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離職防止にコミュニケーションが有効な理由3つ|活発化する方法や企業が抱える課題を紹介

「離職率を改善して定着率を上げる方法が知りたい」

「離職防止に役立つコミュニケーションとは?」

「職場のコミュニケーション活発化させて、離職率を低減させたい」

厚生労働省が公表している「新規学卒者の離職状況」によると、2018年新規大卒就職者の3年以内の離職率は、31.2%と高い水準です。

企業にとって離職は人材育成にコストがかかるため大きな損失になります。

そして、離職の原因の一つは、社内のコミュニケーション不足にあると考えられます。社員の離職を防止するには、職場のコミュニケーションを活発化し、人間関係を良好にすることが重要です。

そこで本記事では、離職防止にコミュニケーションが有効な理由を詳しく解説します。


本記事をご覧になって、社内でのコミュニケーションの活発化にお役立てください。

離職防止にコミュニケーションが有効な理由3つ

離職率を低下させるためには、コミュニケーションの活発化が不可欠です。ここでは、コミュニケーションが離職防止に有効な理由について解説します。

1. 社内の雰囲気が良くなり社員が発言しやすくなるから

職場でのコミュニケーションが活発になると、社内の雰囲気も自然とよくなります。心理的に安全な環境では、従業員は自分の意見や疑問を気兼ねなく発言できます。

たとえば、従業員から意見が出たときにすぐに否定したり批判したりする環境では、コミュニケーションがとりにくく、発言もしにくいです。

一方、従業員が失敗や批判を恐れずに発言できる環境では、「自分の意見が尊重されている」と感じ、積極的に発言するようになります。

社内の雰囲気が良くなることで、従業員全員が発言しやすい環境が整い、離職率の減少を促進できます。

2. メンバー間で信頼関係を構築できるから

職場で頻繁にコミュニケーションをとることで、メンバー間の信頼関係を構築しやすくなります。

野球チームにたとえると、ピッチャーが打たれた後もキャッチャーやチームメイトが信頼を示して声をかけ続けることで、ピッチャーは次の打者に向けて気持ちを切り替えやすいです。

職場でも同様に、信頼関係が築かれることでミスをしても励まし合える環境が生まれます。すると、メンバーは自分がサポートされていると感じ、困ったときにも安心して相談できるようになります。

従業員同士が強固な信頼関係を築くことで、結果的に離職率の低下につながります。

3. 心理的安全性の確保でエンゲージメントが向上するから

職場でのコミュニケーションが活性化すると、心理的安全性の確保に大きく貢献します。心理的安全性が確保された職場では、従業員は自己肯定感を高め、仕事に対するモチベーションが向上します。

たとえば、アイデアを出す会議で批判を恐れて発言を控えるような環境では、従業員の創造力が発揮されにくいです。

職場でのコミュニケーションが活性化することで、全体のエンゲージメントが向上し、離職率の低下につながるでしょう。

離職防止に役立つコミュニケーションの3つの型

人は突然離職するわけではなく、日々の小さな問題や不満が積もって最終的に離職に至ることがあります。

そのため、上司は定期的な面談だけでなく、日常的なコミュニケーションを通じて部下との関係を深めることで、離職を防ぐことが可能です。

ここでは、部下との関わりにおける3つのコミュニケーションの種類について解説します。

1. 会話型

会話型のコミュニケーションは、前提としてルールは無く、日常会話のようなコミュニケーションのことです。

社交や関係性の構築が目的であり、とくに職場に慣れていない新入社員や若手社員の順応を促す役割があります。

これは上司に限らず、職場の従業員全員で展開するのが望ましいです。日常的な挨拶はもちろん、「最近忙しそうですね。調子はどうですか?」のように、部下の状態や気持ちにそって声かけすることが大切です。

