ウェルビーイング経営

従業員満足度の向上で離職防止を実現する方法7つ|よくある失敗事例や成功事例も紹介

「従業員の満足度を向上させて離職防止へとつなげたい」

「従業員満足度を向上させる方法が知りたい」

「従業員満足度を向上させるメリットとは?」

厚生労働省が公表している「新規学卒者の離職状況」によると、2018年新規大卒就職者の3年以内の離職率は、31.2%と高い水準です。

従業員満足度と離職率は密接に関係しています。従業員満足度とは、職場の環境や人間関係、福利厚生、給与などに対する従業員の満足度を示す指数です。

満足度の低い企業では、従業員の働く意欲が減り、不安や不満が増えて離職率が高くなる傾向があります。そのため、離職を防ぐためには従業員満足度を向上させる対策が不可欠です。

そこで本記事では、従業員満足度を向上させ、離職防止を実現する方法について次のポイントを解説します。


本記事をご覧になって、従業員満足度の向上にお役立てください。

従業員満足度を向上させて離職防止を実現する方法7つ

従業員満足度が高まることで、従業員のモチベーションが向上し、人材が定着しやすくなる傾向があります。

ここでは離職防止を防ぐための7つの方法についてお伝えします。

1. コミュニケーションを活性化させる

コミュニケーションを活発化させることで、社内の雰囲気もよくなり、従業員は自分の意見や疑問を気兼ねなく発言できます。

具体的な施策として、上司と部下の定期的な1on1ミーティングや、社内イベントなどが挙げられます。

部署の壁を低くすることで、組織全体で相互理解が深まり、従業員満足度が向上しやすくなるでしょう。

2. ライフワークバランスを配慮する

従業員満足度の向上のためには、ライフワークバランスへの配慮が重要です。

残業が多く、休日に突然出勤する働き方では「プライベートの時間がまったくとれない」と、従業員はストレスを感じてしまいます。

たとえば、フレックスタイム制度やリモートワークの導入、定期的な有給休暇の取得を推奨することで、従業員がリフレッシュできる時間を確保できるでしょう。

プライベートの時間を大切にすることで、趣味や家族と過ごす時間が増え、従業員満足度も向上します。

3. 従業員の業務適性を見直す

従業員満足度を向上させるためには、業務適性の見極めも有効です。

従業員がスキルや興味に合わない業務を続けると、「やりたくない仕事をやらされる」と感じ、毎日がただの苦痛になりがちです。

定期的な面談を通じて、従業員のスキルや興味、強みを把握しましょう。スキル不足で伸び悩む従業員に対しては、資格取得の支援を行うのも効果的です。

各従業員が自身の持つスキルや強みを活かす業務に取り組むことで、モチベーションの向上につながるでしょう。

4. 心理的安全性の高いチームビルディングを実現する

心理的安全性の高いチームビルディングとは、チーム内で自分の意見を自由に発言でき、メンバー同士の信頼関係が深く、協力し合える環境をつくることです。

このようなチームでは、失敗を恐れずに業務に取り組めるため、仕事に対するストレスを感じにくくなります。

たとえば、メンバーがあなたの仕事を手伝ってくれたときには、「忙しいときに手伝ってくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えましょう。

メンバー同士が互いに感謝を示すことで、協力の精神が生まれ、チームの一体感が強まります。

自分がチームの一員と感じることで、仕事に対するモチベーションも自然と高まります。

5. 人事評価制度や給与・福利厚生を見直す

人事評価制度を見直し、適切なフィードバックをすることも大切です。これにより、従業員は自分の努力や成果が正当に評価されていると感じやすくなり、従業員満足度が高まります。

まずは、現在の評価制度に問題がないか確認し、従業員を公正に評価できる制度をつくりましょう。また、福利厚生の見直しも必要です。具体的には、育児休業や有給休暇の取りやすさなどが挙げられます。

自身の実績が正当に評価されていると感じることで、従業員満足度の向上につながります。

6. 明確なキャリアパスを提供する

キャリアパスが明確であることで、従業員は自分の未来に対するビジョンを持ちやすくなり、長期的なモチベーションを維持できます。

従業員の能力開発は、個人のキャリアアップだけでなく、企業の成長にも関わります。定期的な研修やセミナーへの参加機会を提供し、最新の知識とスキルを習得する機会を増やしましょう。

さらに、メンター制度を導入することで、経験豊富な先輩従業員から学びながらサポートを受けられます。また、メンターに選ばれた先輩従業員も、聴く力や対話スキルが向上し、仕事への責任感も強まる効果もあります。

キャリアパスが明確であれば、従業員は成長する意欲を持ちやすくなり、離職率の低下にもつながるでしょう。

7. ウェルビーイングを向上させる

ウェルビーイングとは、心身の健康だけでなく、社会的や経済的にも満たされた状態のことです。従業員が健康で幸せに働ける環境を整えることが、満足度の向上につながります。

たとえば、健康診断やメンタルヘルスサポート、快適なオフィススペースやリモートワークやフレックスタイム制度を導入することで、ワークライフバランスを保ちやすくなります。

