導入事例
freee株式会社
左から中川氏、郷氏、向地氏
「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションとして、人工知能(AI)技術を駆使した最先端の機能開発や金融機関との連携により、バックオフィス業務効率化のソリューションを提供しているfreee株式会社(以下、freee)。
freeeでは、プロダクトの機能強化や社内の施策を検討する際、その判断に必要な価値基準のひとつとして「マジ価値」という基準を設けている。「マジ価値」とは、ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをするという意味で、さまざまな取組について、この基準に照らし合わせて実行の判断を行っている。
2017年に発表した「freee for SFA」を皮切りに、製品連携だけでなく、自社利用の観点でもSalesforceの活用を進めているfreee。この取組も、自社だけでなくユーザーにとっても価値があると判断した結果、Salesforceとの連携を様々な観点から推進する形となっている。しかしながら、Salesforceの自社利用については、いくつかの課題が立ちはだかり、なかなか思うようにいかなかったことも事実。その課題の一つとして、Salesforceにデータを入力する現場の理解が、なかなか得られなかったことが挙げられる。その状況を打破するための取組について話を伺った。
「別の名刺管理ツールを使っていたのですが、現場はマネージャーの共通アカウントを使ってまとめて名刺登録していました。とりあえず、名刺情報はある状態なのですが、共通アカウントだったので、誰がいつ交換した名刺なのか、全然わからなかったのです」と打ち明けるのは郷氏。
名刺情報を起点とするお客様情報は貴重な資産。数年前の名刺が受注につながるケースが増加し、当時、『失注』という言葉をなくし、商談ステータスを『将来検討』とすることで、全てのお客さまは、いつかはfreeeを使ってくださる、という信念のもと、リード情報を正確に管理していくことを組織に浸透させ始めた時期だった。
「毎月のようにメンバーが増え、チームが15名規模になってくると、毎日、一日平均3商談、1ヶ月で900件くらいは名刺交換するようになり、タッチポイントの数が急速に増えていきました。タッチポイントが増えるに従って、リードの管理も厳格に行いたいと考えるようになってきたのです」と話す中川氏。
しかしながら、フィールドセールスの貴重な時間は、お客様との直接的なコミュニケーションにできるだけ使いたい。平行して進んでいたSalesforceへのデータ一元化の流れも手伝って、名刺管理ツールの再検討に至ったとのことだ。
中川氏の所属する営業チームは、2年前は2名だったが、現在は15名となり、今後も更に増えていく方針とのこと。しかしながら、現場は忙しすぎて、なかなかSalesforceにデータを入れるところに時間を割くことができず、誰がいつどのお客様に会ったのかわからない状況を変えられずにいた。
様々なマニュアルを用意したが、忙しいフィールドセールスのメンバーは、なかなか名刺データを入力してくれず、データの活用も進まない。Salesforceの活用初期でよく目にする光景だった。
そこで思い切って、名刺の取込作業はインサイドセールスがまとめて実施するアプローチを試してみたところ、これが効果的に機能した。
まとめて、といっても、月に1回、インサイドセールスのアカウントで取り込むような方法ではなく、頻度高く、名刺交換した人のアカウントで取り込むようにプロセスを変更した。
フィールドセールスメンバー個人の名刺ボックスを準備し、営業メンバーは、自分の箱に毎日名刺を入れてから帰宅する。翌日、インサイドセールスがスキャナーを使って名刺の取込を実施する。
取り込んだ名刺は、オペレータ入力により精度の高い顧客情報として自動的にSalesforceのリードデータと連携し、名刺に手書きされたメモもリードデータの備考に取り込まれる。オペレータ入力ならではの重要な情報だ。
「ようやくデータが意味を持ち始め、レポートやダッシュボードで可視化や分析ができるところまで持ってくることができました」と中川氏は最近の活用状況について語る。
「いわゆる役職の高い人の名刺が多い商談は受注確度にも影響していると思います」と分析の効果に言及するのは向内氏。
一度失注となったお客様でも、名刺交換の履歴や商談の活動履歴を分析することで、機能強化などを経て、あらためて提案機会を頂けるタイミングを探ったり、ご利用中のユーザーにも、カスタマーサクセスから新しい提案を行ったりしやすくなったということだ。
様々なデータをSalesforceに一元化していくことで、Salesforceを「マジ価値」なプラットフォームとして活用していくfreee。
データが集約されていくにしたがって、活用の幅を広げていくことを検討しており、今後は着信表示やKnowWho検索の機能も使いこなしていきたいとのこと。PhoneAppli for Salesforceも「マジ価値」に貢献できるよう機能強化を図っていくことになるだろう。
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