ウェルビーイング経営

必要なのはたった3つのステップ?「ウェルビーイング経営!」を徹底解剖!

こんにちは!PHONE APPLIです。
このPA Blogでは、PHONE APPLIが2022年3月に出版した「ウェルビーイング経営!」より、一部抜粋して紹介いたします。
というわけで第4弾です!既に書籍「ウェルビーイング経営!」をご覧になった方も、そうでない方も、この記事で初めてPA Blogをご覧になった方も、ウェルビーイングをより身近に感じていただけたらと思います。
今回の記事は大ボリューム!飲み物片手に、ゆっくりご覧になってください。

前回はPHONE APPLIがウェルビーイング経営を目指す前、改革に踏み切らざるを得なかった赤裸々なエピソードをお伝えしていきました。

今回はPHONE APPLIの行ってきたウェルビーイング経営で押さえるべき3つのステップを紹介していきます!
前回のブログの終わりで、「社員のウェルビーイング」を会社の目標として掲げるのがウェルビーイング経営の第一歩と述べましたが、では、実際にウェルビーイング経営を導入するにあたって、大切なことは何でしょうか?
それは、全体像を持つことです。
すでに読者の皆さんの会社の中でも、社員の意欲を高めるための施策、社員の満足度が向上するための施策を行っているかもしれません。実際、福利厚生や人事制度、組織改善など、部分的な施策はすでに何らかの形で実行されている会社は多いと思います。しかし目的がバラバラであったり、ウェルビーイングという観点でプランされていなかったりして、それぞれの施策の成果(うまくいっているかどうか)が認識できていないのではないでしょうか。
また、施策の受け手側となる社員としても、それを当たり前に思っていたり、「何のためにやっているの?」というような疑問を持ったりと、やっている側は結構大変なのに、それが報われていないという感覚があるのではないかと思います。
そこで私たちは、それら1つひとつの施策が独立した点のように実行されているうちは、ウェルビーイング経営的な取り組みとはいえないということに気づきました。
それでは、どんな全体像を持てばよいかを説明したいと思います。ウェルビーイング経営における全体像は、

という、大きく3つのステップに分けられます。
これらのステップを見て、PDCAサイクル(Plan〈計画〉、 Do〈実行〉、 Check〈評価〉、Action〈改善〉の頭文字をとったもの)と似ていると感じられた方もいるかもしれません。その通りであり、ウェルビーイング経営もPDCAサイクルと同様に「確認」と「行動」を繰り返していくことが大切なのです。では、この3つのステップそれぞれを深掘りして見ていきましょう。

ウェルビーイング経営3つのステップ

ステップ1〈宣言〉

まず、ステップ1の宣言です。
ウェルビーイング経営は、1人のためのものでも、1人でやるものでもありません。 会社、組織、チームのメンバー全員の幸せを願い、その実現を目指して様々な施策を行うものです。 そのようなウェルビーイング経営を前進させる際に重要なことが、経営者による「宣言」です。宣言とは、つまるところ経営者のウェルビーイング経営についての考えを言語化することであり、言語化によってウェルビーイング経営と関連する取り組みを社員に理解してもらえますし、社員と会社が幸せな方向へと進めます。

では、宣言をするにはどうしたら良いのでしょう?
答えは、ビジョンを明確に打ち出す、ということです。大規模法人が健康経営優良法人の認定を受けるには、経営者がトップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいることが必要です。つまり、宣言をすることはウェルビーイング経営という視点だけでなくても、必要なことなのです。

このため、ウェルビーイング経営に取り組むというビジョンを打ち出すことで、会社(経営者)の姿勢が周知されます。ただ、「ウェルビーイング経営を目指します」というだけでは、あまり明確であるとはいえません。 私たちPHONE APPLIの場合は、社長の石原が「皆が生き生きと働き、お客様の成功に尽力する企業になる」というビジョンを掲げました。社内的にウェルビーイングな会社であり、また対外的にも世の中から必要とされる企業であり続けることを目指したビジョンです。また、ビジョンを掲げるだけでなく、経営者がウェルビーイング経営に対する意欲を持ち、それを全社会議や朝礼などさまざまな機会で継続的に伝え続けることも不可欠といえるでしょう。

ステップ2〈確認〉

ステップ2の確認とは、今の状態、取り組みの結果を可視化して分析することです。
いざウェルビーイング経営を目指すと宣言しても、今の自分たちの会社がどういう状態なのかがわからなければ、宣言のあとにどういった行動をすればよいかわからないことでしょう。

この確認という作業は、ウェルビーイング経営のスタート期だけでなく、ある程度、ウェルビーイング経営が進んだ状態でも定期的に必要となります。確認の手段としては、さまざまなサーベイ(計測、調査の手法)があります。社内アンケートもその1つです。また、従来から存在するストレスチェックや従業員満足度(ES)調査もサーベイの手法として用いることができると思います。これらは重要な指標となりますし、多くの企業から必要とされているツール・手法ではありますが、一方であくまでも社員が「会社に対して」行う評価測定という側面もあります。そのため、これらのツールは環境面での改善には役立ちますが、もっと主観的な企業風土の改善には物足りない部分があります。

