CASE STUDY 導入事例

導入事例

電話・Web・LINEの3種で予約できるシステムを完成させ、
安心かつスムーズなワクチン接種を実現

大阪府箕面市

POINT

  1. ワクチン接種予約システムの完成が急務だった
  2. 電話・Web・LINEの3つの方法で予約可能なPHONE APPLIのシステムを導入
  3. ワクチン接種の運用に大きな混乱はなく、高い予約率を実現
logo.jpg

今なお猛威を振るう新型コロナウイルス。国内でのワクチン接種が始まってから、全国の自治体は住民への接種を少しでもはやく進めるために日々尽力している。大阪府北部に位置する人口約13万人の都市、箕面市も例外ではない。市内3カ所にワクチン接種会場を設置することになった同市は、運営をスムーズに進めるための「予約システム」の完成が急務だった。



1.jpg
箕面市役所庁舎

電話・Web・LINEの3通りで予約できることが、第一条件だった

箕面市健康福祉部地域保健室 参事の那谷 進氏は、ワクチン接種の予約システムに求めていた条件として、以下の3つを挙げた。

条件1. 電話・Web・LINEの3通りの方法で予約できること
条件2. 1回の申込みで2回分の予約ができること
条件3. 予約が完了したときに予約番号が発行されること

1つ目の条件である「電話・Web・LINEの3通りの方法で予約ができること」は、自治体としての平等の観点からも重要だ。自治体が実施する施策は、誰にとっても平等で、不便を感じる住民が出ないように配慮する必要がある。今回の予約システムにおいて、WebとLINEで手続きできるようにすれば、利便性は格段に上がる。一方で、高齢者の中にはパソコンやスマートフォンに馴染みのない方もいるため、電話予約も欠かすことができない。同市は電話・Web・LINEの3通りの方法で予約ができるシステムを探したが、那谷氏によると、この条件を満たすシステムを見つけるのに苦労したという。「いざ資料請求をしてみると、“LINEには非対応”ということが多くて。逆に“LINEには対応するが、Webには非対応”というところもあり、3つを同時に満たすシステムがなかなかありませんでした」

2つ目の「1回の申込みで2回分の予約ができること」という条件には、接種するファイザー製ワクチンの特徴が関係していた。ワクチンが供給される際、国からは「ファイザー製のワクチンは、3週間後の同じ曜日に2回目の接種をすること」という情報が示された。同市としては、1回目と2回目を同時に予約できるシステムにすることで、混乱なく3週間後に2回目の接種ができるようにしたいと考えていた。

3つ目の条件である「予約が完了したときに予約番号が発行されること」は、市民からの問い合わせに対応するために必要だった。予約システムが稼働し始めた際、市民からは「自分は正常に予約できているのか」という問い合わせが多く寄せられることが想定される。このような問い合わせに適切に対応できない場合、予約できていない方が接種会場に来てしまい、混乱をきたす可能性があった。そこで同市が対策として考えたのが、“予約番号を発行する”こと。予約が完了した方にだけ予約番号を伝えておけば、問い合わせがあった際に「予約番号が表示されていれば、予約できています」と説明しやすい。

求めていた条件を全て満たすのが、
PHONE APPLIのワクチン接種予約システムだった

箕面市はさっそく、3つの条件を満たすツールを求めて情報収集をおこなった。しかし、第一条件だった“電話・Web・LINEの3つの方法で予約ができるツール”は少なく、候補はPHONE APPLI含めて3つに絞られた。3社の中から最終的にPHONE APPLIを選んだ理由を、那谷氏は次のように語る。

「ワクチン接種は市民の健康に関わることなので、絶対に失敗できません。使うシステムが信頼できるものなのかという点は重要視しました。その点、PHONE APPLIはシステムの要件定義の過程で、“これはできるけれど、これはできない”とはっきり、曖昧にすることなく伝えてくれたので、信頼できると感じました。以前から当市と関わりのあるセールスフォース・ドットコムからもPHONE APPLIと同社との協業実績を聞いていた点も、信頼に繋がりましたね」

検討の末、PHONE APPLIで予約システムを構築することに決めた同市。その後の完成までの過程を那谷氏は次のように振り返った。「今回のシステム構築は、日々変化する状況に対して、タイトなスケジュールで対応していただく必要がありました。さまざまな理由で開発スケジュールに遅れが出てしまうこともあったのですが、PHONE APPLIの開発担当には真摯に対応していただけたため、不安はありませんでした。急遽、“過去の接種予約を遡って修正する”、“2回目の接種予約だけを修正する”などといった要件を追加する必要が生じた時にも、迅速に対応していただきました。最終的にはスケジュール通りにシステムが完成したので、PHONE APPLIにはとても感謝しています」


