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タレントマネジメントの導入から検証・評価までの基本ステップ|メリットやシステムの選定方法を詳しく解説

  • タレントマネジメントの導入を検討している
  • 導入前にタレントマネジメントの仕組みを知っておきたい
  • タレントマネジメントシステムの選び方も知りたい

タレントマネジメントとは、従業員がもつ能力やスキルを見える化し、企業の経営目標達成に役立てるマネジメント手法です。タレントマネジメント導入を検討しているものの、その仕組みや導入手順がわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、タレントマネジメントについて、次のポイントを中心にお伝えします。


ぜひ本記事の内容を、自社のタレントマネジメント導入にお役立てください。

タレントマネジメントの導入から検証・評価までの基本ステップ

企業はタレントマネジメントをどのように進めるべきなのでしょうか。導入から検証、評価までの基本的なステップをご紹介します。

  1. 目的や効果を明確にする
  2. タレント情報を整理して現状を把握する
  3. 新たな人材を採用・育成する
  4. タレントを適材適所に配置する
  5. 計画と結果を比較して検証・評価する

1. 目的や効果を明確にする

大前提として、タレントマネジメントを「何のために導入するのか?」「どのような効果をもたらしてくれるのか?」を理解しておく必要があります。目的や効果は次のとおりです。

  • 優秀な人材の採用や育成
  • 適材適所の人材配置
  • 人材不足の解消
  • 従業員のモチベーション向上
  • 企業の生産性向上

「採用」で新たな優秀なタレント(従業員)を発掘するのか、すでに在籍している従業員の能力を引き出すのかなど、目的は企業によってさまざまです。目的によって、課題解決のための内容も違ってきます。

2. タレント情報を整理して現状を把握する

つぎに、社内の人材情報を整理し、現状を把握しましょう。まずは社内にいる従業員の情報を整理し、タレント像を明確にします。次のようなイメージです。



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引用:PHONE APPLI

システムのプロフィール欄に、従業員の名前や所属、顔写真をはじめ知識やスキル、今後どのようなキャリアを歩みたいのか、など個人の情報を整理しましょう。

現状が明確になれば、行うべき人材育成計画や配置戦略も見つかりやすくなります。

3. 新たな人材を採用・育成する

社内の人材情報を把握できたら、新たな人材の採用を検討しましょう。採用や教育コスト面を踏まえると、既存社員だけでカバーするのが無難でしょう。しかし、全員が理想のタレント像であるとは限りません。

人事戦略上、理想とする人材とギャップがある場合、新たな人材を採用する必要があります。

採用後、人材を育成する際は、OJT(現場で業務をこなしながら覚える教育方法)と、Off-JT(eラーニングなどで知識を得る教育方法)を掛け合わせるのがおすすめです。

4. タレントを適材適所に配置する

人材情報や育成計画をもとに、タレントを適材適所に配置します。タレントを適切な場所に配置するためには、上司や管理者のマネジメント能力が重要です。適切なマネジメントを行うためにも、次の項目をチェックしましょう。

  • タレントが本来の能力を発揮できているか
  • 配置が変わって能力向上につながったか
  • 日々のモチベーションはどうか

従業員に対してアンケートや直接のヒアリングを行うなどで、本人による成果やモチベーションを確認しましょう。モチベーション向上のためには、企業による一方的な配置でなく、従業員自身のキャリアプランも加味することが大切です。

5. 計画と結果を比較して検証・評価する

タレントマネジメント実行後は、計画と結果を比較して、検証・評価を行いましょう。当初の計画と結果にズレがあった場合は、そもそもの育成計画や教育体制を見直す必要があります。たとえば教育内容を変更したり、OJTやOff-JTの実施期間を延長したりして、従業員の能力向上を図りましょう。

タレントマネジメントがもたらす5つのメリット

企業がタレントマネジメントを行うことには、次のようなメリットがあります。

  • 優秀な人材の採用や育成
  • 適材適所の人材配置
  • 人材不足の解消
  • 従業員のモチベーション向上
  • 企業の生産性向上

優秀な人材を採用・育成する、適材適所に人材配置をするといった「目的」がメリットに直結します。なぜなら、企業のありたい姿を叶えることが企業価値の向上につながるからです。

人材情報の見える化は、優秀な人材を採用したり、社内人材を適材適所に配置したりするのに役立ちます。社内外から理想の人材が生まれることで、人材不足が解消されます。

また、企業側がタレントマネジメントによって、従業員が能力を発揮できる環境を整えることでモチベーションが高まり、組織全体の生産性向上にもつながるでしょう。

自社に最適なタレントマネジメントシステムを選ぶポイント5つ

自社のタレントマネジメントを効率化するためには、専用のシステムを導入するのもオススメです。タレントマネジメントシステムを選ぶポイントとして、次の5つがあげられます。

  1. 導入目的に合っているか
  2. 経営層・人事・マネジメント層の操作性が良いか
  3. 柔軟性、拡張性、カスタマイズ性があるか
  4. 費用対効果が取れているか
  5. セキュリティ機能・サポート体制が充実しているか

