日本を代表する総合商社、伊藤忠商事では「ビジネスの次世代化」を目指し、全社を挙げたデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されている。社員の働き方では「いつでも、どこでも、どんなデバイスでも」をテーマに全社員へのシンクライアント端末配布、BYODによるスマートフォン活用、Microsoft Exchangeによるメール基盤の刷新、コミュニケーションツールMicrosoft Teams、社外とのオンライン会議ツールZoomの活用などに加え、2020年には経営会議のペーパーレス促進をきっかけにiPadも全社展開。RPAの活用、ファイルサーバのBoxへの移行、社内の申請書ワークフロー電子化などが、次々と進められている。
こうした取り組みは、コロナ禍でも社員の安全を守る効力を発揮。緊急事態宣言下では発令された地域のみならず国内拠点一律で原則全社員が在宅勤務を行い、その後も情勢の変化に応じて迅速かつ柔軟に、働き方を変化させることが可能となっている。
社内電話帳システムの更改を機に、PHONE APPLI PEOPLEを全社に展開
同社は長く利用してきた社内電話帳をPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)に刷新。2021年1月から、全社約8,500IDでの利用を開始した。
IT・デジタル戦略部 技術統括室長の冨永新也氏は、検討の経緯を次のように語る。「従来の社内電話帳は、自社専用に開発されたオンプレミス型のシステムでした。視認性や検索性等に優れていて、長い期間社員からも親しまれてきました。一方でOSや機器のEOSLのタイミングを迎えていたことと、現状ではPCでの利用にとどまっており。スマートフォン等の利用ができず、SaaS化が進んでいるその他コミュニケーションツールとの連携性にも課題を抱えていました。それらの課題の解決や社員機動力アップのために、利便性とセキュリティに優れた汎用型のSaaS社内連絡帳の導入を検討することにしました。」
汎用SaaSでありながらニーズに応える柔軟性を評価
他ツールとの連携で社員の「コミュニケーションポータル」として期待
数あるサービスの中からPHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)を採用した理由について、IT・デジタル戦略部 技術統括室の服部麻美氏は「従来の電話帳が自社専用で検索性や視認性などに優れていただけに、新サービスにも同様の使いやすさが求められました。PHONE APPLI PEOPLEは直感的な操作性に加えて、SaaSでありながら同期社員を検索する機能や、自部署を初期表示してほしい、といった当社独自のリクエストにも対応可能な柔軟さが決め手となりました。さらにMicrosoft TeamsやCisco Webex Callingなどとの連携も可能であることで、社内に独立して存在するコミュニケーションツールのポータルとしての機能にも期待しました。」と話す。
冨永氏は、「PHONE APPLI PEOPLEは、常に最新機能が自社の保守なしに利用できるクラウドサービスとしてのメリットと、汎用でありながらユーザーが求める使いやすさに柔軟に応えてくれるという点で、ほかにはないサービスでした。」と高く評価する。
PHONE APPLI PEOPLE×Microsoft Teamsで、
「人」起点のコミュニケーションが実現
利用開始後、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)は社内にも比較的スムーズに溶け込み、スマートフォンアプリでの利用も可能になったことで、在宅や移動中を含む様々な場面での利用における利便性も大きく高まった。PCとスマホからPHONE APPLI PEOPLEで社員を検索すると、そのままMicrosoft Teamsでのコンタクトも可能。これまでのツールごとではなく、人起点での社内コミュニケーションが実現している。
PHONE APPLI PEOPLE×Sansan×Cisco Webex Callingの、
三位一体連携が実現する理想の姿
さらに期待されているのが、PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)と名刺管理のSansan、さらにクラウドPBXのCisco Webex Callingの三位一体での連携だ。服部氏はその効果について「現在はまだ社内のコミュニケーションに閉じられた利用方法ですが、Sansanで取り込んだ各自の名刺情報をPHONE APPLI PEOPLEとデータ連携することで、社外のお客様、パートナー企業との連絡のしやすさが実現します。さらに当社ではコロナ禍での在宅勤務の際もスマートフォンで会社番号・回線での発着信を可能にするCisco Webex Callingも展開していますので、この3ツールが連動すれば、相乗効果でまさに当社が求める『いつでも、どこでも、どのデバイスでも』の働き方が実現します。このメリットが社内に浸透することでBYODの個人デバイスへの連絡先登録にまつわるセキュリティ課題や、通話料の個人負担問題も解消できます。」と話す。この連携開発はRPAも活用して実行中で、今年度内には社内にあるPBXも撤廃される予定とのことだ。
さらに利便性を高める機能アップデート、働き方のDXに関する総合的な支援に期待
同社では、こうした新たなツール活用による働き方を学ぶ「スマートワークDXツール研修」を毎月実施。全社を挙げて業務効率を高め、同社の強みである個の力を発揮して「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」という企業理念の実現を目指す取り組みが続けられている。
最後に、PHONE APPLI への期待について語っていただいた。
「PHONE APPLI には、これまで個別リクエストの実装にも常に迅速に対応いただき、感謝しています。PHONE APPLI PEOPLE(旧:連絡とれるくん)はさらに表示方法や設定の自由度を高めていただきながら、ユーザーにとって本当に有用な、利便性を高める機能アップデートを続けていってくれることを期待しています。」(服部氏)
「PHONE APPLI はこちらからのリクエストに対し、他のユーザーにも有効と捉えていただけるとその取り込みが非常に速い点が助かっています。これからも『新常態の多様な働き方を支援する』という当部のミッションに有効な、働き方のDXに関する総合的なコンサルテーションおよびソリューション提供に期待しています。」(冨永氏)
さまざまな業態の事業を行なうカンパニーやグループ企業が多い同社では、いま全社でデータ活用によるさらなるシナジーの創造にも注力している。PHONE APPLIでは同社に対し、開発中の「グループ統合電話帳」により各社が独立した管理と利用を行いながら必要に応じてシームレスにつながることのできる、コミュニケーションの新たな形を提案していく予定だ。