会話型のコミュニケーションは、定例のオンライン会議、社内SNSやチャットツールなどで促進できます。

2. 対話型

対話型のコミュニケーションは、メンバーの相互理解を深めるために最適です。

対話型の目的は、お互いの意見を尊重し、相手からのフィードバックを受け入れ、最良の選択肢を見つけ出すことです。

たとえば、ミーティングで「皆さんの意見を聞きたいのですが、この案についてどう思いますか?」と質問することがその一例です。

このコミュニケーションのスタイルは、業務内外を問わずに活用でき、部下の意向や状態を把握するのに非常に有効です。

日本では、対話型のアプローチが不足していると指摘されています。これは、「背中を見て学ぶ」という古い文化が根強く残っているためです。

部下の意見を無視したり、「このやり方が正しいからその通りにやれ」といった指導は、離職の原因になり得ます。

3. 討議型

討議型のコミュニケーションは、ディスカッションを通じて信頼関係を築くための方法です。オンライン会議や研修でのグループワークなどで活用することが可能です。

この手法は、異なる意見や立場を持つ参加者が議論を通じて互いの理解を深め、最終的に一つの結論に達することを目指します。

重要なのは一方的に意見を押しつけず、互いの意見を尊重しながら「正しい解」である共通の目標に向かって協力することです。

ただし、この手法は自己の主張が強くなる傾向があるため、やり方には注意が必要です。一方的に意見を押しつけるのではなく、建設的で双方が納得感のあるコミュニケーションが求められます。

離職防止のためにコミュニケーションを活発化する方法7つ

離職を防ぐためには、職場でのコミュニケーションを活発化させ、チームのつながりを強化することが鍵となります。ここでは、コミュニケーションを活発化する7つの方法について紹介します。

1. 社内イベントを開催する

社内イベントは従業員同士の一体感を高め、コミュニケーションを活発にする効果があります。

職場での関係性が構築できていないと、「職場に居づらい」と感じる従業員が増えやすいです。社内イベントはそのような問題を解決するのにオススメといえます。

たとえば、お花見やバーベキュー、懇親会や表彰式などを実施することで、従業員同士の親密度を自然に高められます。

また、部署を越えた交流や上司と部下の関係性を深めることで、職場内の人間関係に関する不安も解消されやすいです。

2. シャッフル形式のランチを実施する

シャッフル形式のランチは、ランダムに選ばれた従業員同士が一緒にランチを楽しむイベントです。ランダムに選ぶことで、普段あまり交流がない上司や同僚と会話できる効果があります。

このランチ形式は昼休みの時間に実施するため、飲み会のように終業後のプライベートな時間を削ることがなく、お酒が苦手な人でも気軽に参加できるのがメリットです。

従業員同士の交流の機会を増やすことで、職場全体の人間関係が良好になり、職場に対する帰属意識が高まります。

また、他部署との関わりが深まることで業務上の連携がスムーズになり、職場でのストレスが軽減されることも期待できます。

3. 1on1ミーティングを実施する

1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で定期的に行う対話型の面談です。

この面談では、上司は部下の現状を把握でき、部下は上司のアドバイスをもらえるメリットがあります。

1on1ミーティングの目的は、評価や人事面談とは異なり、部下の成長をサポートし、モチベーションを維持することです。部下が自身の成長を実感し、上司からのサポートを受けることで、エンゲージメントが向上します。

さらに、早期に問題を発見して適切に対応することで、離職を防ぐこともできます。

4. メンター制度を導入する

メンター制度は、直属の上司とは別の先輩従業員が、若手をサポートする制度です。

直属の上司には言いづらいことや質問も、メンターの先輩を通じて気軽に相談できるというメリットがあります。とくに組織内で声が届きにくい一番若手の声を引き出して、若手社員が孤立するのを防ぐことも可能です。

