シアワセ会議 Vol.10 充実した毎日を送るために知っておきたい!睡眠とエンゲージメントの相互影響
パワーの源ってどこにある?
皆さん、今年の夏はいかがお過ごしでしたか。お祭りや花火などの夏らしい行事が、数年ぶりに復活した地域も多かったのではないでしょうか。活気が戻ってきて嬉しいですね。9月に入り一旦暑さが和らぐ日はあるものの、気象庁の1ヶ月予報によると、全国的に平年より気温が高くなる確率が約80%で、残暑が厳しい傾向にあるとか。まだまだ暑さで気力や体力が消耗されていると感じている方も多いかもしれませんね。
上期も残すところあと少し。心身の調子を整えながら9月を全力で駆け抜けたい、そして10月から始まる下期も気持ちいいスタートを切れるようにしたいと思い、東京屈指のパワースポット「神田明神」に行ってきました。ありとあらゆるご加護を求めて日本全国から参拝者が訪れることで有名ですが、私もパワーをもらうため参拝してきました。ついでに御守りも買って、神社声援(ジンジャエール)も飲んで、ご利益にあやかる気満々です(笑)!
※神社声援:神田明神様からの声援をお手元にというコンセプトで、心願成就のお祓いをすませた、ありがたいジンジャーエールだそうです。
神社だけでなく、公園や川原など都会の喧騒から離れて心身を落ち着かせることのできる空間っていいですよね。できることなら雄大な自然の中に身を置きたいですが、日常の中で手軽にリフレッシュできる場所や時間、自分のルーティーンを見つけるといいかもしれないですね。
仕事の効率を高めるには「ライフを見直す」ことが大切
近年、従業員のメンタルヘルスの不調は、業務効率や意欲の低下など企業の生産性に大きく影響するため、心身を健康に管理・維持する「健康経営」が注目されています。働き方の多様化に伴い、「仕事(ワーク)」と「生活(ライフ)」の明確な境界線はなくなり、「どちらかが充実すればもう一方も充実する」相乗効果の生まれる関係とされ、従業員の仕事面以外のサポートも健康経営に欠かせないと言われています。実際に私も、積極的にプライベートの時間を充実させて心身を整えると、仕事のパフォーマンスが向上したと感じています。しかしながら、企業が従業員のプライベートについて把握したり、行動変容を促すことは容易ではないですよね。
経営層や上司の視点からすると、プライベートの時間は充実してる?週末は何をして過ごしてたの?など部下に聞きづらいですよね。これらの質問は親しい間柄であれば聞けるかもしれませんが、職場の人にプライベートの時間について知られたくない、プライベートは自由にさせて欲しいと思う方もきっと多いはず・・・
「仕事(ワーク)」と「生活(ライフ)」は相乗効果の生まれる関係だと分かってはいるけれど、踏み込めない従業員のプライベート時間。そもそも、踏み込んだところでどれくらい効果があるのか?そのような課題や疑問がありますよね。そこで、今回はウェルビーイング企業を目指すPHONE APPLIが皆さまを代表して、従業員の「睡眠に関与してみることでエンゲージメントに良い影響を与えるのか」を実験してみました。
睡眠とエンゲージメントに相関はあるのか?
まず、なぜ睡眠に着目したのかをお話しますと、睡眠は、食事や運動と並ぶ健康の三大要素です。生活の中で多くの時間を占める睡眠を整えることはメンタルヘルス不調を予防し、健康経営につながることが期待できます。実際に、睡眠に問題がある場合とそうでない場合の生産性損失コストの差は、年間約32万円/?になると試算されています。(※1)その一方で睡眠は客観的に捉えることや短期間での変化が感じづらく、従業員の睡眠改善に向けた取り組みの優先度が上がらない傾向にあります。
具体的には、ICTを活用しデータで個々人の睡眠状況を可視化、睡眠の専門家の伴走というアプローチで従業員の行動変容を促し、睡眠改善につながるか。その結果が従業員のウェルビーイング=幸福度や睡眠充実につながるかという観点でPHONE APPLIはねむりのDXカンパニーNo.1をめざすNTT PARAVITAと実証実験を行いました。
睡眠改善プログラム開始時と終了時を比較すると、参加者全体において「睡眠の質」と「組織の幸福度」どちらも改善したことが確認できました!
