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従業員の帰属意識がない理由5つ|低下によるデメリットや帰属意識を高める方法も紹介

  • 従業員の帰属意識が低いように感じている
  • 帰属意識が低い理由がわからないので、原因を特定したい
  • 帰属意識を高めて組織全体の生産性アップを図りたい

帰属意識とは、従業員が会社のメンバーとして自覚している意識のことです。帰属意識が高いことは、従業員のモチベーション向上やチームの生産性アップにつながります。

従業員の帰属意識が低いことから業務が思うように進まず、お悩みの企業もあるかと思います。そこで本記事では、帰属意識について次のポイントを中心にお伝えします。


本記事で帰属意識への理解を深め、自社の生産性アップ、売上向上につなげましょう。

従業員の帰属意識がない理由5つ

なぜ従業員の帰属意識が生まれないのでしょうか。その理由として次の5つがあげられます。

  1. 終身雇用の考えが一般的ではなくなった
  2. 企業理念やビジョンに共感できない
  3. 自分の目標や役割が明確ではない
  4. 従業員同士の交流が不足している
  5. 評価や待遇に不満がある

1. 終身雇用の考えが一般的ではなくなった

大きな理由としてあげられるのが、終身雇用の崩壊です。これまでは終身雇用制度によって、企業が従業員を実質定年まで雇用し続けることが保障されていました。

しかし、昨今の経済事情や働き方の多様化などによって、「終身雇用」から「成果主義」に変える企業も増えてきました。終身雇用が保障されないことで、従業員は「転職」を考えなければならず、帰属意識が生まれにくくなっているのです。

2. 企業理念やビジョンに共感できない

従業員が自社の企業理念やビジョンに共感できていない、浸透していないことも、帰属意識が生まれない理由の一つです。そもそも従業員が企業の方向性を理解していなければ、仕事の意義を見出しにくくなります。

社内報や社内SNSなどによる「インナーブランディング」を強化するといった方法で、企業理念やビジョンの浸透を図る必要があります。

3. 自分の目標や役割が明確ではない

従業員自身に「会社に貢献したい」という気持ちがあっても、自分の役割が不明確だと、具体的な行動につなげにくいです。

「会社の役に立っている」といった自覚が生まれず、モチベーションが下がってしまいます。結果、帰属意識の低下を招いてしまうのです。

4. 従業員同士の交流が不足している

社内コミュニケーションが少ないことも、帰属意識の低下につながります。テレワークの浸透によって、社内コミュニケーションが希薄になってしまった企業も少なくないでしょう。

コミュニケーションの機会がなければ、従業員の積極性が失われ、受け身で仕事するようになってしまいます。なかには、「自分や家族の生活を維持するために働く」と割り切る従業員も出てくるでしょう。

仕事に関する小さな相談やプライベートな雑談など、オフィスでの何気ない交流が、「モチベーション」や「やりがい」につながるケースもあります。

5. 評価や待遇に不満がある

従業員に対する評価や待遇も、帰属意識に影響を与える大事な要素です。企業が従業員に対して正しい評価をして待遇を与えることで、本人も納得し「この会社についていこう」と思えます。

しかし本人に不満があった場合、不当な評価がされていると感じ、退職や転職を考えるようになります。従業員の帰属意識の低下を不安に感じる企業は、人事評価体制や待遇の見直しを検討しましょう。

従業員の帰属意識がないときに発生するデメリット3つ

従業員に帰属意識がないと、さまざまな弊害が発生します。代表的なデメリットは次のとおりです。

  1. 業務の効率化が難しい
  2. 採用や教育にコストがかかる
  3. 従業員のモチベーションが低下する

従業員に帰属意識がない、つまり「会社に貢献しなくていい」と考えている状態です。モチベーションが低く、「目の前の仕事だけやっていればいい」と思うため、業務効率化が難しくなります。

転職や退職を考える従業員が増えれば、企業は新たな人材を採用しなければなりません。その際に採用コストがかかるうえ、既存社員の教育に力を入れようとしても、教育コストがかかります。

従業員の帰属意識を高める方法6つ

従業員に帰属意識がない理由やデメリットを解説しましたが、どのように高めていけば良いのでしょうか。帰属意識を高める方法として、次の6つがあげられます。

  1. 多様性の受容
  2. インナーブランディングの強化
  3. コミュニケーションの活性
  4. 働き方や福利厚生の改善
  5. 人事評価制度の改正
  6. 求職者のニーズとサプライの合致