また、メンターに選ばれた先輩従業員は、聴く力や対話スキルが向上し、仕事への責任感も強まる効果もあります。

この制度により社内の信頼関係が深まり、従業員のエンゲージメント向上や離職防止につながります。

5. フリーアドレスを導入する

フリーアドレス制度とは、従業員が固定席を持たず、自由に席を選んで働くスタイルのことです。

座席を自由にすることで、さまざまな人と関わるきっかけが増え、部署を越えた交流が自然と生まれやすいです。

偶然近くの席に座ったことで部門や役職を超えた接点が生まれ、新たな人脈が構築されるきっかけになります。

従業員同士のコミュニケーションが活発になれば、社内の雰囲気も明るくなり、離職防止にもつながるでしょう。

6. コミュニケーションツールを活用する

コミュニケーションの機会を増やす方法として、社内SNSやサンクスメッセージを活用する方法もあります。

これらのツールを使えばリモートワークやフリーアドレスの環境下でも、物理的な距離を感じさせずにコミュニケーションがとれます。

社内SNSは、通常のメールよりも気軽にやり取りできるため、上司や部下、部署の壁を超えたコミュニケーションが期待できるでしょう。社内専用なので、情報漏洩やプライベートへの影響が少ないというメリットもあります。

サンクスメッセージは、日々の業務の中で感謝の気持ちを伝え合う制度です。感謝や助け合いを可視化することで、従業員の心の安定や承認欲求が満たされます。

7. コミュニケーション向上に特化した研修を実施する

コミュニケーション向上に特化した研修を実施することも効果的です。まずは、理想的なコミュニケーションの形を示し、従業員のコミュニケーション能力向上のスタート地点を作りましょう。

たとえば、対話力や傾聴スキルを学ぶことで、従業員が互いの意見を尊重しやすくなります。

上司は部下の意見や感情を理解しやすくなり、部下は上司に対する信頼感が高まるでしょう。スキルアップの研修の場合は、専門の外部業者に委託するのも良い方法です。

また、研修自体が普段あまり関わらない他部署の人との交流の良いきっかけになることも期待できます。

職場のコミュニケーション向上の課題と解決ポイント

職場でよく見られるコミュニケーション向上の課題には次の点が挙げられます。

  1. コミュニケーション自体に強制感が出る
  2. 話しやすい環境が整っていない
  3. 上司が従業員に一方的に話す
  4. 話すテーマがわからない
  5. リモートワーク社員との交流が少ない
  6. コミュニケーションの時間がとれない
  7. 効果を検証する方法がわからない

コミュニケーションは重要ですが、強制すると従業員にストレスを与える可能性があります。また、職場のコミュニケーションを向上させたいと思っても、話しやすい環境が整っていない場合もあります。

まずはオフィスの配置を見直し、話しやすい環境を作りましょう。もしハード面の変更が難しい場合は、上司から挨拶するなど、会社全体で話しやすい雰囲気を作ることから始めてみてください。

またコミュニケーションの場を増やそうとしても「何を話していいかわからない」と悩むことがあるかもしれません。そのため、社内SNSなどのツールを導入するのも一つの方法です。

最後に、コミュニケーション向上の施策が効果的かどうかを検証し、PDCAサイクルを回して改善していくことが必要です。社内アンケートやエンゲージメントサーベイなどを活用し、次回以降の取り組みに反映させましょう。



PHONE APPLIが実践している「従業員のエンゲージメントを高める取り組み」について

ここでは、当社 株式会社PHONE APPLIの取り組みをご紹介します。当社では、2018年から「従業員が健康でいきいきと働いている」状態を目指し、「ウェルビーイング経営」を推進してきました。下記の事柄を主軸としたウェルビーイング施策を行っています。

従業員間で感謝や称賛を"贈りあう"「PHONE APPLI THANKS」の活用

PHONE APPLI THANKS

「PHONE APPLI THANKS」は、従業員間で感謝や称賛を"贈りあい"、組織のパフォーマンスを向上させるウェルビーイング経営推進サービスです。日々の業務の中で感じた感謝や称賛をカードにして"贈りあう"ことで、従業員それぞれの様子が見えるようになり、認め合う組織風土を育むことができます。

