ウェルビーイング経営

ビジネスで役立つ傾聴が上手くなるポイントは?効果や傾聴力を高める方法を解説

  • 傾聴はどのようにしたら上手くできるようになるか?
  • 傾聴ではどんな聴き方や話し方が有効なのか?
  • 傾聴力を高める方法を知りたい!

傾聴とは相手の話を相手の立場に立って、しっかりと耳を傾けることをいいます。元々は看護やカウンセリングで使われる手法でしたが、近年はビジネスの世界でも重要視されるようになったコミュニケーション技術の一つです。

傾聴にはコミュニケーションを円滑にし、周囲との信頼関係を構築、自分を客観視できるようになるなどの効果があります。傾聴のスキルを身につけることによって、ビジネスにおいても役立つ場面が多くあるのです。

そこで本記事では傾聴力を高める方法について、次のポイントを中心にお伝えします。


本記事が傾聴力を高めるための手助けとなれば幸いです。

ビジネスシーンで傾聴が上手くなるポイント5つ

ビジネスシーンにおいて、傾聴が上手くなるポイントについて5つご紹介します。最初はなかなか上手くいかないかもしれませんが、まずは日々の日常会話から意識してみましょう。

1. 動作や表情など言葉以外のメッセージにも注目する

相手の言葉だけでなく、動作や表情、目の動きなどの非言語コミュニケーションのメッセージに注目しましょう。非言語コミュニケーションは、信頼関係の構築に役立ちます。話し手に「話したい」と思ってもらえるような雰囲気は傾聴の場づくりとして大切だからです。

話し手は、言葉で話していることがすべてではありません。言葉で話していること以外にも、表情や動作などで、聴き手に伝えてくれています。

傾聴するときは、全神経を相手に集中させるイメージで行なってみましょう。

傾聴でうまくなりたいと思ったときは、言葉以外のメッセージにも注目してみましょう。

2. 沈黙を恐れて喋りださない

とくに1対1で話しているとき、話し手は沈黙を恐れて間を開けずに話しかけてしまいがちです。

傾聴では沈黙を恐れないのも重要なポイントです。

相手が沈黙しているときは、話したいことを頭の中で整理している最中だと思ってください。途中で妨げてしまうと、話が表面的になり、相手が本当に話したいことを話しづらくなります。

沈黙のなかにも、前項でお伝えしたように動作や表情などでメッセージを出している可能性もあります。

沈黙は怖いものではなく、より相手の本音を引き出すためのチャンスと捉えましょう。慌てずゆったりと構え、しっかりと聴く姿勢を整えましょう。

3. 理解したふり・わかったふりをしない

相手に共感を示そうと思っていると、つい理解したふり、わかったふりをしてしまうことがあるかもしれません。しかし傾聴において、理解したふり、わかったふりをするのはNGです。

傾聴の大前提として、聴き手が相手に対して、誠実な態度でいるということがあります。わからないことは本当にわかるまで聴いてみましょう。尋ねてもわからない場合は、素直に「わからない」と伝えても大丈夫です。

傾聴の最中は、表情や仕草、目線など、さまざまな部分に注目して相手に寄り添い、共感を示しましょう。

4. 話しやすい・聴きやすい環境を整える

笑いかけたり、声のトーンを落ち着いたものにするなど、話しやすい雰囲気を作ることも傾聴における大きなポイントです。聴き手の表情が強張っていると、相手が緊張してうまく話せなくなることもあります。傾聴しているときは、基本的に柔らかい表情を意識しましょう。

たとえば体の向きをきちんと相手に向ける、たまに共感を示すために顔をしかめる、アイコンタクトを返すなど、表情で応えることで話しやすい環境を作ることもできます。

とくに相手が次に話すことを考えているときなどは、無理に言葉で促すよりも、表情や仕草などで受け入れる姿勢を示してみましょう。

場所や環境についても、話し手、聴き手の両方が落ち着いて話せる場所を選ぶのも大切ですね。

5. 水平質問と垂直質問を使い分ける

水平質問と垂直質問を使い分けることもポイントです。水平質問は同じレベルの答えを引き出す質問、垂直質問は「5W1H」の質問を使って、相手の思考を深めていく質問です。

