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1on1は心理的安全性の向上に逆効果といわれる理由5つ|効果を最大限に高めるやり方も解説

「1on1が心理的安全性の向上に逆効果といわれる理由が知りたい」

「心理的安全性を高める1on1のやり方とは?」

「心理的安全性を向上させる施策について知りたい」

心理的安全性とは、組織やチーム内で自分の考えや気持ちを、誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。

1on1は、上司と部下が定期的に1対1で話し合う場として、多くの企業で導入されています。目的は部下の業務状況を把握し、サポートを強化することで心理的安全性を高めることです。しかし、実際には1on1が逆効果となることも少なくありません。

本記事では、1on1が心理的安全性の向上に逆効果といわれる理由について解説します。


本記事をご覧になって、1on1ミーティングを活用してチームの心理的安全性を高める際にお役立てください。

1on1が心理的安全性に逆効果といわれる理由5つ

心理的安全性が低い状態で1on1をすると、部下が緊張して本音や悩みを上司に打ち明けにくくなります。そのため、正しく部下の状態を把握できず、1on1の効果が感じられなくなってしまうのです。

ここでは、1on1が心理的安全性に逆効果といわれてしまう理由について5つお伝えします。

1. 上司から圧力が加わりやすいから

1on1は本来、上司と部下が自由に意見交換をする場です。しかし、上司が一方的に話し、部下に圧力をかける場になってしまうことがあります。

1on1が叱責の場になると、部下は萎縮して何も言えなくなり、信頼関係も築けません。その結果、1on1がパワーハラスメントになる可能性もあります。

効果的な1on1をするためには、上司が部下の話をしっかりと聞き、対等な立場でコミュニケーションを取ることが重要です。

上司は「質問力」と「傾聴力」を意識し、1on1に臨みましょう。1on1は評価や指導の場ではなく、部下が主役です。話す割合も部下が7〜8割、上司が2〜3割程度にすると良いでしょう。

2. 「やらされている」感が強くなるから

1on1は、大人数への一括指導よりも個別指導の方が効果的だとして、多くの企業で導入されています。

しかし企業によっては「1on1を導入するのでしっかりやってください」と指示されるだけで、上司に対する具体的なサポートやトレーニングが不足していることが多いのが現状です。そのため、上司と部下の両方が「形だけのやらされ仕事」と感じてしまう場合が少なくありません。

また1on1と個人面談はよく混同されがちですが、その目的は異なります。1on1は上司が部下の目標設定や評価、フィードバックを行うのに対し、面談は部下が自己成長のために課題解決や自己分析を進めるために行われます。

1on1を成功させるためには、上司は部下の成長を支援する意識をもち、部下は自己成長の機会として、自発的に参加することが大切です。

3. 雑談になりやすいから

目的がない1on1は、ただの雑談に過ぎません。本来、1on1は上司と部下が業務の進捗や課題、目標について深く話し合う場です。

雑談に終始すると、重要な問題や課題が見過ごされ、実質的な改善や成長にはつながりません。

効果的な1on1を実現するためには、上司が明確な目的をもち、事前に話すべきテーマを準備しておくとよいでしょう。

「とくに話すことがない」と思っていても、深掘りすれば何かしらの課題が見つかるものです。あらかじめトピックの例をリスト化しておき、その中から選べるようにすると効果的です。

4. 個人のプライバシーが守られていないから

もし1on1での話し合いが他人に漏れる可能性があると、部下は自らの考えや悩みを打ち明けることにためらいを感じるでしょう。

そのため、1on1の場ではプライバシーが守られ、両者が気軽に話し合える環境が求められます。

たとえば透明性の高いブースの導入や、社外のカフェを利用したり、オンラインでミーティングを行うなどの方法を検討することで、よりプライバシーが守られた空間を選べます。

また、上司が1on1で話した内容を厳守することも極めて重要です。機密を厳守する姿勢を見せることで、部下との信頼関係もより強まるでしょう。

5. 人事評価や業務に活かされていないから

部下が1on1で率直な意見や悩みを述べても、それが実際の業務や組織の改善に反映されないと感じると、コミュニケーションの意欲が低下します。

この問題に対処するために、パルスサーベイなどのフィードバックツールが有効です。

パルスサーベイは従業員の意見を匿名で収集でき、上司は部下の声を客観的に把握できます。これに基づき、具体的なアクションプランを策定し、部下と共有することで、部下は自分の意見が尊重されていると感じられます。

