心理的安全性が低い職場、上司・部下の特徴|心理的安全性を高める方法を紹介

- 心理的安全性が低い職場とはどのような職場なのか知りたい
- 心理的安全性の低い上司や部下の特徴を知りたい
- 心理的安全性が高める方法を知りたい
心理的安全性とは、組織やチーム内で自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる状態のことです。
この概念は、1999年にハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱したもので、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義しています。
また、2015年にGoogle社が「心理的安全性は成功するチームを作る上で最も重要である」と発表し、広く知られるようになりました。
職場の心理的安全性が低いことで悩み、職場の心理的安全性を高めたいと考える企業も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、心理的安全性が低い職場の特徴や上司、部下の特徴について、次のポイントを中心にお伝えします。
- 【この記事でわかること】
- 心理的安全性が低い職場の特徴について
- 心理的安全性が低い上司、部下の特徴について
- 心理的安全性を向上させる施策について
本記事が、心理的安全性の高い職場づくりの手助けとなれば幸いです。
心理的安全性が低い職場の特徴7つ
心理的安全性が低い職場には、どのような特徴があるのでしょうか。次の7つを紹介します。
1. トップダウン型の組織文化が強い
トップダウン型の組織文化が強い職場は、心理的安全性が低くなりがちです。
トップダウン型のメリットは、意思決定がすばやくできる点です。しかしスピード感に意識を向けすぎると、「上司の決定は絶対である」という環境になりやすいです。
上からの指示が絶対的でありすぎると、従業員たちは指示された以上のことをしなくなってしまいます。さらに、従業員のなかには「上司の意見に反論したら評価が下がるのではないか」と不安を抱える人も出てくるかもしれません。
こうした不安が積み重なると、部下は萎縮しやすくなり心理的安全性が低くなってしまいます。
トップダウン型の組織文化が強い企業は、上層部からの決定に意見できない状態になっていないか注意が必要です。
2. メンバーに自主性がない
心理的安全性が低い職場の従業員は、自主的な行動を控える傾向にあります。
指示やルール通りに行動して業務をこなすものの、自分で考えて動いたり、アイディアを出したりすることがない状態です。
この場合、「指示以外のことを勝手にしたら怒られるだろう」「自主的に動くと損しそうだ」と不安に感じている可能性があります。
自主性がないメンバーが多いと感じたときは、心理的安全性が低くなっている状態かもしれません。
3. メンバーが積極的な意見や発言を控える
心理的安全性が低い職場では、従業員は自分の意見を積極的に発言することを躊躇する傾向があります。
会議や打ち合わせでは、メンバーから意見がまったく出なかったり、同調するばかりで反対意見が出てこなかったりする状態になりやすいです。また一部のメンバーだけが積極的に発言し、他のメンバーは黙ってしまう状態も、心理的安全性が低い職場の特徴です。
心理的安全性が低いと、「反対意見を出すと周囲の邪魔をしていると思われないか」と、不安を抱えている可能性があります。
従業員が発言を遠慮している雰囲気がある場合は、心理的安全性を下げている原因がないか注目してみましょう。
4. 新しい挑戦に対してメンバーが消極的である
新しい挑戦に対して消極的であることも、心理的安全性が低い職場の特徴です。また、現状維持を重視して目標が低い、アイディアが保守的であるなど、チャレンジ精神が見られない特徴も当てはまります。
この場合は思い切ったチャレンジで失敗した場合に、責められることを恐れている場合があります。新しい取り組みに後ろ向きな従業員が増えると、全体的に目標値が低くなり、生産性や競争力が低下しやすいです。
新しい挑戦に対して消極的なメンバーが多い場合、ミスを責めるような環境や文化になっていないか注意が必要です。
