ウェルビーイング経営を導入する3つの利点(メリット)と、取り組むための具体的な方法とは?
「ウェルビーイング経営の導入を検討している」
「"ウェルビーイングは良い"と聞くが、具体的に何が良いのか?メリットを知りたい」
「せっかく導入するのなら失敗したくないので、具体的な方法も知りたい」
ウェルビーイングとは人が身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることをあらわす概念で、「幸福」と訳されることも多いです。ここ数年、ウェルビーイングの考え方を企業経営に取り入れて、社員の健康や幸せにフォーカスする会社が増えています。
ただ、せっかく導入するのなら「ウェルビーイングのメリット」を知っておきたいところです。そこで本記事では、ウェルビーイング経営について、以下のポイントを中心にお伝えします。
ぜひ本記事の内容を、自社のウェルビーイング経営の導入にお役立てください。
ウェルビーイングを導入するメリットとは?
社員が健康で幸せな状態であることを表すウェルビーイングですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットとしてあげられるのは次の3つです。
- 社員の生産性向上
- 人材不足を解消
- 医療費の削減や休職者の防止
1. 社員の生産性向上
1つ目は社員の生産性向上です。
ウェルビーイング経営によって身体・精神的に健康な社員が増えることで、一人ひとりの仕事に対するモチベーションが上がり、パフォーマンスも高まります。
社員の健康状態が良くなれば、精神的な余裕が生まれます。その結果、仕事が効率的になり、社内コミュニケーションが円滑に。職場の人間関係などの悩みも減り、社員にとって居心地のよい職場になるでしょう。
2. 人材不足を解消
2つ目は人材不足の解消です。
ウェルビーイング経営を積極的に行うことで「社員の健康維持・向上にポジティブな会社」というイメージを持ってもらえます。世間のみならず求職者へ好印象を与えられるため、採用活動にも良い影響を与えるでしょう。
「何度も求人をかけているのに人材が集まらない・・」という悩みも、解消されやすくなるかもしれません。
3. 医療費の削減や休職者の防止
3つ目は医療費の削減や休職者の防止です。
健康保険料や医療費は会社にとって大きな出費のひとつ。社員の健康がおろそかになった結果、病院にかかる社員が増え、健康保険料や医療費の負担が大きくなります。
くわえて体調の優れない社員が増えると、それに伴い欠勤や休職者も増えるため、人員確保が必要です。そのたびに欠員状態で運営することになりますので、会社全体の生産性低下にもつながりかねません。
ウェルビーイング経営によって身体・精神的に健康な社員が増えれば、休職者が減る上に医療費の大幅な削減にもつながります。コストを削減しながら生産性を上げられるなど、ウェルビーイング経営の導入は企業にとっては良いことづくめです。
ウェルビーイングに取り組む具体的な方法
ウェルビーイングのメリットをお伝えしましたが、これだけではまだイメージが掴みにくいかもしれません。そこで本章では、ウェルビーイングを実現するための具体的な方法をいくつかご紹介します。
1. 労働法を遵守できる環境を作る
1つ目は労働法を遵守できる環境を作ることです。ウェルビーイング経営にかかわらず労働法は必ず守らなければなりません。ですが、いわゆる「ブラック企業」など法を遵守していない企業も少なからず存在します。
たとえば「1日の労働時間が8時間を超えている」「有給休暇が取りにくい」「健康診断が自己負担になっている」など。社員を雇用している場合は、労働法の基準を満たせているかどうかを今一度確認しましょう。
2. ヘルスチェックを導入する
2つ目はヘルスチェックの導入です。ヘルスチェックとは社員の健康をチェックする制度のこと。代表例に「ストレスチェック」などがあります。
ストレスチェックは常時50人以上の従業員を雇用している企業に義務付けられており、労働時間や労働環境、体調の状態についての調査票を作成し、アンケートを実施します。
その結果から「高ストレス者」がいた場合、医師や保健師による相談窓口を設置するなどの改善策を講じる必要があります。
3. 福利厚生を見直す
3つ目は福利厚生の見直しです。健康保険や雇用保険、厚生年金といった法定内の福利厚生はもちろん、家賃補助や社食サービス、キャリア支援、子育て支援といった内容があげられます。
最近ではユニークな福利厚生も増えてきています。たとえば以下のような取り組みです。
- シャッフルランチ:あまり接点のない社員同士が会社負担でランチに出かける
- 親孝行支援制度:介護のためにかかる交通費を会社が支援する
ウェルビーイング経営を実現するためにも、社員に喜んでもらえるような福利厚生を導入しましょう。
4. ウェルビーイングを実現するためのツールの導入
4つ目はツールの導入です。ウェルビーイングはあくまで「概念」なので、実現できているかどうかの判断がしにくいもの。なぜなら社員の精神状態がどうなっているのか、社内の人間関係は円滑なのかなど数値化が難しいものが多いからです。
そういった場合、社内SNSなどのツールの利用がオススメ。社内SNSとは「ビジネス版のLINE」のようなもので、個人チャットやグループチャット、ファイルのアップロード機能などが備わっています。
社員同士のつながりが可視化され、それをもとにモチベーション向上につながる取り組みを実施できます。社内コミュニケーションの円滑化によって、会社全体の生産性向上にもつながるでしょう。
上記に関連して、社員同士のつながりを促進する方法に「フリーアドレス」があります。詳細については以下の記事をご参考ください。
社員が「ウェルビーイング」を感じる条件とは?