たとえば「休暇でどこにいきたいか」というテーマの場合を考えてみましょう。

水平質問は「他には?」などを使って、いきたい場所をいくつか答えてもらうような質問です。それに対して、「そこでどう過ごしたいのか?」「そう思ったのはきっかけは?」など、話を具体的にしていく質問が垂直質問です。

水平質問だけでは相手の本音の部分を引き出すことが難しく、垂直質問だけでは深掘りすべきテーマを間違えてしまう場合もあります。

水平質問で話を広げつつ、垂直質問で深掘りしていくように、相手の反応も見ながら水平質問と垂直質問を使い分けていきましょう。

傾聴の3要素(ロジャースの三原則)とは

アメリカの心理学者で、カウンセリングの基礎理論を構築したカール・ロジャースは、傾聴の3つの構成要素について提唱しました。これをロジャースの三原則といいます。聴く側が大切にすべき、傾聴の3要素は以下のとおりです。

1. 自己一致

自己一致とは聴き手が相手に対して、誠実な態度でいることです。

相手を否定せず、また自分も本音を偽らないことでお互いに信頼関係を構築していきます。もし相手の話が理解しにくかった場合、わからないことを正直に伝え、真意を確認することも大切です。

2. 共感的理解

相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら話を聞くことです。聴き手の経験や価値観で口出しすることはNGです。相手の気持ちに寄り添って聞く姿勢をつくりましょう。

3. 無条件の肯定的関心

好き嫌い、善悪など、主観的な評価をせず、無条件で受け入れる姿勢を持つことです。相手の話を肯定的にとらえ、なぜそのような考えになったかなど、背景に関心を持って聴くことが大切です。

否定せず聴くことで、相手が安心して話せる環境が整えられるでしょう。

傾聴で使える聴き方・話し方

では実際、傾聴ではどのような聴き方や話し方が有効なのでしょうか。ここでは4つご紹介します。

1. 相槌を打つ

相槌を打ったり、頷くなどすることです。

聞き手に何も反応されないと、話し手は本当に聞いてくれているのか不安になりますよね。相手の話を「きちんと聞いていますよ。」という姿勢を示すために大切なポイントです。

笑いかけたり、共感を示すために顔をしかめる、アイコンタクトを返すなど、表情で応えるのもいい方法ですね。

しかし相槌を適当に打っていると「本当にちゃんと話を聞いているのか?」と疑われてしまいます。話し手の動作や感情の動き、反応に合わせて相槌を打つことで共感を示すことができるでしょう。わかったふりや共感しているふり、とりあえず形だけ相槌を打つなどはNGです。

2. バックトラッキングする

バックトラッキングとは、日本語で「オウム返し」を意味し、相手の話を繰り返す手法のことです。話し手は自分が話した言葉をそのまま繰り返して伝えられることで、聞いてもらえているという安心感を得られます。

「○○に対して心配しています。」「なるほど、○○の心配をしているんだね。」というように、相手の言葉を返してみましょう。

ただ、何も考えずに繰り返してしまったり、相手が伝えたいことや話の焦点がズレたバックトラッキングを行なうと、逆に反感を買ってしまうことになりかねません。

きちんと相手の話を受け止めた上で、バックトラッキングを行ないましょう。

3. 相手の言葉を要約して繰り返す

基本的にはバックトラッキングと同様の方法ですが、相手の話を要約する点がポイントです。

相手が話した内容について「つまり〜なんだね。」というように返すことで、話し手が自分の考えを整理するのにも役立ちます。話し手自身も、相手にどのくらいいいたいことが伝わっているのか、間違って受け取られていないか、なども確認できるでしょう。

バックトラッキングと同様、相手の気持ちと自分が要約した内容がかけ離れていた場合、相手が抵抗感を持つ可能性があります。

「受け止め方が間違っていたら正直に言って欲しいんだけど...」「これで合っているかな?」など、違っていることを指摘しやすいような一言を付け加えるといいかもしれません。