また従業員の社会的ウェルビーイングも大切です。社内イベントを定期的に開催し、従業員同士の絆を強める機会を提供しましょう。これにより、社内の人間関係が良好になり、職場の雰囲気が向上します。

これらの施策を実施することで、従業員のウェルビーイングが向上し、満足度も高まります。

企業がやりがちな離職防止の失敗事例5つ

企業が離職防止に取り組んでいても、意図しない結果を招くこともあります。ここでは、企業がよく直面する離職防止の失敗事例を5つご紹介します。

1. 離職の原因を把握していない

まずは離職の原因がどのようなものなのかを把握することが大切です。従業員の離職には次のような要因が考えられます。

  • 労働条件に不満がある
  • 給与に不満がある
  • 職場の人間関係に問題がある
  • やりたいことと実際の業務にギャップがある
  • 尊敬できる上司や先輩がいない
  • 周囲から過剰なプレッシャーがある
  • 将来のキャリア形成が見込めない
  • 社風や職場の雰囲気になじめない
  • 企業の将来に危機感を感じている

しかし、退職希望者が本音を伝えてくれるとは限りません。本当の理由を伏せて、一身上の都合と一括りに告げるケースも多いです。

離職を未然に防ぐには、既存従業員の隠れた不満を把握する必要があります。その際には、一部の従業員に偏らないように、若手からベテランまで幅広く意見を集めることが大切です。

2. 自社に合った離職防止策を導入していない

どれだけ離職対策を講じても、それが自社に合っていなければ離職防止の効果は薄いです。

たとえば、すでに福利厚生が充実している企業がさらにその分野に力を入れても、従業員の満足度はあまり向上しません。なぜなら、従業員はすでに十分な福利厚生を受けているからです。

重要なのは、従業員が本当に求めていることや、業務の特性をよく理解することです。その上で、それに合った離職防止策を導入することで、従業員満足度を高められます。

3. 給与や待遇の改善だけで解決しようとしない

辞める従業員を引き止めるために、給料を上げたりボーナスを増やすといった金銭的な改善策で対処する傾向があります。

しかし、今ではこのような方法だけでは従業員の離職を防ぐのは難しいです。

適正な給与や待遇の見直しは重要ですが、それだけでは離職の原因を解決できません。従業員が離職を決意するのは、単に給与の問題ではなく、「総合的に見て、この会社に残ることは自分に不利だ」と判断するからです。

たとえば「やりがいがほしい」や「スキルを上げたい」といったニーズに自社内で対応することで、自社の離職率を大幅に下げられます。

給与や待遇の改善は取り組みやすい対策ですが、従業員の不満解決と的外れになりがちなので、従業員の根本的な不満を把握することに注力しましょう。

4. 会社全体で離職防止に取り組んでいない

離職防止は人事部門の課題ではなく、組織全体で共有し、協力して取り組むべき問題です。

たとえば、新しい社員を迎える際には、入社する方の情報を職場全体で共有するだけでも、その後のコミュニケーションが円滑になります。

さらに、情報を社内に共有する際には、管理職などの役職が上の方から伝えることで、社内の意識統一が図れます。

離職防止は会社の一部の人だけが取り組んでも効果を発揮しません。会社全体で協力し、従業員が長く働きたいと思える職場環境を作り上げていきましょう。

5. 従業員満足度調査を実施していない

従業員満足度調査を実施しないと、問題が表面化する前に対処する機会を逃し、離職率の増加につながる可能性があります。

満足度調査は、従業員の感じていることや不満を理解するための重要なツールです。面談やアンケートを通じて、従業員の満足度を把握しましょう。

また、調査を単発で行うと、一時的な対応と見なされやすいです。すると、「あのアンケートはなんだったのか?」と従業員のやる気やモチベーションを下げてしまう恐れがあります。

対策の実施とともに定期的に調査を行うことで、改善サイクルが回り、効果が現れてきます。

従業員満足度を向上させるメリット3つ

従業員満足度の向上は、離職防止以外にも多くのメリットがあります。ここでは、離職防止以外の3つのメリットについてお伝えします。

1. 生産性が向上する

従業員満足度が高い企業では、従業員一人ひとりのモチベーションが高いです。

自分の仕事が目標達成や報酬に直結していると感じているため、「やらされている感」が少なく仕事に取り組めます。このような意欲と意識の高い従業員が増えることで、組織内のコミュニケーションが活性化し、業績の向上にもつながります。

一方で、「上司から強要されている」「頑張っても成長が見込めない」といった不満がある会社では、生産性が低くなりやすいので注意しましょう。

2. 顧客満足度が向上する

従業員満足度が高い企業の従業員は「顧客に高い価値を提供したい」という意識が生まれやすく、顧客へのサービスの質が上がります。

顧客はより良いサービスを受けることで、企業への信頼感や満足感が高まります。

さらに、顧客からの好評価が増えることで企業の評判も向上し、リピーターや新規顧客の増加にもつながるでしょう。

3. 優秀な人材を確保できる

従業員満足度が高い企業は、従業員が働き続けたいと感じる環境が整っているため、優秀な人材が定着しやすくなります。

人材確保は、価値観の多様化や急速なグローバル化により、どの企業にとっても大きな課題です。満足度の高い職場では、各従業員の帰属意識が高い状態にあるため、人材の流出を防げます。