定期的にパルスサーベイを実施し、1on1の内容を人事評価や業務改善に活かすことで、部下の信頼感が増し、心理的安全性が向上するでしょう。

心理的安全性を高める1on1のやり方とポイント

ここでは、1on1が逆効果にならないように、心理的安全性を高めるための1on1のやり方とポイントについて解説します。

1. 上司・部下が1on1の目的を認識する

まず、チーム全体に1on1の目的を理解させることが重要です。1on1は部下の成長を促し、信頼関係を築く場であり、部下のために行われるものです。

良い1on1は、部下を主役にして、彼らの理解・育成・モチベーション向上を意識して進めます。部下の話を注意深く聞きよく聞き、肯定的なフィードバックを心がけましょう。

反対に、上司が自分を主役にしてしまう1on1や、部下の意見を否定する1on1は効果がありませんので注意が必要です。

1on1の内容を業務改善に活かし、部下の意見を尊重することで、信頼関係が深まり、効果的なコミュニケーションが実現します。



2. 傾聴と自己開示を意識する

上司は部下の話にしっかりと耳を傾け、共感を示しながら相手の気持ちや考えを尊重しましょう。

1on1中は、部下の話を遮らず、最後まで傾聴することが大切です。上司の関心事を優先したり、急に自分の意見を押し付けることは避けましょう。

また、上司自身も適度に自己開示をすることで、信頼関係が築きやすくなります。部下があまり自分の話をしないタイプであれば、上司から自己開示を始めることで、部下が話しやすい雰囲気をつくりましょう。

最初から深い話を引き出せなくても、「こんなことを話しても大丈夫なんだ」と部下が感じることで、心理的安全性が高まります。

3. 双方が話しやすい環境で話す

場所や雰囲気も、1on1の成功を左右する大事な要素です。部下が対人トラブルなど、第三者に聞かれたくない話題をもち出すこともあるでしょう。

プライバシーが確保され、リラックスできる空間を選ぶことで、部下は安心して自分の意見や悩みを話しやすくなります。

部下が打ち解けて話せるように、カフェや公園に出かける企業もあります。時間帯やテーマによっては軽食を用意し、雑談の延長線上で話せるようにするのも良いでしょう。

話しやすい環境を整えることで、よりオープンで建設的な対話が可能となり、心理的安全性が向上します。

4. 次回までの課題を共有する

心理的安全性を高めるためには、1on1の終わりに次回までの課題をお互いに共有することが大切です。

次回の1on1までに「来週までに○○を次のフェーズに進める」など、具体的な行動目標を決めましょう。これにより、部下は課題解決のための目標をもち、次の1on1でその進捗を確認できます。

また、1on1の内容を踏まえ、上司が日常的に小さな声掛けを意識することも効果的です。日々の励ましやフィードバックによって、部下は自分の意見が尊重されていると感じ、次回の1on1でより安心してコミュニケーションが取れるようになります。

5. 感謝や労いの気持ちを伝える

感謝や労いの言葉は、信頼関係を築き、部下のモチベーションを高める効果があります。小さな成果でも積極的に褒め、感謝の気持ちを伝えることを心がけましょう。

たとえば部下から意見や質問をもらったときは、「ありがとう」と感謝の言葉を伝えるだけでなく、「そういう視点には気付かなかった!」や「いい質問だね!」といったポジティブな反応で感謝を伝えることも効果的です。

部下は自分の意見がしっかり聞かれることで、「こんな意見でも、ちゃんと聞いてもらえるんだ」と感じ、上司に意見を伝えることがポジティブな経験となります。

1on1が企業にもたらす6つのメリット

1on1は実施する目的を理解し、適切に実践することで、企業に多くのメリットがもたらされます。企業にもたらすメリットは次の6つです。

  1. 上司と部下の信頼関係を強化しやすい
  2. 部下の自発的な成長を促す
  3. 部下のモチベーションが向上する
  4. 部下に対する理解度が向上する
  5. チーム全体の生産性が上がりやすい
  6. 社員の離職率低下につながる