【PHONE APPLI THANKSの特長】

  • 日々で感じた感謝や称賛をメッセージにして送り合える
  • やりとりがオープンに表示されるため社員の活躍を把握しやすい
  • メッセージカードに「いいね」を押すことができる

組織の幸福度を測定する「Well-being Company Survey」の活用

  • Well-being Company Survey とは、幸福経営学研究の第一人者ホワイト企業大賞委員長である天外伺朗氏と慶応義塾大学 前野隆司教授協力のもと、 PHONE APPLI が開発したパルスサーベイです。
    Well-being Company Surveyの詳細はこちら

「1on1ツール」を活用し、週25分の対話でメンバーの状態を把握

  • 1on1ツールで現在の体調・仕事量・モチベーションを回答し、話したいトピックを選択します。それにより、マネージャーがメンバーの状態を把握しやすくなり、1on1の質が高まりました。また、全社横断での1on1も積極的に実施しています。組織横断コミュニケーションを意識的に増やすことで、精神的・社会的健康の向上を目指しています。

ウォーキングイベント「PA Walking Cup」で運動習慣の定着化

運動習慣の定着を目的としたウォーキングイベント毎月開催しています。従業員が楽しく参加できるよう、季節ごとのテーマやゲーミフィケーションを取り入れながら工夫しています。

年齢制限なしの保健指導で若年層の健康リスクにも対応

40歳以上の特定保健指導対象者だけでなく、39歳以下の生活習慣病予備群にも年齢制限を設けずに保健指導を実施しています。将来の疾病リスクを低減し、特定保健指導対象者の若年層からの流入抑制を目指しています。




【事例紹介】株式会社ハイフライヤーズ|ピアボーナスツール導入と「ありがとう」精神で離職率を34.7%から10.4%に改善

千葉県で13園の認可保育園を運営するハイフライヤーズは、2010年の創業以来急成長を続けていました。

しかし、給与や福利厚生は業界トップクラスにもかかわらず、多くの保育士が入社後数か月で辞めてしまい、一時は自治体から改善勧告を受ける事態に直面しました。とくに2018年10月から2019年9月の保育士の離職率は34.7%と非常に高い数値でした。

そのため福利厚生の充実を図り、完全週休2日制や家賃補助、有給休暇の100%消化などの対策を講じましたが、離職率は大幅には改善しませんでした。

そこで、若い世代が何を求めているかを考え、仲間からの「いいね!」や「ありがとう」といった認め合いが重要だと判断し、ピアボーナスツール「Unipos」を導入。これにより、仲間同士だけでなく、保護者からの感謝のメッセージも共有することで、保育士たちのモチベーションが向上したのです。

新入社員には、まず周りの人に感謝の気持ちを伝えることが大切だと説明し、先輩社員にも、指示や指導よりも「ありがとう」のコミュニケーションを重視するようにしました。この取り組みによって、新入社員も活発に意見を述べる環境が整い、心理的安全性が向上しました。

その結果、離職率は34.7%から10.4%にまで改善。離職率が低下したことにより、園に子どもを預けたい親御さんの希望を受け入れられるようになり、それに伴い売上増加などの好影響も見られました。

【まとめ】離職防止にコミュニケーションが有効な理由と対策方法


本記事では、離職防止にコミュニケーションが有効な理由について解説しました。

  • コミュニケーションが活発になることで、自然に社内の雰囲気も良くなり、離職率の減少を促進させる
  • 頻繁にコミュニケーションをとることで、メンバー間の信頼関係を構築しやすくなり離職率の低下につながる
  • 職場でのコミュニケーションが活性化すると、全体のエンゲージメントが向上し、離職率の低下に寄与する

普段から密なコミュニケーションを取ることで、社内全体で信頼関係が築かれやすくなります。

離職の大きな原因の一つである人間関係を改善するために、日常的なコミュニケーションを心がけてみてください。

ぜひ本記事の内容を参考に、社内のコミュニケーションを活性化させ、離職防止につなげてください。

【心理的安全性を高めて離職を防ぐ!】従業員エンゲージメント向上の秘訣とは

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