従業員にとって、理想の働き方や生活スタイルは異なります。企業は、そうした「多様性」を受け入れ、従業員のニーズに合わせた環境づくりが求められます。

企業理念やビジョンが伝わっていない場合、インナーブランディング(企業理念やビジョンの啓蒙活動)の強化も必要です。チームの士気を高めるために、社内コミュニケーション円滑化の施策も行うべきといえます。

そもそも会社の待遇に不満のある従業員もいるため、働き方や福利厚生、人事評価制度を見直しましょう。

新たな人材を採用する際は、自社として与えられる環境や待遇と、求職者が求めるニーズが異なる場合があります。定着を図るためにも、求職者のニーズと企業のサプライが一致させることが重要です。

帰属意識の向上に役立つツール・仕組み4つ

従業員の帰属意識を高めるためにおすすめのツールや仕組みをご紹介します。

  1. 社内イベントや広報活動の実施
  2. 研修やワークショップの実施
  3. コミュニケーションツールの導入
  4. パルスサーベイシステムの導入

1. 社内イベントや広報活動の実施

従業員同士の交流を促進するための社内イベントや、企業理念やビジョンを浸透させるための広報活動です。

社内イベントの例として、シャッフルランチや部活動の設立があげられます。広報活動では、社内情報を記した冊子やWeb媒体を配信し、誰もがすぐに閲覧できるようにします。

2. 研修やワークショップの実施

研修やワークショップの実施も、帰属意識を高めるのに有効です。従業員に「学びの場」を提供することで、知識やスキルの習得をはじめ、本人の主体性向上につながります。

たとえば、リーダーシップやチームビルディング、キャリアデザインに関する研修やワークショップがあげられます。

3. コミュニケーションツールの導入

コミュニケーションツールの導入も、帰属意識の向上に効果的です。仕事の進捗が見える化されるだけでなく、従業員同士の交流が促進されます。

たとえば、「雑談」のグループを作ることで、普段あまり話さない人との交流が生まれるでしょう。社内の人間関係が良好になれば、モチベーション向上や業務効率化も可能です。

4. パルスサーベイシステムの導入

パルスサーベイとは、従業員の「満足度」や「心の状態」を調査することです。1〜2分程度で答えられる簡単な質問を週1回から月1回の短いサイクルで行います。

しかし、パルスサーベイの実施には手間がかかるため、システム導入がおすすめです。テンプレート機能やクロス分析(属性別に解答を分析できる機能)、退職リスクのアラート機能などが備わっています。

【コラム】帰属意識よりも注目されるエンゲージメントとは

帰属意識に似た用語に「エンゲージメント」があります。従業員の意欲やモチベーションに関して、帰属意識よりも注目されています。

エンゲージメントとは

エンゲージメントとは、企業と従業員とのあいだに生まれる信頼関係のことです。従業員は企業に対する貢献を約束し、企業は従業員の「貢献」に対して正しい評価や報酬を与えることを約束します。

従業員が会社に対して「誇りがある」「信頼している」といった意味合いが強いです。

エンゲージメントが注目される理由

エンゲージメント注目の発端は1990年代のアメリカです。アメリカの多くの企業で「生産性」に関する意識が高まり、付随してエンゲージメントの考え方が広がりました。

もともとアメリカでは「個人主義」が強く、解雇に対するハードルが低いことから、優秀な人材を残すための方法として「エンゲージメント」が広まったと考えられます。

日本でも2000年以降にエンゲージメントの概念が知られ始めましたが、アメリカとは異なり「終身雇用」の考えが根強かったため、大きく広がることはありませんでした。

しかし最近になって、「人的資本経営」「働き方改革」といった経営や環境の変化が起こり、再度エンゲージメントが注目されています。

PHONE APPLIが実践している「従業員のエンゲージメントを高める取り組み」について

ここでは、当社 株式会社PHONE APPLIの取り組みをご紹介します。当社では、2018年から「従業員が健康でいきいきと働いている」状態を目指し、「ウェルビーイング経営」を推進してきました。下記の事柄を主軸としたウェルビーイング施策を行っています。

