【管理職向け】心理的安全性の高いチームビルディングの実現のために必要な7つの意識と10つの施策

「心理的安全性の高いチームをつくるために必要なこととは?」
「心理的安全性を高めるメリットが知りたい」
「心理的安全性を向上させる具体的な施策とは?」
心理的安全性とは、組織やチーム内で自分の意見や疑問を自由に発言できる環境です。この環境が整うと、チームメンバーは率直な意見交換ができ、知識を共有し合い、チーム全体の知識が増えます。
またチームビルディングとは、メンバー同士の信頼関係を深め、協力し合えるチームをつくるプロセスです。メンバーそれぞれのスキルや経験を活かし、共に目標を達成するチームづくりが目的です。
本記事では、心理的安全性の高いチームビルディングを実現するために、次のポイントを詳しく解説します。
本記事をご覧になって、心理的安全性の高いチームビルディングの実現にお役立てください。
心理的安全性の高いチームビルディングの実現に必要な7つの意識
ここでは、心理的安全性を高めるために必要な7つの意識について解説します。
心理的安全性の高いチームビルディングには、メンバー全員が目標や価値観を共有する意識が欠かせないので、ぜひ参考にしてください。
1. チームメンバーにできるだけ自己開示する
上司が率先して自己開示をすることで、チーム全体にも自己開示の文化が広がります。
たとえば、会議で自分の失敗談や学んだこと、週末の過ごし方を話すことで、チームの心理的安全性を高めるきっかけとなります。また、上司が自分の強みや弱み、趣味や興味について話すことで、メンバー同士の共通点が見つかりやすくなり共感や協力の気持ちが生まれやすいです。
日常のこうした共有は、メンバーが安心して意見やアイデアを出しやすい環境をつくり出します。
このように、上司の自己開示はメンバー同士の相互理解を深め、チームの信頼関係を強化するために欠かせません。
2. 何事にも積極的な姿勢を示す
積極性とは率先して行動するだけでなく、前向きな考えや意欲を持って取り組む姿勢のことです。
たとえば、ミーティングで積極的に発言したり質問したりすることで、他のメンバーも意見を言いやすくなり、チーム全体の議論が活発になります。
問題に直面した際も、ただ待つのではなく自ら解決策を提案し実行する姿勢は、リーダーシップを発揮することにつながり、他のメンバーからの信頼を得られます。
さらに、心理的安全性を高めるためには、「今」を大切にし、目の前の会話や活動に集中することも大切です。たとえば会議中で、全員が対話に専念するときはノートパソコンを閉じるのもよいでしょう。
このような積極的な姿勢はチームの連携を強化し、組織全体のパフォーマンスを向上させます。
3. オープンマインドを保つ
オープンマインドとは、「心が広い・頭が柔らかい・開放的・偏見がない」などの意味をもつ言葉です。オープンマインドをもつ人の特徴として次の3つが挙げられます。
- 他人の意見を否定せずに聞く
- 多角的な視点をもって考えられる
- 変化を恐れない
オープンマインドをもつ人は、他人の意見を受け入れ、多様な視点から物事を考えられます。また、変化を恐れず、常にポジティブな態度で新しいアイデアに取り組むことも特徴です。
ときには遠慮や謙虚さから、自分の意見を述べることが難しい場面もあります。しかし、意見の相違や衝突があっても、互いの立場を尊重し、傾聴し合うことでより良い解決策を見出せます。
チーム全体がオープンマインドを保つことで、コミュニケーションが円滑になり、チームの成果も向上するでしょう。
4. 失敗やミスを次に活かそうとする
チーム内では失敗やミスを、成長と学びの機会と捉えることが重要です。
たとえばプロジェクトがうまくいかなかったときは、その過程を振り返ることで何がうまくいかなかったのかを分析し、原因や改善点を見つけます。
また、メンバーが直面した失敗の事例をチーム全体で共有することで、他のメンバーも同様の誤りを避けられます。
失敗を恐れず、積極的に学びの機会と捉えることで、個人もチームも成長し、より良い成果を達成できるでしょう。
5. 指示は責任の境界まで具体的に出す
リーダーがメンバーに業務を割り当てるときは、曖昧な指示ではなく具体的な範囲を伝えることが大切です。
具体例を挙げると、「来月の売上を20%増加させるために、新しい販売戦略を策定してください」という指示は、単に「売上を伸ばしてください」という曖昧な指示よりも、具体的な目標と方法を明確にしています。
担当範囲を具体的に決め、一人ひとりが責任をもって取り組めるようサポートするのもリーダーシップの特徴です。
メンバーそれぞれが組織における役割を自覚し、積極的に業務に挑戦できる環境は、チームの生産性と心理的安全性を高めます。
6. 段階的にフィードバックする
業務の各段階でフィードバックすることで、チームメンバー間のコミュニケーションが活性化します。