4. 5W1Hの質問を投げかける

質問するときは、「5W1H」の質問を意識しましょう。これらの質問は「オープンクエスチョン」ともいい「Yes」「No」などの選択肢がなく、自由に回答できる質問です。このとき、相手が自分の気持ちを自由に話せるような問いかけが重要です。

質問を投げかけることで、話し手は聴き手が知りたいことは何か、どのような話をしたらいいかなどが掴みやすくなります。またお互いが話を整理するのにも役立ちます。   

ビジネスにもたらす傾聴の効果5つ

傾聴がビジネスにもたらす効果を5つにまとめました。

  1. 相手と信頼関係を築ける
  2. お互いの気持ちを落ち着かせる
  3. 悩みや課題に気づける
  4. 仕事の円滑化につながる
  5. 自分自身を客観的に理解できる

ビジネスにおける傾聴の効果は多岐にわたります。

相手との信頼関係を築くことができ、安心感を与え、心理的安全性を高めるなどです。お互いの気持ちを落ち着かせる効果もあり、とくにビジネスシーンにおいて冷静さを保てることは、生産性の向上に役立ちます。

相手が悩みや課題に気づきやすくなり、問題解決が進むきっかけになることも。

そして傾聴による信頼関係は、考えの行き違いや理解不足によるミスを減らし、チームでの情報共有の円滑化、ひいては業務の効率化につながります。そして自分自身を客観的に理解する力を高め、感情や行動のコントロールに役立てる効果も期待できます。

このように傾聴は、良好な人間関係の構築によって組織運営を円滑にするとともに、個人の成長にも役立つものです。

従業員の傾聴力を上げるポイント3つ

従業員の傾聴力を上げようとするとき、どのような点に気をつけるべきか、3つのポイントをお伝えします。

1. 傾聴の重要性を共有する

従業員の傾聴力を上げるための大前提は「傾聴の重要性を組織内で共有すること」です。傾聴のスキルを社内で広めるには、その重要性を全社員に共有することが不可欠です。

たとえば傾聴を学ぶ研修を実施するによって、傾聴への共通理解が形成できます。従業員内で「傾聴」というスキルの重要性が共有されることで、まず社内で傾聴を使う土台ができるでしょう。

傾聴が広まることで、日常会話などでも傾聴を意識できるようになれば、チームの信頼関係の強化、チームワークや業務効率の向上につながります。また、傾聴により心理的安全性が確保され、社員が安心して意見を出せる環境が整っていきます。

研修やワークショップの実施、社内コミュニケーションへの活用、ロールモデルの提示、フィードバックなどを通じて、傾聴の重要性を効果的に共有しましょう。

2. 研修やロールプレイングを実施する

傾聴に関する社内研修やロールプレイングの実施には多くのメリットがあります。

人材育成研修などにより全従業員が傾聴という同じスキルを学ぶことで、全体のコミュニケーションの質が向上します。傾聴はどのようなものかを、従業員に周知しましょう。

ロールプレイングは実践的にスキルを習得でき、フィードバックを通じて改善点を把握できます。研修で傾聴に関しての知識を得たとしても実践には繋がりにくいため、実際に傾聴を体験する機会は非常に重要です。

ロールプレイングのやり方はさまざまで、たとえば聴き手役、話し手役、オブザーバー役の3人1組で行なう方法があります。この方法は聴き手、話し手の他にオブザーバーをつけることで、客観的にどうかという点を評価することができます。

ロールプレイングの会話のテーマも、実際社内で起こりうる状況や話題を使ってシミュレーションするとより実践的に練習できるでしょう。

3. 成果や課題を記録して改良改善する

ただ研修や勉強会を行なって終わりにするのではなく、傾聴の成果や課題を記録してスキルをブラッシュアップする仕組みを作ることも大切なポイントです。傾聴は一朝一夕で身につくものではなく、継続的な実践と改善が必要です。

たとえばどのような場面で傾聴を行ない、どのような反応や効果があったのかなど、実践した内容や結果を記録する、得られた成果とともに課題や改善点を明確にするなど、初期段階ではとくに、記録することもスキルアップに役立ちます。

さらに定期的にフィードバックする機会を設け、従業員同士で成果や課題を共有しましょう。研修やロールプレイの振り返りを行なうことで、新たな気づきや学びがあるかもしれません。

