世界5位の自動車部品サプライヤーである株式会社アイシン(本社:愛知県刈谷市、以下アイシン)。同社は自動車部品だけでなく、その高い技術力を活かして、パーソナルモビリティやエネルギー関連商品の開発など幅広い事業を展開している。2021年4月に、アイシン精機がグループ会社のアイシン・エィ・ダブリュと経営統合して誕生したアイシンは”連絡先管理”が課題のひとつとなっていた。統合前、アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュは共に別々の電話帳を作成・利用していたため、グループ会社といえどもお互いの電話帳を閲覧するのに苦労することがあった。そこで今回の経営統合を機に、電話帳を統一することに。そして電話帳を刷新するにあたってのもう一つの鍵は、Microsoft Teamsとの連携。同社は社内の連絡ツールとしてすでに定着していたMicrosoft Teamsを共有電話帳と上手く連携させ、更なる業務効率化を図ろうとしていた。
既存電話帳は、「検索性」と「管理工数」が課題だった
DX戦略センター DX推進部 IT基盤室長の青柳辰馬氏は、以前の電話帳に関する課題を次のように語った。「1つ目の課題は、社員の連絡先がスムーズに探せないこと。そして2つ目が、電話帳の作成と管理に多大な工数がかかることでした」
1つ目の課題である”社員の連絡先がスムーズに探せないこと”。
統合前のアイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュは、それぞれ”自社で作った連絡先管理ツール”と”Notes"で連絡先の管理をしていた。しかし、更新作業が追いつかず、社員が目的の連絡先が見つけられないことが多々あったそうだ。その後、リモートワーク中の連絡ツールとしてMicrosoft Teamsをメインで使うようになったが、ここでも連絡先の検索に不便を感じていたという。DX戦略センター DX推進部 IT基盤室 主幹の西田諭司氏は、当時を振り返って次のように語った。「例えば”佐藤さん”のような、検索時に該当人数が多い苗字だとMicrosoft Teamsの検索では容易にたどり着くことができず、探すのを諦めてしまったこともあります。部署・組織名から探すことができれば便利なのに、とずっと感じていました」
2つ目の課題である”電話帳の作成・管理に多大な工数がかかること”。
電話帳の統括担当が、150を超える部署に1名ずつ在籍している電話帳の担当者やグループ会社から、個々人の連絡先情報を吸い上げて、全体の電話帳を制作する。そうして完成したものを今度は各部署やグループ会社へ配布する。これを毎月行うという、大変な工数をかけて電話帳を作成・管理していた。
しかし、多大なコストをかけて作成した電話帳も、異動が多い時期には更新が追いつかなかったり、人手を介すことでミスがあったりで、連絡先に抜けや漏れが出ることもあった。さらには、頻繫に連絡する委託先などが掲載されている“エクセル管理の電話帳”も存在した。この電話帳は特定の部署にしかないため、業務で必要であるにも関わらず、社員間で共有できていない連絡先もあったという。
決め手は「連携ツールの多さ」「スマートフォン対応」、
そして「PHONE APPLIのカルチャーへの共感」
社員の連絡先をスムーズに探せて、低コストで作成・管理ができる電話帳。この条件を満たすツールとして、他社の階層型アドレス帳・自社内製ツールがまず候補に挙がった。
1つ目の候補として挙がったのは、Microsoft Teams内の連絡先をツリー型に表示できる“他社の階層型アドレス帳”だった。もともと利用しているMicrosoft Teamsにアドオンを追加するだけ、という手軽さが魅力だったが、そもそものMicrosoft Teamsの検索性の課題は改善できない。さらにこのアドレス帳は、検討時スマートフォンに対応していなかった。同社はDXを推進していくために社員へiPhoneを支給しているため、スマートフォンに対応していない電話帳は候補から外すことになった。
2つ目の候補として挙がったのは、電話帳を自社で内製する案だった。この内製ツールの開発は順調に進み、実現可能性や効果の検証まで完了していた。しかし、青柳氏はこの新たな自社内製ツールに違和感があったという。「そのとき内製していた電話帳は、単に名前と電話番号だけが載っているものでした。今の時代、連絡を取る方法は電話だけではなく、チャットやビデオ通話など多様なツールがあります。そこで次の電話帳は、様々な連絡ツールを一括で管理できるものにしようと変更を決めました」
最後に3つ目の候補として挙がったのが、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん、以下PHONE APPLI PEOPLE)だった。青柳氏はPHONE APPLI PEOPLEの魅力について、次のように語る。
「まず連携ツールの多さです。Web電話帳としての機能だけでなく、社内でメインの連絡ツールになっているMicrosoft Teamsをはじめとした、様々なコミュニケーションツールと連携できるところが気に入りました。今後、グループ全体で協力して事業を拡大していくコミュニケーションポータルとして、うってつけのツールだと感じます。さらには、PHONE APPLI PEOPLEがスマートフォンに対応していることも重要です」
