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企業が導入すべきリスキリングの種類9選|取得できる資格や導入メリットも紹介

  • リスキリングを導入したいが具体的な施策が思いつかない
  • 企業が導入すべきリスキリングの種類を知りたい
  • リスキリングのメリットや導入手順も押さえておきたい

リスキリングとは、企業がDX化をはじめとする社会変化に対応するために、従業員がデジタルスキルを身につけることです。

リスキリングを導入したいものの、具体的にどのような施策を行うべきか悩んでいる企業の方も多いでしょう。そこで本記事では、リスキリングについて次の項目を解説します。


本記事でリスキリングへの理解を深め、自社のDX化や事業拡大につなげましょう。

オススメなリスキリングの種類9選と資格やスキル

リスキリングにおすすめの資格やスキルをご紹介します。ここでは、とくにおすすめしたい9つの資格やスキルをお伝えします。

ITリテラシー

ITリテラシーとは、デジタルツールをはじめ通信、情報ネットワークなどを使う際に求められる知識や技術全般のこと。いわば、ITに関するスキルの土台です。

DXをはじめとするデジタル化が進む昨今では、エンジニアやデザイナーといったIT専門職以外の従業員でも、最低限のITリテラシーが求められます。

資格例:ITパスポート(国家資格)など

外国語(英語・中国語)

近年のグローバル化の流れによって、外国語能力も求められます。とくに人口の多い「英語」と「中国語」のスキルは、海外展開を視野に入れる企業にとって重要です。海外進出だけでなく、外国人労働者を雇用する企業にとっても外国語は必要といえます。

資格例:TOEIC、TOEFL、HSK(漢語水平考試)など

マーケティング

マーケティングスキルがあれば、自社の商品やサービスを最適なターゲットに届け、利益を高められます。なかでもWeb広告やSEO、データ分析などデジタルマーケティングは需要が大きく、今後さらなる市場拡大が予想されます。

自社の顧客獲得やブランディングにつなげるためにも、定期的にマーケティングのリスキリングを行いましょう。

資格例:マーケティング検定、IMA検定など

データ分析

顧客や売上、シェア率などビジネスに関わるデータを分析できるスキルも重要です。デジタル化が進む昨今において、企業には日々さまざまなデータが蓄積されます。

しかしながら、データをうまく活用できている企業は決して多くはありません。リスキリングによって従業員にデータ分析スキルが身につけば、自社の課題解決、利益向上にもつながります。

資格例:ビジネス統計スペシャリストなど

情報セキュリティ

日々さまざまな取引を行う中で、さまざまなデータが蓄積されます。従業員や顧客の個人情報、社内の機密情報なども扱うため、強固なセキュリティ対策が必要です。

たとえば、データやパスワードの扱い方、ブラウザやLANの正しい利用方法、システムトラブルの対応方法など。従業員が情報セキュリティに関する正しい知識やスキルを身につけることで、企業の安全や社会的信用の確保につながります。

資格例:情報セキュリティマネジメント試験など

プログラミング

プログラミング能力も、リスキリングで身につけたいスキルです。最近ではデジタル化に伴い、めまぐるしく市場やニーズが変化し、アプリやWebサービスの需要が高まっています。

アプリやWebサービスの開発にあたってプログラミング言語を書ける能力は必要不可欠です。エンジニアやプログラマーに外注するよりも自社で開発した方がコストが安い、自社の目的やカラーに沿ったシステムを開発できるなどの利点があります。

資格例:各プログラミング言語の認定試験など

コミュニケーション

プロジェクトを円滑に進めるためには、コミュニケーションスキルも必要です。従業員だけでなく、プロジェクトの中心となるリーダーや管理職にも必要といえます。

またテレワークの定着によって、非対面でのオンラインコミュニケーションのスキルも重要になります。

デザイン&動画編集

デザインや動画編集もリスキリングに重要なスキルといえます。デザインスキルがあれば、ロゴやパンフレットなどさまざまな場面で活用できます。

また、最近では自社のPRとしてYouTubeで動画配信する企業も多いです。動画編集のできる従業員がいれば、コスト削減が可能なうえ、外注と比べて社風にあったデザイン案を反映させやすいでしょう。

経理&財務

経理や財務スキルは、自社の経営を守るために欠かせません。経理や財務の知識が豊富なだけでなく、会計ソフトを扱えるスキル、収支把握、資金確保の手段を見つけられる能力などが求められます。

資格例:中小企業診断士(国家資格)、日商簿記など

企業がリスキリングを導入するメリット5つ

リスキリングに取り組むメリットとして、以下の5つがあげられます。

  1. デジタル人材不足に対応できる
  2. エンゲージメント向上につながる
  3. 業務効率化や生産性向上につながる
  4. 人事採用のコストを抑制できる
  5. 新たなアイデアが生まれやすくなる

人材不足が深刻化している中で、高度なスキルをもつIT人材の確保は、企業にとって喫緊の課題です。

リスキリングによって、従業員のスキルレベルを高められるため、社内だけでデジタル人材をカバーできます。結果、人材不足の解消や、人材採用コストも削減可能です。

エンゲージメントや生産性向上、業務効率化につながるのもリスキリングの大きなメリットです。知識やスキルのアップデートによって新たなアイデアも生まれやすくなるでしょう。

リスキリング導入の基本5ステップ

リスキリングは以下の5つのステップで進めましょう。

  1. 事業戦略に必要なスキルを決める
  2. 教育プログラムを決める
  3. リスキリングの重要性を浸透させる
  4. 従業員が学習を進める
  5. リスキリングしたことを実践で活かす