ウェルビーイングのメリットについて具体的な方法をお伝えしましたが、実際に社員が幸せに働いてるどうかを判断するのは難しいものです。そこで、社員がウェルビーイングを感じているかどうかを判断する目安として、次の2つがあります。
- 自由に選択できる
- 感謝する頻度が多い
1つ目は、自由に選択できること。人は選択肢が多いと幸福を感じます。仕事に置き換えるならば、「働く場所」が代表例です。たとえば子育てや介護などを両立している社員にとって、「自宅で働ける」というのは大きなメリットのひとつといえます。それ以外の社員でも、通勤のストレスがなくなるため、仕事へのモチベーションに良い影響を与えるでしょう。
2つ目は感謝する頻度です。これは社内で「ありがとう」を聞く回数が多いということ。社員がお互いに感謝しあうことで、社内の人間関係が良くなり、一人ひとりが幸せな気持ちで働くことができるのです。
また「ありがとう」を可視化できる方法として、サンクスカードがあります。社員間でありがとうを見える形で送り合うことによって、より組織のパフォーマンス向上に役立ちます。サンクスカードには手書きのカードを送るだけでなく、オンライン上で便利に送りあえるツールもあります。
【事例】ウェルビーイングの導入事例
ここでは、実際に他の企業がどのようなウェルビーイング経営を行っているのかについてお伝えします。イメージを掴むためにも、ウェルビーイング経営を実践している企業の事例を2つご紹介します。
味の素
味の素は、調味料や冷凍食品、即席麺といった食品を生産・販売している会社です。社員のセルフケアを徹底している同社。以前より働き方改革や健康経営に注力しており、2017年には「健康経営銘柄」に認定されています。
【ポイント】
- 健康診断のデータを蓄積し確認できるポータルサイト「My Health」を設置
- AIが栄養指導を行ってくれる健康管理アプリ「カロママプラス」の開発・運営
- 社員の不調を早期発見するため、最低でも年に1回「全員面談」を実施
同社ではポータルサイトやアプリを活用することで社員の健康をサポート。また「全員面談」によって、社員のメンタル面もカバーしています。身体面・精神面ともにバランスよくアプローチを行うことで、ウェルビーイングを実現している事例です。
PHONE APPLI 山口県萩市でエンジニア採用
当社では、エンジニア育成を目的としたオフィス「萩 明倫館 アプリ開発センター」を運営しており、ウェルビーイングの考え方を積極的に取り入れています。
【ポイント】
- 数々の志士を輩出した毛利家が子弟(若い人)教育のために開いた藩校「明倫館」にならい、自社のアプリ開発センターとして開設
- 若い人材の「絆」と「成長意欲」を大切にすることで、地方創生や新たな価値の創出を目指している
- 明倫館のコミュニティを通して、萩市や他IT企業とのコミュニティ形成を図っている
萩で生まれ育った若い人材の「絆と成長意欲」に惹かれ、当社のサテライトオフィスとして同センターを開設しました。人は「人と人とのつながり」と「成長したい」という気持ちがあれば、ウェルビーイングを感じることができると考えています。
将来のビジョンとしては、私たちの会社だけではなく、さまざまなIT企業と萩市コミュニティを形成したいと考えています。
【コラム】世界幸福度ランキングでの日本の順位は?
「世界幸福度ランキング」。もしかしたら一度は耳にしたことがあるかもしれません。世界幸福度ランキングとは、国際連合の持続可能開発ソリューションネットワークが発表する調査です。
気になる日本の順位ですが、2021年の発表では「56位」という結果。1位がフィンランド、2位がデンマーク、3位がスイスでした。同ランキングは以下のような設問を参考にしています。
- 1人あたりのGDP
- 健康寿命
- 人生における選択肢
- 寛容さ・気前さ(いくら募金をしたかなど)
- 腐敗の認識(政府が汚職・腐敗していないか)
特にフィンランドやデンマークなど「北欧」は幸福度が高いです。これは医療費や労働時間、学費などが関係しているといわれています。
上位の国と比べると、日本は一人ひとりの幸福に対する意識が高いとはいえません。個々人の幸福度を高める一端として、日本の企業はウェルビーイング経営を積極的に取り入れるといいのかもしれません。
【まとめ】ウェルビーイングの利点(メリット)について
本記事では、ウェルビーイングの利点(メリット)について、以下のポイントを中心にお伝えしました。
- ウェルビーイング経営には生産性向上や人材不足の解消、医療費削減など多くのメリットがある
- ウェルビーイング経営を導入するためには、労働法を遵守しつつヘルスチェックや福利厚生の見直し、社内SNSなどツールの導入を検討する
- 社員がウェルビーイングを感じる条件として「働く場所の選択肢」や「感謝する頻度」がある
ウェルビーイング経営には、生産性向上や医療費削減など企業にとって素晴らしいメリットがあります。導入し社員の健康を優先すれば、最終的には企業の利益につながるでしょう。社員の幸福度を高め、企業として成長するためにも、ぜひウェルビーイング経営の導入を検討してみてくださいね。
ウェルビーイングについてさらに詳しく知りたいという方は、当社の取り組みもぜひご参考ください。
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組織の幸福度や風土を可視化する組織の健康診断組織の健康診断「Well-being Company Survey」
ウェルビーイングな状態は測れるものでなければ、改善していくことができません。
Well-being Company Surveyとは、幸福経営学研究の第一人者ホワイト企業大賞委員長である天外伺朗氏と慶応義塾大学 前野隆司教授協力のもと、PHONE APPLIが開発したパルスサーベイ※です。
基本設問は3つの因子から12問(約2分で回答)。手軽に受けられて無理なく継続できる組織の健康診断です。
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