全国の信用金庫のサポートをおこなっている信金中央金庫。同庫は、全国の信用金庫にとって有用な金融商品・サービス・情報を提供し、信用金庫の経営力強化につとめている。また、信用金庫からの預金を国内外への投融資によって運用するという機関投資家としての顔も持つ。同庫では、業務改善の一環として2021年にPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん、以下PEOPLE)を導入した。今回は、庫内の通信機器の管理を担当している総務部 審議役 岩渕光智氏と同部 高橋志帆氏に、PEOPLEを導入した経緯や導入後の効果などについてお話を伺った。
既存電話帳の更新作業に大きな手間を感じていた
PEOPLEを導入する前、同庫ではスマートフォンで使用していた既存電話帳に関して“更新に手間がかかる”“一部の部署では更新作業ができない”という2つの課題を抱えていた。
1つ目は、更新に手間がかかること。同庫で使っていた既存電話帳では、連絡先の変更などがあって情報を更新する際、多くの工数がかかっていたという。具体的には、まず管理部門で電話帳の内容を変更した後、全職員へ電話帳を個別に更新するためのファイルをメッセージで送付する。メッセージを受け取った各職員は、添付のファイルをダウンロードして、自分の端末の電話帳を更新していた。週に1回は電話帳の更新があり、ダウンロードした内容が電話帳に反映されるまでにも数分を要するため、手間を感じて更新作業をしない職員もいたそうだ。また、そもそもメッセージを見逃して更新が滞ってしまうということもあった。電話帳が最新の状態になっていなかったことで、間違った相手に電話をかけるという問題や、着信時に表示されている名前と実際にかけてきた人が違ったという問題もよく起こっていたそうだ。
2つ目は、一部の部署では更新作業ができないこと。同庫の一部の部署では、セキュリティ上、外部とのやりとりを全て記録に残すことが義務付けられている。しかし、電話帳を更新するためのファイルを送信していたメッセージアプリは過去の記録が残らないため、その部署では使用が禁止されていたという。このため、一部の部署にはファイルを送信する手段がなく、電話帳の更新ができないという不具合が生じていた。このような状況から同庫では、更新作業の手間が少なく、全ての部署で問題なく利用できる電話帳を探していた。
セキュリティの高さが導入にいたる最大の決め手となった
新たな電話帳ツールとして、同庫がPEOPLEを選んだ理由は以下の2つだった。
1.セキュリティレベルが高かったこと
2.操作性が高かったこと
岩渕氏によると、電話帳ツールを選定するにあたって同庫が最も重視していたのは、セキュリティの高さだったそうだ。金融機関という性質上、厳しい情報管理は必須。この点、PEOPLEは「ISMS・プライバシーマークの取得」「不正アクセス防止」「災害時の対応」など、同庫が定めるセキュリティチェックシートの項目を全てクリアしていた。
また、操作性の高さもPEOPLEを選んだ1つのポイントだった。同庫では、職員にスマートフォンを配布してから日が浅いため、スマートフォン自体の操作に慣れていない職員もいたという。PEOPLEであれば、操作画面がシンプルなため、誰でもすぐに使い始められると感じた。
セキュリティレベルの高さと操作性の高さの2点から、同庫では既存の電話帳からPEOPLEへ移行することを決定した。
更新内容が即座に反映され、電話帳が常に最新の状態に
PEOPLEを導入したことで、同庫は以下の3つの効果を得られたという。
1.着信表示により、コミュニケーションが円滑になった
2.全ての部署で電話帳の更新ができるようになった
3.連絡先の検索がしやすくなり、業務効率が上がった
1つ目の効果は、着信表示により、コミュニケーションが円滑になったことだ。PEOPLEを導入したことで、管理者側で連絡先の情報を変更すれば、即座に各職員の電話帳にも反映されるようになった。職員がこれまで手間を感じていたダウンロード作業は一切必要がなくなり、更新漏れが起きる心配もない。電話帳が常に最新の状態になったことで、着信表示が正しくなり、間違った相手に電話をかけてしまうというトラブルも解消された。実際にかけてきた人と着信時に画面に表示される名前が異なるということもないので、以前よりもコミュニケーションを円滑に取れるようになっている。
2つ目の効果は、全ての部署で電話帳の更新ができるようになったことだ。以前の電話帳では、セキュリティの都合上、メッセージアプリを使った更新作業ができない部署もあった。今では、メッセージアプリを利用しなくても電話帳は更新されるため、どの部署にいても常に最新の情報を見られるようになった。
なお、電話帳の管理を担当している高橋氏は、管理者側の操作も非常に簡単だったと話し、次のように続けた。「連絡先の変更をする際も複雑な操作はないので、システムを管理するために専門知識も必要ありませんでした。トラブルもなく、順調に運用ができています」
3つ目の効果は、連絡先の検索がしやすくなり、業務効率が上がったことだ。同庫では、PEOPLEに氏名・電話番号・内線番号・部署名を入力しており、必要な連絡先は、検索ボックスに名前を入れて探すことも、組織ツリーから連絡先を検索することも可能。検索性向上により、すぐに必要な連絡先を見つけられるようになり、業務効率が上がったという。
今後はさらに幅広くPEOPLEの機能を活用していきたい
今後はPEOPLEの機能をもっと理解して、さらに上手く活用していきたいと話す岩渕氏。「名刺管理機能は、紙での管理に比べて引き継ぎも楽になるため、今後は全社的に活用していきたいと考えています」
また、PEOPLEをAzure AD(※)と連携させることも検討しているとのこと。ユーザー情報を管理しているAzure ADとの連携が実現すれば、PEOPLEの利便性はさらに向上する。
※Azure AD:Azure Active Directory はMicrosoft社が提供するクラウドベースのID およびアクセス管理サービス。様々なサービスへのユーザー認証を管理する。
高橋氏は「さらなる業務改善のヒントを得るため」と、後日PHONE APPLIのオフィス見学にも参加する予定だという。信金中央金庫は、今後も継続して“働き方”をバージョンアップしていく。