たとえば、最終的な結果だけを評価するのではなく、業務のステップごとにアドバイスすることで、メンバーはその都度改善を重ねやすくなります。また、進め方や方向性に誤りがあれば早期に気づくことも可能です。
結果として、大きな問題に発展する前に修正できるので、メンバーはストレスを感じることなく、安心して仕事を進められるようになります。
7. 相手に感謝の気持ちを忘れない
感謝の気持ちは、チーム内のコミュニケーションをスムーズにし、メンバー同士の連携を強化します。
一例として、メンバーがあなたの仕事を助けてくれたときは、「忙しいときに手伝ってくれてありがとう」のように、感謝の気持ちを伝えましょう。メンバー同士が互いに感謝を示すことで、協力の精神が生まれ、チームの一体感が強まります。
日常の業務の中で小さな感謝の言葉を積み重ねることで、ポジティブで協力的な職場を築いていきましょう。
心理的安全性を高める5つのメリット
心理的安全性を高めることで得られるメリットは次の5つです。
- チーム全員のパフォーマンスが向上する
- 自由に議論できてイノベーションが推進される
- 会社に対するエンゲージメントが向上する
- 従業員のストレスが軽減する
- 従業員の帰属意識が向上する
心理的安全性が高い職場では、批判を恐れることなく個性を発揮できるため、新しい発見や気づきが生まれやすくなり、チーム全体のパフォーマンスが向上します。
また、メンバー同士が安心して自由に発言できる環境は、人間関係によるストレスが減るため、離職率の低下にも寄与します。
問題や課題が生じた際も、従業員は気軽に相談できることで一人で抱え込む負担が軽減され、メンタルヘルスを保ちながら仕事に取り組めるようになるでしょう。
結果として、従業員は組織への帰属意識が高まり、自分の意見が尊重されることで、会社の一員であることに誇りと責任を感じるようになります。
心理的安全性を向上させる具体的な施策10選
それでは、心理的安全性を向上させる具体的な施策をみていきましょう。
- 従業員同士でサポートし合う関係づくり
- 誰でも意見がいえる環境づくり
- 1on1の実践
- 価値観の受容
- 共通認識をすり合わせる
- ピアボーナスの導入
- サポートを意識したマネージャーの設置
- OKRの設定
- 弱みを受容する環境づくり
- 新人のフォロー体制づくり
心理的安全性を高めるためには、従業員同士でのサポートが欠かせません。お互いの長所や短所を理解し、協力し合うことでチーム全体の協調性が高まります。
また、自由に意見を述べられる環境を整えることも大切です。急に上司の前で意見を述べるのは難しいかもしれませんが、1on1ミーティングを活用することでお互いをより深く理解し合い、信頼関係が築けます。
さらにお互いの価値観を尊重し合うことや、共通の理解も重要です。相手の意見や価値観を受け入れ、認識のズレを防ぐためにも、定期的にコミュニケーションを取りましょう。
他にもマネージャーの設置やOKRの設定、弱みを受け入れる環境づくり、新人のフォロー体制構築などの施策を通じて、心理的安全性が高い職場環境を実現しましょう。
【コラム】10分のアイスブレイクで心理的安全性を高める方法
短時間で効果的に心理的安全性を高める方法として注目されているのが、アイスブレイクです。
たった10分のアイスブレイクを取り入れるだけで、メンバー同士の信頼感や協力意識が強まり、意見を自由に交換しやすい環境が生まれます。
ここでは、アイスブレイクの目的とメリットについて紹介します。
アイスブレイクの目的やメリット
アイスブレイクは、参加者の緊張を和らげ、和やかな雰囲気をつくり出すことで心理的安全性を高めるためのものです。
会議の始めにアイスブレイクを行うことで、次のようなメリットがあります。
- 緊張がほぐれる
- 仕切り直しができる
- 参加者の考え方がわかる
- チームワークの向上
- 新たなアイデアの創造のきっかけになる
とくに初対面の場や緊張しやすい場面では、アイスブレイクが有効です。参加者の緊張をほぐし、場の空気を和らげることで、自然と会話が弾みやすくなります。
また、会議が停滞した際にも、アイスブレイクを取り入れると、気分転換ができて議論が再び活発になる効果があります。
グループで会議をする際には、協力系のゲームを使ったアイスブレイクを試してみましょう。全員で力を合わせて取り組むことで、チームワークが強化され、より効果的に力を発揮できるようになります。
手軽にできるアイスブレイク5つ
時間や準備が限られている状況でも、簡単に実践できるアイスブレイクがあれば、チーム全体の一体感を高め、議論をスムーズに進められます。
ここでは、どこでもすぐに実践できるアイスブレイクを5つ紹介します。
- お絵描きしりとり
- 連想ゲーム
- たけのこニョッキ
- カタカナ使用禁止ゲーム
- 楽しかった出来事を共有
いずれのゲームも、特別な準備や経験がなくても全員が参加しやすいゲームです。とくに「ルールを相手に説明するゲーム」は、参加者が互いにルールを説明し合うことで、コミュニケーションがより深まります。