1. 導入目的に合っているか

タレントマネジメントの目的によって、選ぶべきシステムも異なります。たとえば、マネジメント層が「従業員の名前や顔、スキル、キャリアを一目で把握したい」といった場合は、プロフィール機能が見やすいシステムがおすすめです。

また、「新たな評価手法を取り入れたい」といった場合は、360度評価やコンピテンシー評価など、さまざまな評価手法に対応するシステムがよいでしょう。

2. 経営層・人事・マネジメント層の操作性がよいか

主にシステムを使うのは、経営層や人事、管理職などのマネジメント層です。したがって、マネジメント層にとって見やすいか、使いやすいかは重要なポイントとなります。

「管理画面が見やすい」「目的のページまで少ないクリックでたどり着ける」など、視認性や操作性を確認しましょう。

3. 柔軟性、拡張性、カスタマイズ性があるか

今後タレントマネジメントで新たな取り組みを行いたい場合、内容に合わせてシステムをカスタマイズする可能性も出てくるかと思います。

システムに柔軟性や拡張性、カスタマイズ性があれば、細かな機能を実装できるため、かゆいところに手が届くようになります。

また、勤怠管理システムや給与管理システムなど、外部システムとの連携性も確認しておきましょう。

4. 費用対効果が取れているか

タレントマネジメントシステムの導入には、初期費用や月額費用などのコストがかかります。費用はクラウド型やオンプレミス型といったシステム形態や、アカウント数などによって変動します。

システム利用で得られる効果が、実際に支払う金額よりも大きくなるか、費用対効果を調べておきましょう。

5. セキュリティ機能・サポート体制が充実しているか

セキュリティやサポート体制も、タレントマネジメントシステムを選ぶうえで大切なポイントです。

セキュリティではIPアドレス制限や2段階認証、第三者による脆弱性診断などが万全かを確認しましょう。サポート体制では、チャットやビデオ通話での相談窓口や専任スタッフによるフォローアップなどがあげられます。

【コラム】人事システムとタレントマネジメントシステムの違い

タレントマネジメントシステムと人事システムは、いずれも「人材管理に使用する」という点においては同じです。しかし、目的や管理する情報が異なります。



人事システム

タレント

マネジメントシステム

目的

人事労務全体の効率化を図る

人材マネジメントの観点から経営目標の達成を目指す

管理情報

勤怠や給与、採用、評価など

採用や育成、評価など

人事システムは、従業員の勤怠や給与、採用、評価までを総合的に管理します。人事労務を網羅的にカバーし、全体の効率化を図るのが主な目的です。

一方のタレントマネジメントシステムは、採用や育成、評価など「人材マネジメント」にフォーカスされています。企業の「人材」という資源を戦略的に活用することで、経営目標の達成を目指すのが主な目的です。

【サービス紹介】人的資本経営で必要な人材スキルの可視化ができる「PHONE APPLI PEOPLE」とは

導入企業

PHONE APPLI PEOPLE

従業員のスキルを可視化するためには、これらの情報を一元管理するツールが必要です。PHONE APPLI PEOPLEは、皆さんが連絡を取るために普段使いする電話帳、社内イントラネットのような用途で使われるサービスです。社内のメンバー同士のつながりを高めるために個々のメンバーが持つスキルや経験、パーソナリティ情報などを自己開示しあい、相互理解を深め、心理的な距離を縮めて、活発な協働を促すことが可能です。








【事例紹介】KDDI株式会社|ジェネラリストからジョブ型人材の育成へ、社外でも通用する30の専門領域を設定

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引用元:KDDI株式会社

KDDI株式会社では、多方面な知識や経験をもつ人材である「ジェネラリスト」の育成に注力していました。しかし時代が移り変わり、世の中では「ジョブ型人材」が注目されるように。それに応じて、自社の職務に合った人材を採用・育成する方向に転換しました。

具体的な取り組みとして、ジョブを営業や法務、データサイエンティストなど「30の領域」に整理し、タレントマネジメントシステムを導入。従業員自身がキャリアを意識するような仕掛けを作ることで、従業員の主体性が伸びました。

参考:従業員の行動変容とキャリア形成を促すKDDIの「ジョブ型人事制度」とは | 日経ビジネス

【まとめ】タレントマネジメントの成果を出す仕組み作りについて

本記事では、タレントマネジメントの仕組み作りについて、次のポイントを中心にお伝えしました。

  • 導入の目的や効果を知ったうえでタレント情報を整理し、人材の採用、育成、配置を進める
  • 優秀な人材を採用・育成できる、従業員のモチベーションにつながるなどのメリットがある
  • システムを選ぶ際は「マネジメントする側」にとって使いやすく、費用対効果のあるシステムか見極める

従業員の能力を引き出す「タレントマネジメント」の考え方は、長期的な発展を目指したい企業には必要不可欠といえます。経営戦略と人事戦略を連携させ、タレントマネジメントの導入を成功させましょう。

本記事が、タレントマネジメントを導入するための参考として役立てていただけたら幸いです。

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