このようなプロセスを繰り返すことで、傾聴のスキルを向上させていきます。長期的な視点で継続的に取り組むことで、傾聴が組織文化として根付いていくでしょう。

PHONE APPLIが実践している「従業員のエンゲージメントを高める取り組み」について

ここでは、当社 株式会社PHONE APPLIの取り組みをご紹介します。当社では、2018年から「従業員が健康でいきいきと働いている」状態を目指し、「ウェルビーイング経営」を推進してきました。下記の事柄を主軸としたウェルビーイング施策を行っています。

従業員間で感謝や称賛を"贈りあう"「PHONE APPLI THANKS」の活用

PHONE APPLI THANKS

「PHONE APPLI THANKS」は、従業員間で感謝や称賛を"贈りあい"、組織のパフォーマンスを向上させるウェルビーイング経営推進サービスです。日々の業務の中で感じた感謝や称賛をカードにして"贈りあう"ことで、従業員それぞれの様子が見えるようになり、認め合う組織風土を育むことができます。

【PHONE APPLI THANKSの特長】

  • 日々で感じた感謝や称賛をメッセージにして送り合える
  • やりとりがオープンに表示されるため社員の活躍を把握しやすい
  • メッセージカードに「いいね」を押すことができる

組織の幸福度を測定する「Well-being Company Survey」の活用

  • Well-being Company Survey とは、幸福経営学研究の第一人者ホワイト企業大賞委員長である天外伺朗氏と慶応義塾大学 前野隆司教授協力のもと、 PHONE APPLI が開発したパルスサーベイです。
    Well-being Company Surveyの詳細はこちら

「1on1ツール」を活用し、週25分の対話でメンバーの状態を把握

  • 1on1ツールで現在の体調・仕事量・モチベーションを回答し、話したいトピックを選択します。それにより、マネージャーがメンバーの状態を把握しやすくなり、1on1の質が高まりました。また、全社横断での1on1も積極的に実施しています。組織横断コミュニケーションを意識的に増やすことで、精神的・社会的健康の向上を目指しています。

ウォーキングイベント「PA Walking Cup」で運動習慣の定着化

運動習慣の定着を目的としたウォーキングイベント毎月開催しています。従業員が楽しく参加できるよう、季節ごとのテーマやゲーミフィケーションを取り入れながら工夫しています。

年齢制限なしの保健指導で若年層の健康リスクにも対応

40歳以上の特定保健指導対象者だけでなく、39歳以下の生活習慣病予備群にも年齢制限を設けずに保健指導を実施しています。将来の疾病リスクを低減し、特定保健指導対象者の若年層からの流入抑制を目指しています。



【まとめ】ビジネスで役立つ傾聴が上手くなるポイント

今回は傾聴が上手くなるポイントについて、お伝えしました。

傾聴がうまくなるポイントを5つご紹介しました。

  1. 動作や表情など言葉以外のメッセージにも注目する
  2. 沈黙を恐れて喋りださない
  3. 理解したふり・わかったふりをしない
  4. 話しやすい・聴きやすい環境を整える
  5. 水平質問と垂直質問を使い分ける

傾聴はビジネスにおいてもさまざまな場面で役立つスキルです。顧客対応はもちろん、部下との面談や日常会話からも、周囲との信頼関係を構築する助けになってくれるでしょう。

傾聴力を上げるには、傾聴の重要性を組織で共有することが大前提です。傾聴は教わったからといってすぐにできるものでもありません。

従業員の傾聴力をアップさせたいと考えている場合は、

  • 傾聴の重要性を共有
  • 研修やロールプレイングでトレーニング
  • 実践後は成果や課題を記録して改良改善</

このサイクルを繰り返し、傾聴力を磨いていくことが重要です。

この記事で、あなたが傾聴のスキルを身につけ、ビジネスに役立てていただけたら幸いです。

サンクスカードをお手軽に導入しませんか?

「PHONE APPLI THANKS」は感謝や称賛を"おくりあい"組織のパフォーマンスを向上させるサービスです。

PHONE APPLI THANKSは、どういうツールなの?

感謝や称賛を

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