2020年4月7日に第1回目の緊急事態宣言が発令される1カ月も前に、全社レベルでのテレワーク移行に踏み切った花王株式会社。「工場勤務など、どうしても出社が必要な社員を除いて、事務系社員は3月1日から一気にテレワークになった。移行のスピードはかなり早かった」と当時をそう振り返るのは、情報システム部門 ESM部 ICTグループでグループリーダーを務める新屋安浩氏だ。
PHONE APPLI PEOPLEとMicrosoft Teamsで、
全社テレワークをスピーディーに実現
花王が、スピーディーにテレワーク移行できた要因の1つに、かねてよりICTツールを積極的に活用してきたことがある。情報システム部門 ESM部 ICTグループ 大槻貴之氏は「当社では、コミュニケーションツールを用途・目的に合わせて頻繁に使っている。Microsoft Teamsを使ったWeb会議やチャットがコロナ前から定着していて、急な在宅勤務にもスムーズに対応できた」と話す。なお、2021年もその体制は続いており、花王グループ内全体では、2021年6月時点で、1日あたり6,000回ものWeb会議がMicrosoft Teamsで行われているという。
Microsoft Teamsに加えて、同社のテレワークを支えているのが2017年に全社展開したスマートフォン、そしてコミュニケーションポータルのPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん、以下PHONE APPLI PEOPLE)だ。Web会議とチャットが定着したとはいえ、電話の使用頻度もいまだ高い。新型コロナウイルスの感染が広がり始めた時点ですでに、社員がスマートフォンで連絡を取り合ったり、社外と電話する際にはPHONE APPLI PEOPLEで電話番号を検索して発信するスタイルが定着していた。PHONE APPLI PEOPLEは連絡先をクラウド管理できるため、社員はいつでもどこでも最新の連絡先情報を活用することができる。また、スマートフォンの端末内に連絡先情報が残らないため、端末紛失時の情報漏洩のリスクを回避でき、安心してスマートフォンを使用できる環境が整っていた。
PACDからの移行でより使いやすく、Microsoft 365とも密連携
花王は、PHONE APPLI PEOPLEの前身に当たるクラウド型Web電話帳Phone Appli Collaboration Directory(以下PACD)から継続して利用しているユーザーでもある。2017年のスマートフォン全社展開時にPACDも合わせて導入し、その後、2020年10月にPHONE APPLI PEOPLEへの移行を経て現在に至っている。
その移行時には他社ツールへの乗り換えも含めて複数のアプリケーションを検討したというが、最終的にPHONE APPLI PEOPLEを採用したのは何が決め手になったのか。
「電話帳データ移行サポートの手厚さが重要な決め手だった。PACDに登録されていたデータは当時約30万件にものぼり、なかには1人で1000件もの連絡先を登録している社員もいた。そんなヘビーユーザーでもスムーズに連絡先を移行できるようPHONE APPLIに、手厚くサポートいただいたことが大きかった」と新屋氏は語る。
そして、利便性や使い勝手もPHONE APPLI PEOPLEでは大きく改善したと両氏は評価する。「発信したい相手を探すときの検索スピードが、以前と比べて非常に向上した」と大槻氏。新屋氏も乗り換えの直後、「社員が『検索結果の表示スピードが早く、非常に使いやすい』と話す声を耳にした」という。
もう1つ、Microsoft 365との連携機能も高く評価している。花王では、Microsoft 365 とPHONE APPLI PEOPLEの認証を連携させたシングルサインオンを実現。「以前はツールごとにそれぞれパスワードが異なっていて、ユーザーも分かりにくいし管理の手間もかかっていた。今では一度認証すればそのままどちらのツールも使うことができる。この点でもユーザーの体感が大きく改善した」と新屋氏。ユーザーは1つのパスワードで複数のツールを安全に利用でき、パスワード変更の手間も一度で済む。
Microsoft Teams連携で、さらなる利便性向上を目指す
連携機能については、Microsoft 365との認証連携のほかにも、Microsoft Teams 上で、PHONE APPLI PEOPLEを起動する連携機能、PHONE APPLI PEOPLEのアプリ画面上からワンタップでMicrosoft Teamsの通話やチャットを起動する連携機能もあり、現在はさらなる連携強化を進めている。国内では花王のグループ会社すべてのスマートフォンでPHONE APPLI PEOPLEを利用。ユーザー数は2万人を超えている。電話発信時のみならず、仕事で関わる社員の所属を確認する場合など様々な場面で活用されており、まさに社内外コミュニケーションの基盤として活躍している。