「世界は顧客が変える」読みました
2016年12月20日に発売されました日経ビジョナリー経営研究所 編集
「セールスフォース・ドットコムの挑戦 世界は顧客が変える」
を購入させて頂きましたので私なりのまとめを簡単ご紹介させて頂きます。
個人的な感想としては、セールスフォース社の経営トップの顧客を大切にする姿勢が理解できたこと、日本法人としての展開や、3つの事例を通じて単純なCRMではなく業種・技術・顧客への広がりを知ることができて大変有意義でした。
セールスフォースが好きな方は、さらに好きになってしまう本です。
書籍の章立てとしては3章に分かれており以下のような内容になっています。
- 1章:巨大イベントが映す快進撃の核心
Dreamforceのスケールの大きさや企業の成長ストーリー - 2章:買い手が強い「顧客の時代」が到来
セールスフォース社の戦略に関わる話 - 3章:顧客起点の経営改革が始まってる事例の紹介
1章:セールスフォースのスケール
冒頭に設立16年で年商66億ドルまで成長したストーリーと世界最大規模のイベントDreamforce(ドリームフォース)の参加者が世界中から17万人であることが紹介されています。
私も今年初めてDramforceに参加させて頂きましたが、これまで参加していたIT系の海外イベントと比べても規模の大きさに驚くばかりでした。
通常IT系のイベントはパートナーの幹部が参加をするのが一般的ですが、Dramforceの場合はエンジニア向けのセッションが多くあるため、パートナーの現場のエンジニアが多く参加します。
さらに、エンドユーザも参加するため、新たに発表されるメッセージが現場目線に近いように感じました。
本書でもマーク・ベニオフCEOの顧客目線が幾度となく紹介されています。
CTOのパーカー・ハリス氏と日本の接点
1章ではセールスフォース・ドットコムの共同創業者でありCTOのパーカー・ハリス氏のことについても紹介されています。
10年以上前にセールスフォース社が日本への展開を進める内容が紹介されています。当時は海外のクラウド=顧客情報が海外に置かれることに対する慎重且つネガティブな思考があった時代。日本の名だたる企業へサービスを導入するハードルの高さというのは容易に想像できますが、その顧客ニーズに対してパーカー・ハリス氏が技術のトップとして改善に取り組んだ内容が紹介されています。
マーク・ベニオフ氏と共に日本の事情に合わせたクラウドを構築してきた歴史が理解でき、顧客目線というのはどういうことかを勉強させて頂きました。
2章:顧客の近いところにあるスマホ
セールスフォース社の戦略において、私が共感している点としてはSalesforce1とChatterの展開です。
スマートフォンが登場した際、これでCRMも活用できればと当時他社のCRMを利用中だった私は、モバイル活用について試行錯誤したことがありました。
しかし、モバイル用の分かりやすいインターフェースが無かったり、設定をするのが面倒だったり、参照のみで一部しか更新できなかったりとモバイルでCRMというのは当時定着しませんでした。
そんな中、セールスフォース社としても新しいUIとしての登場であったSalesforce1と活動がフィード化するChatterは私の中では大きな驚きでしたし、この戦略を改めて知り、トップの強い意思によって推進されているものということを知ることができました。
CEO自らがスマートフォンでワークスタイルを変えようとしており、今後の顧客と密につながるためのヒントが多く紹介されており、自社のサービスに置き換えて大変勉強になりました。
3章:顧客のニーズと共に変化していく事例
3章では、セールスフォース社の事例としては有名な3社の企業の導入事例が紹介されています。
1つ目は損害保険ジャパン日本興亜様の事例で、金融という業種がどのようなことを考えてセールスフォースを導入したかがよく分かる事例でした。
生活を変えるデジタルプラットフォームというキーワードが登場しましたが、デジタル化が進むことによって便利な時代になった結果、顧客の行動パーターンが変わっていることを数値で分析できる時代になったとのこと。
企業合併に伴うITインフラに関するトップの意思決定も非常に勉強になりました。
2つ目はサトーホールディングス様の事例でお客様に提供する機器の保守のためのIoTの仕組みが結果としてサービスの価値を高める仕組みになった事例で、IoTの活用ステージもこのような事例のように成長させていくものだと気付かされました。
3つ目は高級旅館 鶴巻温泉 元湯陣屋様の事例。セールスフォース社のAppExchangeでも異色のアプリとして並んでいますので、私もエンドユーザなのにサービス提供?と以前は思いましたが、自社のためのシステムが旅館業界のエコシステムへと発展している事例です。
何もないところからクラウドの「仕組み」が会社の文化に成長していく過程は書籍の中では数ページであっても非常に多くの改善があったことと思います。
3社とも事業規模も業種も全く異なりますが、1つの大きな学びとしてはクラウドを導入して○○の効果が出ましたと言った1つの結論ではなく、セールスフォースを導入したことにより従業員の意識が高まり、導入後に更に発展的なストーリーがあるという点。
当社も今年をスタートに、セールスフォースで新しい歴史を作っていければと思いました。
企業を育てる活動「セールスフォース・ベンチャーズ」
最後に日本における取り組みもいくつか紹介がありますが、セールスフォース・ベンチャーズについても触れられていました。投資先はベンチャー企業30社とのことですが、その中の1社が当社Phone Appliです。今まで無かったサービスを創り上げる一躍を担っていますが、当社単独でのビジネスではなくセールスフォース社のこれまでの取り組み同様、様々なエコシステムの元に成長していければと考えております。
セールスフォースを既に導入済みの方であれば、これまでの歴史を簡単に知ることができる本としてお勧めですし、セールスフォースを導入していない方であれば、クラウド特にセールスフォースのクラウドには多くの可能性があることを知ることができる本だと思います。是非ご一読ください。