8社のIT企業が合併し誕生した、ICT技術の結集企業である三井情報株式会社。同社は働き方改革の一環としてテレワークを推進するにあたり、“働く場所にとらわれず、誰とでもすぐに繋がることができる環境”の実現を模索していたという。今回は同社が求めていたツールの条件や課題、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん、以下PEOPLE)導入による効果について話を伺った。
導入の条件は、“いつでもどこでも働ける” 環境を実現できること
同社は、働き方改革を実践していく上で2017年頃からテレワークを推奨している。“いつでもどこでも働ける” “簡単・安心に働ける” “誰とでもつながることができる” という、勤務場所や勤務スタイルにとらわれないテレワーク環境を実現するため、以下の4つの条件をクリアするWeb電話帳を探していた。
1.スキル別に社員の検索ができる
2.スマートフォンで使える
3.管理に手間がかからない
4.携帯紛失時の個人情報漏洩のリスクを軽減できる
1つ目の条件は、スキル別に社員の検索ができること。経営企画統括本部 デジタル戦略推進部 デジタル戦略推進室 室長 岡田秀之氏(※所属は取材当時)は、その理由を語った。「当社は8社のIT企業が合併して誕生した会社なので、各組織の社員の情報がなかなか把握できない、という問題がありました」。部署の垣根を越えて社員同士が連携する場面で “この業務が得意な人は誰だろう” “この内容について知識が豊富な人は誰だろう” と、該当する社員を探す機会が増えた。各社員の知識範囲を把握できていないと、仕事を進める上で支障が起きかねないという懸念の中、スキルで社員を検索しそのまま連絡が可能な電話帳の必要性を感じていた。岡田氏は「その点、PEOPLEではスキルで社員を検索できるところがよかったです」と話す。
2つ目の条件は、スマートフォンで使えること。以前使用していたグループウェアの電話帳は、PCでの操作を前提としており、スマートフォンでの利用が想定されていなかった。スマートフォンで利用する際は、PCでグループウェアを立ち上げ、電話帳で番号を調べてから電話をかけなければならず手間がかかった。岡田氏は、次のように語る。「加えて、グループウェアの既存電話帳には社員の携帯電話番号は登録されておらず、社員同士がスマートフォンで連絡を取り合える状態ではありませんでした。テレワークを推奨するのであれば、社員同士がスマートフォンで円滑にコミュニケーションができる環境を整えなければならない、と考えました」。スマートフォンで電話帳を確認し、そのまま電話をかけられる点は、PEOPLEを利用する大きなメリットだった。
3つ目の条件は、管理に手間がかからないこと。「前述のグループウェアの電話帳は、元ファイル作成や更新をCSVファイルでおこなっていたため、とても手間がかかりました。人為的ミスも起こりやすく、何かほかの管理方法はないか探していました」と岡田氏。それに加え、登録情報を変更できるのが管理者のみだったため、担当社員の負担も大きかった。「人事異動時などは、更新作業が増え大きな負担がかかりますし、もちろんリアルタイムでの更新も困難でした。権限を広げることも検討しましたが、各自が自由に変更するとメンテナンスが大変になったり、誤ってほかの情報を変更してしまったりする事態も考えられます」。“社員本人が自分で、簡単に情報を更新できる電話帳” を探しているとき、それを実現するPEOPLEの存在を知った。
4つ目の条件は、携帯紛失時の個人情報漏洩のリスクを軽減できること。同社では、端末紛失時の個人情報漏洩のリスクを考え、iPhone端末内の電話帳利用を禁止していた。岡田氏は「電話帳に電話番号が登録できず、着信表示機能が使えないことで、折り返しの連絡ができないなどの不便が生じていました」と語る。その点、PEOPLEは端末内の電話帳に電話番号を登録しなくてもクラウド上で情報を安全に管理しているため、スマートフォンを万が一、紛失しても個人情報の漏洩を防止できる。セキュアに電話帳を共有でき、着信表示も可能にするツールだった。
テレワーク環境でも、社員間の連携強化を可能に
同社はすべての条件を満たすWeb電話帳として、PEOPLEを導入した。特に大きな効果は以下の4つ。
1.社員の業務内容や職歴を記載でき、組織間・社員間の連携強化が可能になった
2.スマートフォンで社内連絡先を調べられるようになった
3.更新作業の手間を削減できた
4.クラウド管理のため個人情報漏洩のリスクが軽減され、着信表示も可能になった