また、新規採用活動や離職に伴う引継ぎには多大なコストがかかりますが、従業員満足度を高めて人材が定着すれば、これらのコストを最小限に抑えられるでしょう。

さらに、満足度の高い職場は魅力的な職場として認識され、求職者にとっても魅力的な選択肢となります。優秀な人材が集まることで仕事の質が向上し、企業の評価も上がるでしょう。

PHONE APPLIが実践している「従業員のエンゲージメントを高める取り組み」について

ここでは、当社 株式会社PHONE APPLIの取り組みをご紹介します。当社では、2018年から「従業員が健康でいきいきと働いている」状態を目指し、「ウェルビーイング経営」を推進してきました。下記の事柄を主軸としたウェルビーイング施策を行っています。

従業員間で感謝や称賛を"贈りあう"「PHONE APPLI THANKS」の活用

PHONE APPLI THANKS

「PHONE APPLI THANKS」は、従業員間で感謝や称賛を"贈りあい"、組織のパフォーマンスを向上させるウェルビーイング経営推進サービスです。日々の業務の中で感じた感謝や称賛をカードにして"贈りあう"ことで、従業員それぞれの様子が見えるようになり、認め合う組織風土を育むことができます。

【PHONE APPLI THANKSの特長】

  • 日々で感じた感謝や称賛をメッセージにして送り合える
  • やりとりがオープンに表示されるため社員の活躍を把握しやすい
  • メッセージカードに「いいね」を押すことができる

組織の幸福度を測定する「Well-being Company Survey」の活用

  • Well-being Company Survey とは、幸福経営学研究の第一人者ホワイト企業大賞委員長である天外伺朗氏と慶応義塾大学 前野隆司教授協力のもと、 PHONE APPLI が開発したパルスサーベイです。
    Well-being Company Surveyの詳細はこちら

「1on1ツール」を活用し、週25分の対話でメンバーの状態を把握

  • 1on1ツールで現在の体調・仕事量・モチベーションを回答し、話したいトピックを選択します。それにより、マネージャーがメンバーの状態を把握しやすくなり、1on1の質が高まりました。また、全社横断での1on1も積極的に実施しています。組織横断コミュニケーションを意識的に増やすことで、精神的・社会的健康の向上を目指しています。

ウォーキングイベント「PA Walking Cup」で運動習慣の定着化

運動習慣の定着を目的としたウォーキングイベント毎月開催しています。従業員が楽しく参加できるよう、季節ごとのテーマやゲーミフィケーションを取り入れながら工夫しています。

年齢制限なしの保健指導で若年層の健康リスクにも対応

40歳以上の特定保健指導対象者だけでなく、39歳以下の生活習慣病予備群にも年齢制限を設けずに保健指導を実施しています。将来の疾病リスクを低減し、特定保健指導対象者の若年層からの流入抑制を目指しています。






【事例紹介】株式会社インテンツ|マニュアル整備で入社1年後の離職率の改善と業務の効率化に成功

株式会社インテンツは、日常のお買い物支援を中心に生活支援サービスを提供する企業です。

2015年に創業し、従業員数の増加に伴い人材育成の課題が浮上しました。

そこで、新たな研修方法として電子マニュアル作成ツールを導入。新人用の業務マニュアルやトレーナー用の研修マニュアルを整備しました。

マニュアルを活用することで、研修期間を従来の10日間から7日間に短縮。余った研修時間を新入社員の不安や悩みを解消する機会にあて、入社1年後の離職率を大幅に改善することに成功しました。

さらに、人事評価制度にはマニュアルに沿った行動ができているかを、チェックする項目が設けられています。半年に一度、マニュアル通りに業務ができているか確認することで、従業員のモチベーションも向上しました。

同社では、客観的で透明性の高い評価制度を確立することで、従業員が前向きに取り組む姿勢を強化しています。



【まとめ】従業員満足度を向上させて離職防止を実現する方法

ここまで、従業員満足度を向上させ、離職防止を実現する方法について解説してきました。

  • コミュニケーションを活発化させることで、従業員の意見や気持ちが反映されやすくなり、職場への満足度が向上する
  • 従業員満足度の向上のためには、仕事以外の時間も充実させられるような、ライフワークバランスへの配慮が重要
  • 人事評価制度を見直し、適切なフィードバックをすることで、従業員は自分の努力や成果が正当に評価されていると感じやすくなり、従業員満足度が高まる

従業員満足度が低下すると、従業員は仕事のやりがいや目標を見失いやすくなります。

まずは、多くの従業員が求めていることを把握し、改善することが重要です。従業員の声に耳を傾け、自社に合った離職防止策を確立させてください。

【心理的安全性を高めて離職を防ぐ!】従業員エンゲージメント向上の秘訣とは

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