ゲームを選ぶ際には、特定の人にしかわからないテーマや経験者が有利になるゲームなどは避けた方がよいでしょう。全員が平等に楽しめるようなゲームを選ぶことで、参加者全員が同じ条件で参加しやすくなります。
PHONE APPLIが実践している「従業員のエンゲージメントを高める取り組み」について
ここでは、当社 株式会社PHONE APPLIの取り組みをご紹介します。当社では、2018年から「従業員が健康でいきいきと働いている」状態を目指し、「ウェルビーイング経営」を推進してきました。下記の事柄を主軸としたウェルビーイング施策を行っています。
従業員間で感謝や称賛を"贈りあう"「PHONE APPLI THANKS」の活用
「PHONE APPLI THANKS」は、従業員間で感謝や称賛を"贈りあい"、組織のパフォーマンスを向上させるウェルビーイング経営推進サービスです。日々の業務の中で感じた感謝や称賛をカードにして"贈りあう"ことで、従業員それぞれの様子が見えるようになり、認め合う組織風土を育むことができます。
【PHONE APPLI THANKSの特長】
- 日々で感じた感謝や称賛をメッセージにして送り合える
- やりとりがオープンに表示されるため社員の活躍を把握しやすい
- メッセージカードに「いいね」を押すことができる
組織の幸福度を測定する「Well-being Company Survey」の活用
- Well-being Company Survey とは、幸福経営学研究の第一人者ホワイト企業大賞委員長である天外伺朗氏と慶応義塾大学 前野隆司教授協力のもと、 PHONE APPLI が開発したパルスサーベイです。
Well-being Company Surveyの詳細はこちら
「1on1ツール」を活用し、週25分の対話でメンバーの状態を把握
- 1on1ツールで現在の体調・仕事量・モチベーションを回答し、話したいトピックを選択します。それにより、マネージャーがメンバーの状態を把握しやすくなり、1on1の質が高まりました。また、全社横断での1on1も積極的に実施しています。組織横断コミュニケーションを意識的に増やすことで、精神的・社会的健康の向上を目指しています。
ウォーキングイベント「PA Walking Cup」で運動習慣の定着化
運動習慣の定着を目的としたウォーキングイベント毎月開催しています。従業員が楽しく参加できるよう、季節ごとのテーマやゲーミフィケーションを取り入れながら工夫しています。
年齢制限なしの保健指導で若年層の健康リスクにも対応
40歳以上の特定保健指導対象者だけでなく、39歳以下の生活習慣病予備群にも年齢制限を設けずに保健指導を実施しています。将来の疾病リスクを低減し、特定保健指導対象者の若年層からの流入抑制を目指しています。
【事例紹介】株式会社タムラ製作所|人事評価制度を改善して心理的安全性を確保したチーム作りを実施
タムラ製作所は、コミュニケーションを重視した組織体制の構築により、ストレスの少ない快適な職場環境づくりを進めています。
この取り組みは2019年から始まり、国内での研修や定期サーベイを通じて、従業員の意識調査と改善活動を繰り返してきました。2021年度には、心理的安全性の概念を人事評価制度に取り入れ、管理職に対して360度評価を導入するなど、組織全体で心理的安全性を高める体制を整えました。
さらに2022年4月からは「働きがい改革プロジェクト」の一環として、「心理的安全性浸透チーム」を各事業所から選抜し、全社での心理的安全性の実践と浸透を図っています。
これらの施策により、タムラ製作所は社内全体の心理的安全性を向上させ、従業員の離職率の改善にも成功しました。2019年度と比較すると、自己都合による離職者数は2023年度には約25%減少し、従業員の満足度が高まっています。
これらの取り組みが評価され、タムラ製作所は株式会社ZENTech主催の「心理的安全性AWARD2022」でゴールドリング賞を受賞しました。
【まとめ】心理的安全性の高いチームビルディングの実現に必要な意識と施策
本記事では、心理的安全性の高いチームビルディングの実現に必要な意識について解説してきました。
- 上司が自己開示を意識的にすることで、メンバー間の信頼や絆を深め、協力的なチームを築く基盤となる
- メンバーが直面した失敗の事例をチーム全体で共有することで、他のメンバーも同様の誤りを避けられ、チーム全体のパフォーマンスが向上する
- メンバー同士が互いに感謝を示すことで、協力の精神が生まれ、チームの一体感が強まる
心理的安全性の高いチームビルディングの実現には、従業員が率直に意見を言える環境づくりが大切です。
そのためには、上司や同僚が意見を受け入れやすいコミュニケーションや、建設的なフィードバックの文化を構築することが必要です。
心理的安全性を高めてチームのパフォーマンスを向上させるためのヒントとして、ぜひ本記事をご活用ください。