5. 従業員・上司の報・連・相が少ない
心理的安全性が低いと、従業員と上司間に必要不可欠な「報告」「連絡」「相談」すら避けてしまう可能性が高まります。
とくにミスやトラブルが発生したときは、「上司から叱責や罰を受けるかもしれない」と不安を感じて相談や報告を躊躇することが多くなりやすいです。
また仕事に対して疑問点があっても、わかったふりをしたり、相談せずに一人で解決しようとしたりします。
さらに上司も、部下への報・連・相が少なく、上司一人で仕事を進めたり、相談せずに仕事を割り振ることがある場合は注意しましょう。
相談がなくなれば、従業員同士の助け合いや話し合いもなくなり、チームワークが低下する危険性はさらに増します。
従業員、上司の双方に報・連・相が少ない様子が見られる場合は、職場の心理的安全性が低下している状態かもしれません。
6. 若手社員の離職が多い
若手社員の離職が多い職場も、心理的安全性が低い可能性があります。
若手社員が育たない理由は、上司や先輩社員が高圧的な態度を取り、若手社員の挑戦する姿勢や自由な発言を否定する行動や言動に原因があるかもしれません。
結果として、職場はベテラン社員のマンパワー頼りで安定感がない状態になり、若手にとって心理的安全性がさらに低い職場になってしまいます。
若手社員の離職率が高いときは、離職理由に注目することはもちろん、職場の雰囲気が悪くないかをチェックしてみましょう。
7. メンバーのメンタルヘルスケアが十分でない
従業員のメンタルヘルスケアのフォローが十分でない職場も、心理的安全性が低いといえます。
従業員のメンタルヘルスケアを充実させるために、定期的なストレスチェックを実施したり、職場改善や相談対応などメンタルヘルスケア専門の部署を設置する会社もあります。
また、従業員自身がストレスや心の健康について理解し、セルフケアを実施できるよう、メンタルヘルスケアに関する定期的な研修も効果的です。メンタルヘルスの不調は、生産性に大きく関わります。メンタルヘルスケアが十分な組織は、それだけ経済的損失が少なくなると考えて良いでしょう。
自社が心理的安全性が低い職場かもしれないと思ったときは、メンタルヘルスケアの実施を検討することをオススメします。
心理的安全性が低い上司の特徴
心理的安全性が低い上司には、以下のような傾向が見られます。
- 威圧感で立場が上であることを示す
- 部下の失敗に対する許容度が低い
- 自分のミスを認めず隠そうとする
- 部下の提案や意見を聞こうとしない
- 自分だけで何でも解決しようとする
- 相手の許容範囲以上の業務を押し付ける
- 過去の成功事例に固執している
心理的安全性が低い上司は、威圧的な雰囲気を前面に出している傾向があります。立場が上であることを必要以上に示し、部下にプレッシャーを与えている状態です。
また、自分の過去の成功事例に固執し、部下の提案や意見には耳を貸さないことも多いです。部下の挑戦や提案、考え方を否定するなど柔軟性が足りない行動は、部下の不安感を高めてしまいます。なかには部下の失敗には厳しい反面、自分のミスを認めずに隠そうとしたりする人もいるかもしれません。
コミュニケーションを取ることを面倒に感じ、自分でなんでも解決しようとする、自分でやったほうが早いと考えてしまう場合もあります。コミュニケーション不足から、部下の許容範囲を把握できず、多すぎる業務を押し付けてフォロー不足に陥る可能性もあります。
上記に当てはまることがあった場合、組織にとって心理的安全性が低い上司になっているかもしれません。
ただ、当人が自分で気づいたり態度を改めることは、非常に難しい問題です。「今の自分の態度は部下にどう見えるか」と自省するためのマネジメント研修を実施するなど、自分を見直すきっかけづくりが必要になるでしょう。
心理的安全性が低い部下の特徴
心理的安全性が低くなっている部下には、以下のような傾向があります。
-
- 空気を読みすぎて自分の意見を言えない<
- 独立志向・転職意向が強い
- 自己中心的な行動が多い
- コミュニティに参加せず孤立している
- 企業方針や自己目標に関心がない
- 他人と表面的な関係を保っている
- つねに現状維持を保とうとする