従業員間で感謝や称賛を"贈りあう"「PHONE APPLI THANKS」の活用

PHONE APPLI THANKS

「PHONE APPLI THANKS」は、従業員間で感謝や称賛を"贈りあい"、組織のパフォーマンスを向上させるウェルビーイング経営推進サービスです。日々の業務の中で感じた感謝や称賛をカードにして"贈りあう"ことで、従業員それぞれの様子が見えるようになり、認め合う組織風土を育むことができます。

【PHONE APPLI THANKSの特長】

  • 日々で感じた感謝や称賛をメッセージにして送り合える
  • やりとりがオープンに表示されるため社員の活躍を把握しやすい
  • メッセージカードに「いいね」を押すことができる

組織の幸福度を測定する「Well-being Company Survey」の活用

  • Well-being Company Survey とは、幸福経営学研究の第一人者ホワイト企業大賞委員長である天外伺朗氏と慶応義塾大学 前野隆司教授協力のもと、 PHONE APPLI が開発したパルスサーベイです。
    Well-being Company Surveyの詳細はこちら

「1on1ツール」を活用し、週25分の対話でメンバーの状態を把握

  • 1on1ツールで現在の体調・仕事量・モチベーションを回答し、話したいトピックを選択します。それにより、マネージャーがメンバーの状態を把握しやすくなり、1on1の質が高まりました。また、全社横断での1on1も積極的に実施しています。組織横断コミュニケーションを意識的に増やすことで、精神的・社会的健康の向上を目指しています。

ウォーキングイベント「PA Walking Cup」で運動習慣の定着化

運動習慣の定着を目的としたウォーキングイベント毎月開催しています。従業員が楽しく参加できるよう、季節ごとのテーマやゲーミフィケーションを取り入れながら工夫しています。

年齢制限なしの保健指導で若年層の健康リスクにも対応

40歳以上の特定保健指導対象者だけでなく、39歳以下の生活習慣病予備群にも年齢制限を設けずに保健指導を実施しています。将来の疾病リスクを低減し、特定保健指導対象者の若年層からの流入抑制を目指しています。







【事例紹介】株式会社オリエンタルランド|優れたキャストを独自の制度で評価、自己都合の離職率は5%未満に

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引用元:株式会社オリエンタルランド

株式会社オリエンタルランドは、東京ディズニーリゾートを運営する企業です。同社は離職率が低いことでも有名で、キャスト(従業員)同士の交流やモチベーション向上のために、さまざまな取り組みを行っています。

たとえば、決起集会である「キャストペップラリー」や、上司が日頃の感謝を伝える「サンクスデー・アンド・ウィーク」など。他にも優秀なキャストを称賛したり、勤続年数に応じて贈答品を送ったりとさまざまです。

その結果、キャストには高い帰属意識が生まれ、2021年度の離職率は3.81%でした。これは定年退職を含む離職率なので、自己都合による離職率はさらに低いことが推測できます。帰属意識の高さに加えて、従業員自身が楽しく働けていることは、ディズニーリゾートが人々を魅了し続けている理由のひとつといえるでしょう。

参考:帰属意識とは?帰属意識を高める施策6つと低い原因、事例を解説 | Unipos HRコラム

【まとめ】従業員の帰属意識がない理由と高める方法について

本記事では従業員の帰属意識について、次のポイントを中心にお伝えしました。

  • 帰属意識がない理由として、終身雇用の崩壊や企業理念・ビジョンが共有できないことなどがあげられる
  • 帰属意識がないと業務が効率化されず、採用や教育にも大きなコストがかかる
  • 帰属意識を高めるには、社内イベントやコミュニケーションツール、パルスサーベイシステムの導入などが有効

社会や企業の考え方が、「終身雇用」から「成果主義」に変化したことで、従業員の帰属意識も薄れやすくなっているのが現状です。帰属意識が低いと、業務の進捗が遅れ、採用や教育コストもかさんでしまいます。

従業員の多様性を受け入れ、自社のインナーブランディングの強化、働き方や福利厚生、人事制度の見直しなど、帰属意識を醸成するための取り組みを行いましょう。

本記事の内容が、自社の帰属意識向上にお役立ちできることを願っています。



【心理的安全性を高めて離職を防ぐ!】従業員エンゲージメント向上の秘訣とは

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