2.jpg
新型コロナワクチン接種予約管理システムイメージ

ワクチン接種予約は、大きな混乱もなくスムーズに進行

予約システムが完成し、箕面市のワクチン接種は順調に進んだ。7月初旬時点で、受付した予約は25,089回分。キャンセル分も含めると30,392回分にも上る。ワクチン接種対象者は60歳以上の市民約4万人だということを考えると、大変高いカバー率を誇っている。これほど大勢の人に対してスムーズなオペレーションができているのは、予約システムの性能に依る部分が大きい。ファイザー社製の新型コロナウイルスのワクチンは、1度目の接種をしてから3週間後に2度目の接種をしなければならない。同市ではこの複雑な管理をするために、最初の申込み段階で2回分の予約ができるようなシステムに設計した。その成果について、那谷氏は次のように語る。

「今のところ、ほとんどの市民のみなさんに適切なタイミングで2回の接種を受けていただいています。2回分の接種をいちどに予約するため、間があきすぎてしまったり、逆に2回目の接種を早くしすぎてしまったりといったことはありません」

さらに、PHONE APPLIの接種予約システムから取り出した予約データを、VSR(ワクチン接種の記録システム)の接種済データと突合することで、「予約したのにワクチン接種をしていない人」や「急遽予約なしでワクチンを打った人」も正確に把握できているという。予約が完了した方に対して「予約番号」を発行したことも効果的だった。事前に想定していた通り、市民からは「ちゃんと予約できているのか分からない」という問い合わせも寄せられている。これに対してオペレーターは、「予約番号が表示されていれば、予約は完了している」と案内すればいいため、現場では「案内がスムーズにできる」と好評であるとのこと。また、中には予約できていないのに会場に来てしまう市民もいるが、その際に「予約番号が発行されていないということは、予約ができていない」と説明をすれば、納得していただけるケースが多い。 那谷氏は次のように語る。

「多くの人が不安でナーバスになっている中、証跡となるものがないとすごく揉めやすいものです。職員の消耗を防ぎつつ、市民の方々に納得感のある説明をするために、とても効果を感じています」

「LINE公式アカウントの友だち登録数が急増」という意外な効果

ワクチン接種の予約をLINEでも受け付けたことで、意外な効果もあった。同市のLINE公式アカウントの友だち登録数が6,000人から18,000人へと3倍以上に増加したのである。そこで今回、LINEで自衛隊の大規模接種センターや大阪府の大規模接種会場の予約情報を流したところ、大変好評だった。というのも、現在箕面市では国からのワクチン供給が不足していることもあり、若年層へは接種券を配布するのみで市の接種会場の予約が取れない状況になっている。しかし、接種券を持っていれば「市の接種会場以外」での予約、例えば自衛隊や大阪府の大規模接種会場でワクチン接種が受けられる。そこで、LINEで自衛隊と大阪府の予約情報を流したところ、市の集団接種会場の予約を取れていない市民が、どちらかの会場でワクチン接種できたケースも増えてきているという。LINEの今後の活用方法について、那谷氏は次のように語った。「当市では、これまでLINEを使って防災情報をメインに発信してきました。登録者が増えて発信力が増したと思うので、今後も引き続き市民にとって重要な情報を伝えていきたいです」

今後は若年層にも、ワクチン接種を展開

予約システムを作り上げ、まずはワクチン接種の順調な滑り出しに成功した箕面市。同市の新型コロナウイルス感染症対策の最前線に立つ那谷氏は、今後の展望について最後にこう語ってくれた。

「当市ではすでに、16歳以上の全年齢に接種券の配布を始めています。65歳以上の送付も終わっていない市町村があるなか、当市のスピードは大阪府内でもトップクラスだと自負しています。今回、PHONE APPLIの皆様にお力を貸していただけたことで、“接種券の送付”・“予約システムの完成”と、ワクチン接種を進めていく土台は出来上がりました。あとは、随時システムに修正を加えながら、ワクチン接種を迅速に進めていき、少しでも早く市民が安心して生活できる日常を取り戻していきたいです」

大阪府箕面市
会社名・自治体名
大阪府箕面市
導入サービス
  • ワクチン接種予約システム