークの接続方法です。ここでは、アナログ回線の固定電話とIP電話の違いを6つお伝えします。
- IP電話は、音声をIPパケットに変換する
- IP電話の主な番号は、050番号・0ABJ番号の2種類
- パソコン・スマートフォンからも利用できる
- 料金を安く抑えられる
- さまざまなシステムと連携しやすい
- インターネット環境に左右されやすい
1. IP電話は、音声をIPパケットに変換する
IP電話は、音声をデジタル化してIPパケットに変換します。IPパケットがネットワークを介して相手に届き通話ができる仕組みです。インターネット上で音声データを送受信する技術をVoIPといい、IP電話を使う場合VoIPゲートウェイという機器を用います。
固定電話は、電話機をメタル線でつなぎ、自宅近くの電話局から相手近くの電話局まで、各地の基地局を経由して通話します。
2. IP電話の主な番号は、050番号・0ABJ番号の2種類
IP電話は主に050番号・0ABJ番号の2つに分かれます。
050番号
「050」から始まる11ケタの電話番号です。「050(IP回線)-(事業者の識別番号)-(加入者番号)」で表されるため、電話事業者を変更すると、電話番号も変更となります。
0ABJ番号
固定電話でも割り当てられる馴染みのある電話番号形式です。東京「03」など0から始まる10ケタの番号で、「(市外局番)-(市内局番)-(加入者番号)」と表されます。
3. パソコン・スマートフォンからも利用できる
IP電話はインターネット回線を利用しているため、電話機はもちろん、パソコンやスマートフォンからの利用も可能です。そのため、場所に縛られないテレワーク導入企業に向いているといえます。
また従来の固定電話は音声のみですが、IP電話ではテレビ電話のような動画での通信も利用できます。
4. 料金を安く抑えられる
IP電話は、インターネット回線でやりとりするため、電話加入権や設備整理などの費用が不要。基本料金、通話料金ともに安く抑えられます。またIP電話では、同じプロバイダ同士であれば、ほとんどの場合、通話料金がかかりません。
一方、固定電話は通話の際、基地局を経由するため遠方になるほど多くの局舎を中継するため通話料金が高くなります。また、電話加入権や設備整理などの費用も必要です。
電話の種類 | 初期費用 | 基本料金 | 通話料金 |
---|---|---|---|
固定電話 | 36,800円 | 1,500円?2,500円程度 | 約20円/1.5分 (距離に応じて) |
IP電話 | 2,000円前後 (工事費) | 無料?500円程度 | 約8円/3分 (全国一律) |
5. さまざまなシステムと連携しやすい
IP電話はインターネット回線でのやりとりとなりますが、固定電話は専用の回線を利用します。そのためIP電話は、さまざまなシステムと連携がしやすいです。
たとえば、社内の電話帳をWEBで一括管理すれば、簡単な操作で発信や着信者の確認もできます。また受発信履歴をシステムで管理したり、通話内容を録音したりなど、システムとの連携によって業務の効率化もできます。
6. インターネット環境に左右されやすい
IP電話は、インターネット回線を利用するため、音声品質がインターネット環境に左右されやすいです。たとえば、停電や大規模なネットワーク障害が発生すると、通話できなくなる可能性があります。一方固定電話は、専用の回線を使用するため、通話品質の高さ・安定さに優れています。
IP電話とひかり電話・インターネット電話・PBXとの違い
IP電話以外にも、インターネット回線を利用した電話があります。ここでは、それぞれの特徴とIP電話との違いについてお伝えします。
- ひかり電話
- インターネット電話
- IP -PBX、クラウドPBX
1. ひかり電話
ひかり電話は、光ファイバー網を用いた通信で、NTTや電力会社など通信インフラを所有する回線事業者が提供しているサービスのことを指します。固定の電話番号をひかり電話にもそのまま引き継ぐことができ、通話品質が高いというのが特徴です。
ただし、使用するためにはインターネット光回線の契約も必要となり、電話のみでの利用はできません。
2. インターネット電話
インターネット電話は、IP電話のような専用回線ではなく、公衆の回線を用いた通話形式です。わかりやすい例でいうと「LINE」がこれに当てはまります。そのため他の電話と違い、電話番号が存在しないことが特徴です。
電話番号がないため、普通の電話とは通話ができません。通話するには双方が同じ通話アプリを使用します。さまざまな対象者とのやりとりが必要になるビジネス利用よりも、プライベートでの利用の方が適しているといえるでしょう。
3. IP-PBX、クラウドPBX
PBXとは、社内に設置される電話交換機のことで、電話の機能そのものを表しているわけではありません。外線電話を特定の内線番号に転送したり、各電話機を外線に繋いだりする機能があります。IP電話を利用する際には、PBXに代表される「電話交換機」と呼ばれる機器が必要です。
IP-PBXは、既存のLAN上で機能します。電話機やパソコンなどの端末にIPアドレスを割り当て、LANケーブル上に内戦のネットワークを構築します。一方クラウドPBXは、クラウド上による電話交換機です。ネットワークに繋がっていれば場所を選ばずどこでも、内線や外線の取りつぎなどPBX機能が利用可能です。
クラウドPBXについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
IP電話導入のメリット・デメリット
自社に適した電話環境を構築するために、IP電話導入のメリット・デメリットも把握しておきましょう。
メリット
- 基本料金と通話料金が安い
- PCやスマートフォンを端末にできる
- さまざまなシステムと連携しやすい
デメリット
- 電話番号が変わる
- ネット環境によって通信品質が不安定になる
- 停電のときに利用できない
IP電話はインターネット回線を利用するため、導入やランニングコストが低いことが大きなメリットです。さらにはスマートフォンなど使用できる端末が豊富で、他のシステムとの連携がしやすいというメリットがあります。
一方で、プロバイダーを変更すると「電話番号が変わる」「通信品質がネット環境に左右される」などのデメリットもあります。
IP電話のメリット・デメリットは、以下の記事でより詳しく紹介していますのでご参照ください。
IP電話を導入する前におさえておくべき5つのポイント
ここでは実際にIP電話を導入するにあたり、事前におさえておくべきポイントをご紹介します。
- よく使う通話手段や連絡相手を確認する
- 事務所の移転やテレワーク導入の予定があるか確認する
- 強固な社内ネットワークを構築する
- ルーターやIP-PBXの設定を確認する
- 既存のFAXの規格を確認する
1. よく使う通話手段や連絡相手を確認する
まずは、自社がどのような電話環境なのかを確認しましょう。IP電話は基本料金や通話料が安いため、電話の使用頻度が高かったり国際電話を頻繁に使用する企業に向いているといえます。
また、同じプロバイダーの場合は通話料金無料のところが多いため、内線電話をよく使う企業にとっても有効活用できます。
2. 事務所の移転やテレワーク導入の予定があるか確認する
インターネット回線を利用したIP電話は、導入しやすく場所も選びません。そのため、事務所の移転やテレワーク導入の予定がある場合にも対応可能です。
例えば、業務拡大などで移転することになったとしても、プロバイダーを変更しなければ電話番号をそのまま使用できます。そのため、新しい事務所での導入費用や配線工事などの手間もコストも省けます。またIP電話はPCやスマートフォンでも使用できるため、オフィスでしか対応できなかった電話対応が、どこでも受けられるようになるのです。
IP電話がテレワークに適している理由は、以下の記事でより詳しく紹介していますのでご参照ください。
3. 強固な社内ネットワークを構築する
IP電話はインターネット回線を介した電話のため、ネットワーク環境を整えることが重要です。もし許容量を超えた場合、通話が途切れたり、ノイズが発生するなど通話品質が下がる可能性があります。
対策として、自社の現状を確認して必要に応じてインターネット回線の通信速度を上げる、回線の容量を増やすなど強固な社内ネットワークを構築しましょう。
4. ルーターやIP-PBXの設定を確認する
IP電話を使用する際はルーターを経由します。ルーターによっても通話品質が変わるため、現在使用しているルーターの確認が必要です。
また自社が使用しているPBXを、事前に確認する必要があります。IP-PBXを使用しているのであれば、自社の設定内容を調べましょう。IP-PBXの代表的な機能は、内線や転送機能、パソコンと連携して履歴を残すなど多くの機能があります。自社に必要な機能が選択できているか確認しましょう。
5. 既存のFAXの規格を確認する
IP電話でもFAXを利用することは可能です。ただし、FAXにはG3、スーパーG3、G4という3つの規格があり、一般的に普及しているG3であればそのまま使えます。
また、スーパーG3は相手もスーパーG3でないと送ることができず、G4はISDN回線を利用しているため2024年には使えなくなります。FAXを使用する機会が多いのであれば、必ず自社がどの規格なのか確認しましょう。
個人の携帯を業務用に活用できるサービス「PHONE APPLI PEOPLEビジネスナンバーセット」とは?
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【まとめ】IP電話について
本記事では、IP電話について以下のポイントを中心にお伝えしました。
- IP電話と固定電話(アナログ回線)の違いは、使用する回線が異なる
- 固定電話は、電話機をメタル線でつなぎ、各地の基地局を経由して通話を行う。そのため、遠方ほど料金は高くなる
- IP電話は、音声をデジタル化してIPパケットに変換し、ネットワークを介して通話ができる。そのため、コストを抑えられるので導入しやすい
- IP電話導入する前に、電話の活用状況やネット環境を確認しておくことで、適切な電話環境づくりができる
IP電話と固定電話との違いを理解し、IP電話の特性を知っておくことで、IP電話が自社に有効かどうか見極められるようになります。導入してから今までの電話との違いに慌てないよう、事前にどんな対策が必要なのかをチェックしておきましょう。
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