1つ目の効果は、社員の業務内容や職歴を記載でき、組織間・社員間の連携強化が可能になったこと。岡田氏は「まず、業務内容や専門領域といったスキル情報から社員を探せるようになったのがとても便利でした。以前はスキルで該当社員を探す方法がなかったため、その業務に精通している社員が誰なのか、すぐにはわかりませんでした。今はスキルだけでなく、検索ボックスに特定の商品名を入力したり、組織ツリーから所属部署をたどったりといった方法でも調べられるようになり、とても助かっています。グループ会社も同様にPEOPLEを利用しているため、組織間の連携も強化できました」と語る。一度対面した社員の名前を忘れてしまった場合などでも、ほかの情報から検索できるようになったことも大きな利点だ。
2つ目の効果は、スマートフォンで社内連絡先を調べられるようになったこと。「今までのように “PCで電話番号を調べ、それを見ながらスマートフォンで電話をかける” といった手間が省け、スマートフォンから電話帳を確認し、そのままワンタップで電話をかけられるようになりました」。社員の携帯電話番号を登録したため、社員同士がスマートフォンで簡単に連絡を取り合えるようになったことも大きなメリットのひとつだ。
3つ目の効果は、更新作業の手間を削減できたこと。以前は管理者がすべての更新作業・管理を担っていたが、社員が自分の情報を各自更新するようになり、管理工数を大幅に削減できた。「管理者のみが作業をおこなっていたため、特に人事異動時のメンテナンスは大きな負担になっていました。該当社員が自分で情報を更新するようになったことで、管理者の負担を減らせたばかりでなく、リアルタイムでの更新が可能になるというメリットもありました」。
「ほかにも、自分で更新できるようになったことで、顔写真や趣味など、個人的なことを登録してくれる社員が増えたというメリットもありました」と岡田氏は続ける。「コロナ禍で社員同士が対面する機会が減ったことから、コミュニケーションの障壁をなくすために、顔写真の登録を推奨しています。社内で撮影イベントを開催したおかげで、顔写真を登録してくれる社員が増えました。特に新入社員は、テレワークでなかなか会う機会のない他の社員の顔を覚えるのに活用しているようです」。顔写真以外に、自由記載欄に趣味を入力する社員もおり、コミュニケーションのきっかけになることも多いそうだ。
4つ目の効果は、クラウド管理のため個人情報漏洩のリスクが軽減され、着信表示も可能になったこと。PEOPLEの電話帳データは、連続してログインに失敗するとログインできなくなる“アカウントロック”や、特定の人にしかアクセスできない“アクセス制限”の機能によりクラウド上でセキュアに管理されている。そのため、スマートフォン紛失時の個人情報漏洩のリスクが軽減され、安心して使用できているとのこと。また、端末内にデータがなくてもPEOPLEに登録されていれば着信表示が可能になったことで、折り返しの電話もスムーズにかけられるようになった。
Microsoft Teams・Sansanと連携し、さらに利便性が向上
同社は、Microsoft TeamsやSansanといった他ツールとPEOPLEを連携することにより、さらに利便性を高めている。
岡田氏はMicrosoft Teamsとの連携について「連絡したい相手をPEOPLEで検索し、Microsoft Teamsのアイコンをタップして起動させるだけで、相手とチャットや音声通話によるコミュニケーションが可能なので、とても便利です」と語る。
また、 反対にMicrosoft TeamsアプリからPEOPLEを立ち上げることもできる。コロナ禍でテレワークが本格的に導入され、会議はMicrosoft Teams上で開催されることがほとんどになった。Microsoft Teamsに触れる機会が増えると、Microsoft Teamsを起点として仕事で利用するさまざまなアプリへ飛ぶことが多くなる。「特にスマートフォンになじんだ世代は、ブラウザで検索して、必要な情報に飛ぶという動作に慣れていません。アプリからボタンひとつで遷移する方が親しみやすく、仕事の動線としてスマートだと感じます」
岡田氏はSansanとの連携についてこう続けた。「Sansanは、日常的に名刺を交換する営業職・技術職の社員がおもに利用しており、社内の連絡先はPEOPLE、社外の連絡先はSansanで管理しています。PEOPLEとSansanの連携機能によって、お互いのアプリをワンタップで遷移できるため、“社内の連絡先” と “社外の名刺情報” の参照が簡単になりました」。社内・社外どちらからの電話であっても着信表示が可能になったことによって、機会損失の削減とスムーズな折り返しを実現できたそうだ。
今後の展望について、岡田氏は「PEOPLEをコミュニケーションポータルとして活用したい」と語る。「フリーアドレス制の出社勤務と在宅勤務のどちらもあり、“連絡したいが、相手がどこにいるのかわからない”という状態はさらに増えるでしょう。“相手が出社しているのであれば、自分も出社しよう”と考える社員も多いと思うので、今後はオフィスにいる社員の居場所がわかるPLACEにも興味があります」。さらなるコミュニケーションの取りやすさを目指して「これからもPHONE APPLIと情報を共有していきたいです」と続けた。