■ウェルビーイング・カンパニー・スコアを開発、リリース

組織を診断するサーベイとしてさまざまなサービスが乱立している中、PHONE APPLIの状態を可視化するサーベイは何が適しているのか?私たちは、この問いを役員や関係者を交え、数か月かけて議論しました。そうして開発したのが、ウェルビーイング・カンパニー・スコア(Well-being Company Score:以下、WCS)です。

私たちも他社の組織診断サーベイを利用していた時期がありましたが、議論を重ねていくうちに、シンプルに社員・組織の幸福度を測定したい、自社サービスで蓄積してきたさまざまな社員データとの相関を調べ、研究したいという思いが強くなり、自社で開発する結論にいたりました。この自社で開発するサーベイについては、ウェルビーイング経営に関する研究をすることも視野に入れていたため、特に設問にはこだわりました。

設問は、以前から拝読していた前野隆司先生、小森谷浩志氏、天外伺朗氏の著書『幸福学×経営学次世代日本型組織が世界を変える』(内外出版社)に掲載されていた12問を利用させていただくことにしました。この12問は、先述したホワイト企業大賞企画委員会が策定した「ホワイト企業指数アンケート」40問の中から「ホワイト企業大賞」企画委員を務める前野先生が解析して導き出されたものです。 WCSの開発・リリースにあたっては、前野先生、天外氏にも相談し、両氏より応援メッセージをいただいています。これから組織の状態を可視化したいという方、ウェルビーイング経営を始めたい方は、まずこの12問のWCSで測定してみてはいかがでしょうか?

このWCSは、測定することが難しかった企業の幸福度を継続的に可視化し、社員や管理者の自発的な成長を促し、組織の幸福度を向上することができるサーベイです。
直接的な働きがいに関連する「いきいき因子」、互いを尊重し合い自由闊達な仕事ができているかを表す「のびのび因子」、そして自分の成長を実感できているかを表す「すくすく因子」で構成されています。このWCSの設問に対して回答者(社員)は、「1.全くそう思わない」「2.ほとんどそう思わない」「3.あまりそう思わない」「4.どちらともいえない」「5.少しそう思う」「6.かなりそう思う」「7.とてもそう思う」の7段階で回答します。

経営者やリーダーの立場から見れば、これらの結果の中で特に数値の悪いところから対策を練っていく、という流れになるかもしれません。しかし、WCSでは、以前と違う「ズレ」を早期発見し「対話」することを目的としています。部署ごとの数値を比較して優劣をつけるのではなく、「幸せの形」と「成長し続けるプロセス」を重要視するものです。

よって、ほんの少しでも成長した点、強みを発見して、組織の活性化やイノベーションにつなげることを意識するようにしています。決して、スコアが低いチームを非難したり、低い点数をつけた人は誰だろう?と犯人捜しをしたりしてはいけません。信頼関係を著しく失ってしまうことになります。WCSに限らず、どのサーベイも導入目的や運用ルールが大切です。

■フリーコメントで「幸せ」感度を高める

またWCSは、「あなたにとってこの1か月はどんな1か月でしたか?」「この1か月で、うれしかったことや楽しかったことがあれば、ぜひ共有してください」など、質問者側が自由に設定できるフリー質問欄があります。回答者は記述形式で自由にコメントすることができ、これによって、社員が定期的に現状を振り返り、「幸せ」と向き合う機会をつくって、数値には表れない社員の状態を知る手がかりにしています。この記述式の問いを入れるかどうかは任意です。無記名のサーベイのため、時には辛辣な意見が書かれることもあります。ポジティブな意見だけでなくネガティブな意見も含めて、社員1人ひとりの気持ちを精一杯受け取ることができる貴重な機会と捉えましょう。PHONE APPLIでは、WCS以外のさまざまなサーベイも実施しています。毎月開催している全社会議のあとも、必ずサーベイを実施しています。そうすると、私たち経営陣に対する厳しい意見が飛び出すこともあります。

フリーコメントに書かれた1つひとつの意見に、何らかの形や場(会議の席上や社内報など)でレスポンスを返していく必要があると思います。そうすることで、社員との信頼関係が築けます。PHONE APPLIでは定期的なサーベイだけではなく、全社チャットの中で「なんでも相談部屋」として、誰でも疑問に思うことを相談できる場所があったり、また役員に対して直接悩みごと・困りごとを相談できる目安箱を置いたりと、「相談したい」「疑問を解決したい」「話を聞いてほしい」と思ったときに、自分にとって最もやりやすい方法で声を挙げてもらう仕組みを複数用意しています。

取締役宛ての目安箱に投稿される社員の声の例は、会社の制度に対する意見や要望をはじめ、仕事における具体的かつ深い相談から、マネージャーとソリが合わない、という対人関係の悩みまでさまざまにあります。ここまで読んで、「役員に直接相談なんて、組織のマネジメント上、問題があるのでは」と思われた方もいるかもしれません。たしかに、そうした懸念は否定できるものではないと思います。マネージャーとソリが合わないという場合であれば、マネージャーの立場からは「それなら直接言ってくれれば良いのに......」と感じてしまうこともあるでしょう。