1. 事業戦略に必要なスキルを決める

まずは、事業戦略をもとに必要なスキルを明確にします。スキルの例は以下のとおりです。

  • DX・デジタルに関する基本的な知識
  • プログラミング言語、データ分析
  • プロジェクト管理ができるディレクションスキル

スキルに加えて「人物像」も明確にしましょう。失敗から立ち直るのが早い、リーダーシップがあるなど、リスキリングに合った社内人材を見定めましょう。

2. 教育プログラムを決める

続いて、具体的な教育プログラムを決めましょう。プログラムを決める際のポイントとして以下のものがあげられます。

  • 従業員のスキルレベルはどの程度か
  • 知識やスキルがどこまで到達すれば成功か
  • 使える社内リソースはどのくらいか

従業員のレベルや到達目標だけでなく、予算や担当者の工数など社内リソースも踏まえたうえで、実現可能なプログラムを策定しましょう。

3. リスキリングの重要性を浸透させる

重要性の浸透は、もっとも大切なプロセスです。そもそも従業員に当事者意識がなければ、モチベーションが生まれません。たとえば以下のような方法で、リスキリングの重要性を浸透させましょう。

  • 全社で行うのでなく社内公募で人材を絞る
  • 1on1ミーティングで対象者と密にコミュニケーションを取る
  • 学んだスキルを活かせる環境を整備する

全従業員を対象とするのでなく、「学びたい人」「意欲の高い人」を募集した方が、モチベーションの高い従業員が集まりやすいです。

実施後も、1on1でリスキリングの内容や本人のキャリア感を擦り合わせることが大切です。加えて、モチベーションを維持するためにも、本人が学んだスキルを活かせる環境を用意しましょう。

4. 従業員が学習を進める

プログラムが決まったら、実際に学習を進めます。ここで注意したいのが、従業員にとって新しい知識やスキルの学習は負荷がかかる、ということです。

従業員のモチベーションを阻害しないよう、学習を強制するのでなく、本人の意思を尊重しましょう。

5. リスキリングしたことを実践で活かす

リスキリングは、DX推進や事業拡大のための「手段」であって、「目的」ではありません。せっかく高い技術力を身につけたのに、それを社内で活かせる場がなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。

従業員が学んだことを活かせる機会を用意し、行動の結果に対するフィードバックも行うことで、少しずつ成果が出てきます。

【コラム】リスキリングはOJTやリカレント教育と何が違う?

リスキリング以外にも、企業における人材育成の方法はさまざまです。なかでも「OJT」や「リカレント教育」は間違えやすい用語といえます。リスキリングとOJT、リカレント教育それぞれの特徴は以下のとおりです。



方法

内容

リスキリング

社会の変化に対応するために、主にデジタルに関するスキルを学び直すこと

OJT

現場を通して仕事のやり方を覚えたり、スキルを身につけたりする教育方法

リカレント教育

従業員が個人として主体的に学び、スキルを習得すること。大学への再入学や商業訓練校への入学など「学び直し」の意味が強い

OJTは、現場を通してゼロから仕事を覚える方法なので、社会変化にともなうデジタルスキル向上をめざすリスキリングとは意味が異なります。リカレント教育には、リスキリングとは異なり「学び直し」の意味があります。

【事例紹介】株式会社ワークマン |「全社員でエクセル経営、データ活用」「平均年収100万円アップ」を宣言

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引用元:株式会社ワークマン

株式会社ワークマンは、作業着やアウトドアウェアの販売において高いシェアを誇る会社です。同社では、リスキリングとして「すべての従業員がエクセル分析できるようになる」を目標に掲げ、数年かけて、研修や演習を繰り返し実施しました。

その結果、10期連続で過去最高益を達成し、2012年〜2022年の10年間の比較では売上が2.6倍に成長しています。今では「エクセル経営の成功企業」として周知されています。

参考:ワークマン年収百万UP宣言のその後 コミュ力低めでもデータで評価爆上がり | NIKKEI リスキリング

【サービス紹介】人的資本経営で必要な人材スキルの可視化ができる「PHONE APPLI PEOPLE」とは

導入企業

PHONE APPLI PEOPLE

従業員のスキルを可視化するためには、これらの情報を一元管理するツールが必要です。PHONE APPLI PEOPLEは、皆さんが連絡を取るために普段使いする電話帳、社内イントラネットのような用途で使われるサービスです。社内のメンバー同士のつながりを高めるために個々のメンバーが持つスキルや経験、パーソナリティ情報などを自己開示しあい、相互理解を深め、心理的な距離を縮めて、活発な協働を促すことが可能です。








【まとめ】企業が導入すべきリスキリングの種類について

本記事では、リスキリングの種類をはじめ以下のポイントを中心にお伝えしました。

  • ITリテラシーやマーケティング、プログラミングなどリスキリングにおすすめのスキルは多い
  • リスキリングはデジタル人材不足の解消やエンゲージメント向上、業務効率化につながる
  • リスキリングは計画性をもって、従業員に重要性を浸透させた上で導入することが大切

リスキリングにおすすめのスキルや資格は多く、企業が抱えがちな人材不足の解消をはじめ、従業員エンゲージメント向上などにつながります。

あくまでリスキリングは「手段」なので、従業員がスキルを活かせる機会を用意し、フィードバックを行うことで、少しずつ成果に結びつきます。

本記事の内容が、自社のリスキリング導入にお役に立てれば幸いです。

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