創立60年の歴史以上をもち、社会変化への対応を見据えた「AI・共創カリキュラム」と、卒業後も見据えた実践的な教育を提供する神戸電子専門学校。同校では、入学を検討されている方に向けたLINEでの広報活動をおこなっているが、ユーザー情報の管理や属性に合わせた発信に課題を感じていたという。
そこで導入したのが、SalesforceとLINEを連携してユーザー情報を管理できるPHONE APPLI LINER(以下LINER)だった。今回は、LINER導入の背景や成果について、広報グループ 尾倉伸彦氏にお話を伺った。
LINEとSalesforceのユーザー情報の連携がマストだった
同校では、入学を検討・希望する生徒や保護者への情報提供のため、LINEを活用している。しかし、尾倉氏によるとLINERを導入するまでに2つの課題があったという。
課題1. SalesforceとLINEの連携ができておらず、情報管理に手間がかかっていた
課題2. ユーザーに応じた情報を配信できていなかった
1つ目の課題は、SalesforceとLINEの連携ができておらず、情報管理に手間がかかっていたことだ。5年ほど前からSalesforceを導入し、入学を検討している高校生の情報をクラウド上で管理していた同校。尾倉氏は、Salesforceを導入した理由について次のように話す。「Web上で資料請求やイベントの申し込みがあった場合、申し込み情報のメールをプリントアウトし、それを見ながら社内システムに入力していたので手間がかかっていました。また、外出中などに社内システムの情報にアクセスできないことも不便でした。ユーザー情報の入力を自動化して業務を効率化したい、出張先や外出先などでも情報を確認したいと思い、Salesforceを導入しました」
一方で、LINE公式アカウントでは、定期的にオープンキャンパスの案内などのイベント情報を配信していたという。しかし、LINEとSalesforce内の情報はシステム上直接連携できず、校内の運用担当者が情報を手動で紐付けていたため、情報管理に手間がかかっていることが課題だった。尾倉氏は「LINEでメッセージのやりとりをした時には、氏名や学校名を教えてもらい、Salesforceに登録されているかを調べていました。データを探し出してから手動で個人番号を割り当てていました。また、それ以降もやりとりのたびにLINEとSalesforceそれぞれの画面を確認し、個人番号を突き合わせながら対応していました」と話す。
2つ目の課題は、ユーザーに応じた情報を配信できていなかったことだ。希望している学科などに応じて情報を配信できるよう、LINE公式アカウント内のタグ機能を使ってセグメント分けしていたが、手間がかかり確実に割り当てできていないという問題もあった。尾倉氏は、セグメント配信ができていない当時の危機感について、次のように語る。「18歳人口減少で、ますます他校との競争化が激しくなります。できるだけ一人一人に合った情報を届け、満足度を上げていくことは重要です。そのためにも、セグメント化はとても重要だと感じていました」
“SalesforceとLINEのデータ連携”と“ユーザー属性に適したメッセージの配信”という2つの課題を解決するために、LINERの導入を決めた。
配信だけでなく、チャットによる相互コミュニケーションにもLINEを活用
同校では、LINERを複数の担当者で運用している。操作方法も分かりやすく、スムーズに導入できたそうだ。
ユーザーに元々運用していた公式LINEからLINERに再登録をしてもらうという懸念があったものの、運用開始から順調にユーザーを集めることができているようだ。LINEで配信している情報は主に2通り。1つは、メッセージ一括送信による定期的なイベント情報の発信。
もう1つは、1:1チャットを利用した相互コミュニケーション。ユーザーデータの把握も大切だが、一方的な配信だけでなく「やりとりのきっかけ」があることが重要だという尾倉氏。「LINEから気軽に申し込みができたり、メッセージをやりとりしたりすることで興味を持ってくれる方もいるので、1:1チャットは頻繁に活用しています。例えば、従来のWebサイトからの申込では、氏名や住所など多くの入力項目があり、ユーザーにとって入力が煩雑になっています。しかし、LINEでは参加希望の日時と学科をメッセージで送ってもらうだけで、イベントの予約ができるようにしています。利便性が高いので多くのユーザーがLINEを通じてイベント予約をしてくれていると感じています。また、高校生からの質問では“オープンキャンパスは私服でも大丈夫ですか”といった質問も寄せられます。電話での質問はなかなかハードルが高いかもしれませんが、LINEなら気軽に聞いてもらえるのは大きなメリットです」
ユーザー情報の一元管理、属性に合わせたメッセージの配信が可能に
LINER導入後、同校ではすぐに2つの効果を実感したという。
効果1. SalesforceとLINEを連携し、ユーザー管理の手間が軽減された
効果2. ユーザーの属性に合わせた情報配信が可能になった
1つ目の効果は、SalesforceとLINEを連携し、ユーザー管理の手間が軽減されたこと。今まで手動でおこなっていたユーザー情報の紐付け作業を自動化できたことで、個人番号を照らし合わせる必要がなくなり、大幅な業務効率化を実現した。また、連携することでSalesforce上の個人ページの右側にLINEの画面が表示されるという点も評価している。「以前は画面を2つ開いて行ったり来たりして確認していましたが、今ではSalesforce上で1:1チャットが可能になり、ひとつの画面で情報を把握できるようになりました。ユーザーからLINEで質問がきた際に、その質問だけ見て返信するのではなく、属性や過去の申し込み状況などを把握した上で返信内容を考えることができるので助かっています」
2つ目の効果は、ユーザーの属性に合わせた情報配信が可能になったこと。
LINERの導入により、現在では“地域“と“希望学科“など、Salesforce上にある様々なユーザー属性でセグメントを分け、ニーズに合った情報を配信できるようになった。例えば、イベントを開催する際、遠方の方には送迎バスの案内を追加で送信する、といった使い方をしているという。以前は明確なセグメント分けができていなかったため、遠方・近隣にかかわらず全員に送付するしかなかったが、今ではユーザーに合わせて適切な情報を配信できている。また、リッチメニューの表示をユーザー属性に応じて指定できる機能も魅力だという尾倉氏。LINER導入以前のユーザーには登録を促す案内、登録済みの方にはYouTubeチャンネルの紹介、県外の方には送迎バスの案内を表示するなどして活用している。
属性に合わせたセグメント配信の今後について、尾倉氏は次のように語る。「データを蓄積して、さらにセグメントを最適化していきたいです。資料請求の有無、イベント参加の有無、アンケートの回答結果などの情報を元に、個人に合わせた詳細な案内をすることで、より効果を高めていきたいと考えています」
学校全体のサポートにLINEの活用を広げていきたい
今後は、LINERの“チャットボット機能”の活用も視野に入れていると語る尾倉氏。
「ユーザーからのメッセージに応じて自動でメッセージを返すことができる“チャットボット機能”を使うことで、職員の勤務外でもイベント案内や1:1チャットを可能にしたいです。学生の皆さんが夜間に聞きたいことを思い付く場合もあるので、チャットボットで一旦不安を解消させてあげられたらいいなと思います」
また、将来的には学校全体のサポートをLINE上でおこないたいと展望しているという。「現在おこなっているLINEを活用した情報発信は、広報活動の一環のため、具体的な入学の手続きや在校生のサポートについては対応していません。LINERを利用することでユーザー情報を一元管理できるようになったので、将来的には運用体制を整え、学校全体としてサポートを全てLINEでできるようになれば、教職員にも在校生にもメリットがあると思います。」