青柳氏はPHONE APPLIのセミナーやオフィスツアーにも参加し、「PHONE APPLIという会社の思想に共感した」と語ってくれた。
「PHONE APPLIからは、“働き方を変えていこう”という強い気持ちが伝わってきました。この会社が開発するツールについていけば、働き方を考えていく上でアイシンにもいい影響があるだろう、とまで感じました。特にオフィスツアーは楽しいのでぜひ皆さんも参加してみて欲しいです」
社員間の連絡がスムーズになり、連絡先の管理工数も削減
こうしてアイシンは、2021年4月より本格的にPHONE APPLI PEOPLEの利用を開始。現在グループ会社含め約6万6,000名の社員が利用している。DX戦略センター DX推進部 IT基盤室 戸田裕一郎氏はPHONE APPLI PEOPLE導入後の効果を以下のように語ってくれた。「以前は、グループ会社間においてもお互いの電話番号が即座にわからず、電話の取次ぎに時間がかかっていました。PHONE APPLI PEOPLE導入後は、連絡したい相手の連絡先へ即座に直接アクセスできるため、取次ぎの必要性がなくなりました」
またPHONE APPLI PEOPLEでは、連絡したい社員を、”氏名”や“所属”だけでなく、各社員の”担当業務”や”職歴”から探すことも可能だ。DX戦略センター DX推進部 IT基盤室 安田朱里氏は、”担当業務”を検索したことによって業務効率化に繋がったエピソードについて語ってくれた。「先日、社員証関連の申請をする機会があったんです。その時、PHONE APPLI PEOPLEに“社員証”と入力して検索したら、すぐに担当者が見つかりました。以前は、担当だと思われる部署にとりあえず電話し、そこから2〜3人に取り次いでもらい、やっと担当に繋がるような状況でした。以前は大変だった作業を数分で対応できるようになったという点で、業務の効率化を実感しています」
加えて、PHONE APPLI PEOPLEでは顔写真も表示されるため、名前がうろ覚えでも連絡したい人に辿り着きやすいというメリットがあった。また、メールやチャットの誤送信の防止にも繋がる。
社内でメインの連絡ツールになっているMicrosoft Teamsとの連携も上手くいっているようだ。以前の電話帳に不便を感じていた西田氏は、次のように語った。「PHONE APPLI PEOPLEを導入する前は、Microsoft Teamsで連絡を取りたい社員を探しきれないことがありました。それが、PHONE APPLI PEOPLEをMicrosoft Teamsに連携させたことで、連絡先が見つけられずに諦めることも無くなりましたね。PHONE APPLI PEOPLEで探した相手にMicrosoft Teamsで直接チャットや電話ができるので、業務時間の短縮にも繋がっています」
また、電話帳作成・管理にかかるコスト面でもPHONE APPLI PEOPLEの効果は大きかった。PHONE APPLI PEOPLEでは、異動や担当者の変更があっても、各部署で情報を書き換えれば、すぐに全社員が変更を共有できる。
これまでのように、各部署に1人ずつ電話帳担当を配置する必要は無くなった。電話帳を作成・管理するための工数や必要人員は少なくなり、ほとんど電話帳専用になっていた分のサーバー保守までなくなり、大幅なコスト軽減に繋がっている。
今後はグループ全体12万人へPHONE APPLI PEOPLEの利用を広げていきたい
現在アイシンでは、グループ会社含め約6万6,000名の社員がPHONE APPLI PEOPLEを使用している。同社は今後、PHONE APPLI PEOPLEをグループ全体の約12万人へ展開予定で、さらにはグループ統合電話帳の導入も将来的に検討している。このことについて、青柳氏は次のように語る。
「PHONE APPLI PEOPLEを導入してから、社内のコミュニケーションは劇的にスムーズになりました。これがグループ全体へ広がっていったら、どんなに大きな効果があるのだろうかと、今からワクワクしています」
また、同社は、感謝や称賛を社員間でおくりあうツールである”PHONE APPLI THANKS”の導入も検討を始めた。青柳氏は、その経緯を次のように語った。
「PHONE APPLI PEOPLEは、単に名前や連絡先だけでなく、人事情報も管理できるツールです。各社員の担当業務や職歴が見やすいので、人事異動やプロジェクトチームを組む際にも便利そうだ”と気づきました。社員の“得意”をもっと把握して、マネジメントにも活用していきたいと思います。そのためには、もっとくだけた形で社員のパーソナルな部分を知ることができるPHONE APPLI THANKSを導入したら、面白いのではないかと感じています」
電動化や自動運転といった技術へ急激にシフトするなか、自動車業界は過渡期を迎えているという。アイシンは、PHONE APPLIのツールを活用して社員の力を最大限引き出し、この時代を乗り越えていくつもりだ。