以下、今回実施した、実証実験の簡単な概要です。
■実験概要
対象者28名(介入群13名・非介入群15名)
対象者全員の睡眠データを計測し、睡眠に関するセミナー視聴および睡眠に関する相談受付を実施。加えて、介入軍には「専門家からのオンライン睡眠改善アドバイス」を実施。
■測定方法
実証開始時と終了時に睡眠の質を確認する「アテネ不眠尺度」(※2)と組織の幸福度を測定する「Well-being Company Score」(※3)を実施。介入群・非介入群の比較で、睡眠改善サービスの有効性とウェルビーイングの相関性を検証。
■結果
開始時→終了時を比較すると
睡眠改善プログラム参加者全体の改善を確認いたしました。
▽「アテネ不眠尺度」(※数値が低いほど睡眠障害がない状態)
介入群6.15点→2.42点(▲3.73)
非介入群 5.93 点→ 4.92 点 ( ▲1.01 )
▽組織の幸福度を測定する「Well-being Company Score」 (※7点満点で7に近いほど幸福度が高い状態)
介入群4.15点→4.38点 (+0.23)
非介入群4.33点→4.67点(+0.34 )
休日明けに会社に行くのが楽しみになる!?
睡眠改善プログラム開始時と終了時を比較すると、参加者全体において「睡眠の質」と「組織の幸福度」どちらも改善したことが確認できましたが、更に詳しくみてみると個人的に面白いと感じる結果があったのでご紹介します。
PHONE APPLIでは全従業員に毎月1回「Well-being Company Score」を用いたアンケートで、組織の幸福度を定点観測しています。測定できる項目は全部で12項目ですが、組織の幸福度を構成する要素の中でも心理的安全性とエンゲージメント、これら二つに関する項目で改善が見られました。心理的安全性を高める要素の「感謝」、エンゲージメントを高める「楽しみ」の項目をご覧ください。
※上記グラフは全従業員の2022年12月~2023年6月の結果です。実証実験は2023年7月~8月に実施。
弊社の特徴として12項目を順位で見ると、点数の一番高い項目、つまり従業員の幸福度を高めている要素は「感謝」、逆に低い項目の要素は「楽しみ」と固定化されてきていたんですよね。しかしながら、睡眠改善プログラムの参加者は、上げ止まり状態であった「感謝」、なかなか最下位を脱却できなかった「楽しみ」、これらどちらの項目も点数が上がりました!
【WHY?】これまで、ランキング最上位と最下位に変動が見られなかったのなぜ?
【感謝】
・6点(7点満点)と非常に高く、上げ止まり状態
・様々な施策を実施しており、常に良好な状態をキープできていると言える
【楽しみ】
・休日明けに仕事をするのが楽しみか?という質問で測定しており、休日の過ごし方に影響される傾向がある
・休日というプライベート時間にアプローチする施策を打てていなかった
従業員がすでに満足していることも、逆に会社として打ち手に困っている課題もアプローチ方法を変えると改善することが分かりました!「仕事(ワーク)」と「生活(ライフ)」は、どちらも私たちの人生を豊かにするには欠かせない要素です。この二つの調和を追求することは、従業員一人ひとりに秘められた潜在能力を引き出し、組織全体を幸福なステージへと変革するために繋がるかもしれませんね。
最後にひとこと
とりあえず、今夜はスマホをベッドに持ち込まずゆっくりと深い呼吸をして、睡眠の質を高めましょう!皆さんが、いい夢を見られますように!月曜日が楽しみになりますように!神田明神で皆さまの分も祈願しておきましたのでご安心を!うふふ
<参考>
※1 経済産業省「企業の『健康経営』ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版) 」
※2 世界保健機関(WHO)が中心となって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症の判定方法。8つの質問に対する回答を最大24点で数値化し、不眠度を測定。
※3 組織の幸福度を測定するパルスサーベイ