それでも私たちがうまくいっているのは、ここで述べたフリーコメント欄などで見られるように、自由闊達に意見を交わす文化が浸透しているからといえます。ちなみに、2020年に入社したばかりのあるマネージャー職の者は、あまりに意見が自由に交わされる様子に驚いていました。こうした自由にものをいおうと思える風土は、ウェルビーイングの要素の1つである「心理的安全性」が比較的高い状態にあるのではないかと考えています。

■WCSのサイクル

WCSは、できれば毎月、それができなくとも隔月で測定するのをおすすめします。同じサーベイを繰り返し行うことで、会社の現状や課題を見逃してしまうのを防げます。
WCSのレポートが出てきたらまずやることは、回答してくれた社員と一緒に結果について振り返ってみることです。 そして、回答してくれたことに対する感謝の気持ちを表すことが必要です。そうすることによって、次回以降も社員の協力を得られ、この取り組みへの理解も深まります。

以下がWCSを導入したときの運用イメージです。まずは、

  1. 社員に対してWCSの測定を行います。次いで、
  2. 先ほどのレポートが発行され、組織の幸福度を可視化します。そして、
  3. 分析をもとに社員の幸せを実現するための戦略立案という段階に移ります。

戦略を立てる際に必要なことは、先ほども述べた通り、WCSのスコアが絶対的に高い、または低い項目よりも、以前と違う「ズレ」を早期発見し「対話」すること。そして、部署ごとの数値を比較して優劣をつけるのではなく、「幸せの形」と「成長し続けるプロセス」を重要視することが大切です。万が一、スコアが大きく下がってしまった部署があれば、組織上どのような問題が発生しているのかヒアリングし、共に対策を考え、サポートするようにします。

早期に変化に気づくことができれば、何が影響したのか、どういうことを行えばよいのかが自ずと見えてくると思います。たとえば、やりがいを感じていないことが組織の課題になっていたら、やりたいことを聞き出して目標の1つに追加したり、目標設定を適切にしたりします。

上司と部下のコミュニケーションに不足があると思われたら、コミュニケーションの頻度を増やしたり、生活リズムが乱れているという原因に対しては健康に関する学習機会を提供したりするなどです。
この立案ができれば、あとは④「実行」するのみです。
また、1つのサイクルが完了して終わりではなく、WCSの測定を定期的に行い、良い方向に成長しているのか、または改善が見られるかどうかを観測し、リプランニングしてまた実行するという、①〜④を繰り返し続けていくことが大切です。 皆さんも会社の社員全員でぜひWCSの12問に取り組んでみることをおすすめします。

ステップ3〈行動〉

ステップ2の確認についての記述がだいぶ長くなりましたが、確認はそれだけ注意深く、多角的に見なければならないプロセスであるということです。
そして、確認の次には行動に移ります。いうまでもなく、行動は実際に取り組みを行うことです。ステップ2の確認で、どこに社員の不満があるのか、どうすればウェルビーイングにつながるかに気づいたら、改善点を意識した取り組みを行います。もし読者の皆さんの会社でWCSの計測をしたら、さまざまな結果が出ると思います。

ウェルビーイング経営的に良い会社であれば、3つの因子すべてが高スコアとなるかもしれませんし、反対に、ただただ低い数値が出てしまうという場合もあるでしょう。WCSは回答者それぞれの気持ちを表現したものであるため、社員の心の状態ともいえます。したがって、「WCSのスコアを上げていこう!」と単発的なキャンペーンを実施しても設問のスコアがすぐに上がる、というようなことはないと考えています。また、幸せは目指すものではなく、気づくものです。

その点が、いわゆる社員満足度やモチベーション調査のような、会社についての社員からの評価や満足度を測るサーベイとの大きな違いです。では、「もう何をやっても意味がないのか?」と途方に暮れる必要はありません。WCSの結果について「働く幸せに影響を与える要素って何だろう?」「これまでやってきたいろいろな取り組みは、何を目的にしていたのか?」と考え続けた結果、私たちは4つの要素に気づきました。 それを「三角形」に並べてみると、なるほど、と納得できる構図ができました。

今の組織がウェルビーイングな状態かどうかを測定しませんか?

組織の幸福度や風土を可視化する組織の健康診断組織の健康診断「Well-being Company Survey」

ウェルビーイングな状態は測れるものでなければ、改善していくことができません。Well-being Company Surveyとは、幸福経営学研究の第一人者ホワイト企業大賞委員長である天外伺朗氏と慶応義塾大学 前野隆司教授協力のもと、PHONE APPLIが開発したパルスサーベイ※です。基本設問は3つの因子から12問(約2分で回答)。手軽に受けられて無理なく継続できる組織の健康診断です。

登録料・利用料無料でご利用いただけます!

【無料資料ダウンロード】組織の幸福度や風土を可視化する組織の健康診断「Well-being Company Survey」

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