1on1は、上司が一方的に話すのではなく、お互いが対等に意見を交換する場です。

対話の中でお互いの理解が促進され、上司と部下の信頼関係を強化し、こうした信頼関係が土台となって、普段のマネジメントも円滑になる効果があります。

信頼関係がある環境では、メンバーはより効果的に協力し合うため、チーム全体の生産性も上がりやすくなります。

また、1on1を通じて部下自身が上司に対して「何でも話せる状態」になれば、チームに愛着がわき帰属意識も高まりやすくなるでしょう。部下が抱えている悩みや課題を上司がいち早く察知できれば、「いきなり退職」を防ぐことも可能です。

心理的安全性を向上させる具体的な施策10選

次に、心理的安全性を向上させる施策についてお伝えします。

  1. 従業員同士でサポートし合う関係づくり
  2. 誰でも意見がいえる環境づくり
  3. 1on1の実践
  4. 価値観の受容
  5. 共通認識をすり合わせる
  6. ピアボーナスの導入
  7. サポートを意識したマネージャーの設置
  8. OKRの設定
  9. 弱みを受容する環境づくり
  10. 新人のフォロー体制づくり

心理的安全性を高めるためには、従業員同士でのサポートが欠かせません。お互いの長所や短所を理解し、協力し合うことでチーム全体の協調性が高まります。

また、自由に意見を述べられる環境を整えることも大切です。急に上司の前で意見を述べるのは難しいかもしれませんが、1on1を活用することでお互いをより深く理解し合い、信頼関係が築けます。

さらにお互いの価値観を尊重し合うことや、共通の理解も重要です。相手の意見や価値観を受け入れ、認識のズレを防ぐためにも、定期的にコミュニケーションを取りましょう。

他にもマネージャーの設置やOKRの設定、弱みを受け入れる環境づくり、新人のフォロー体制構築などの施策を通じて、心理的安全性が高い職場環境を実現しましょう。

【コラム】心理的安全性を損ねる4つの不安とは?

エドモンドソン教授は、心理的安全性を損ねる要因として次の4つの不安を挙げています。

  1. 無知だと思われる不安
  2. 能力がないと思われる不安
  3. 邪魔をしていると思われる不安
  4. ネガティブだと思われる不安

これらの不安に共通するのは「自分を守るために発言を控える」という意識です。このような環境では、部下は上司の顔色をうかがってしまい、率直に意見を言えず、組織全体が停滞してしまいます。

部下がわからないことを質問できず、ミスやトラブルを招いたり、重要な問題やリスクを指摘できず、組織の成長を妨げることもあります。

心理的安全性を高めるには、お互いの存在を認め合うことが重要です。まず、上司自身が不安や恐れを手放し、部下や職場にしっかりと向き合える心のゆとりをもつことから始めましょう。そのうえで、メンバーの価値観や背景を理解し、信頼関係を築くことが必要です。

たとえば話しやすい雰囲気を作るために、ピアボーナス制度を導入することも効果的です。この制度では、従業員同士がお互いの貢献や努力を評価し、感謝の気持ちを表現することで、職場全体の心理的安全性が高まります。



PHONE APPLIが実践している「従業員のエンゲージメントを高める取り組み」について

ここでは、当社 株式会社PHONE APPLIの取り組みをご紹介します。当社では、2018年から「従業員が健康でいきいきと働いている」状態を目指し、「ウェルビーイング経営」を推進してきました。下記の事柄を主軸としたウェルビーイング施策を行っています。

従業員間で感謝や称賛を"贈りあう"「PHONE APPLI THANKS」の活用

PHONE APPLI THANKS

「PHONE APPLI THANKS」は、従業員間で感謝や称賛を"贈りあい"、組織のパフォーマンスを向上させるウェルビーイング経営推進サービスです。日々の業務の中で感じた感謝や称賛をカードにして"贈りあう"ことで、従業員それぞれの様子が見えるようになり、認め合う組織風土を育むことができます。

【PHONE APPLI THANKSの特長】

  • 日々で感じた感謝や称賛をメッセージにして送り合える
  • やりとりがオープンに表示されるため社員の活躍を把握しやすい
  • メッセージカードに「いいね」を押すことができる

組織の幸福度を測定する「Well-being Company Survey」の活用

  • Well-being Company Survey とは、幸福経営学研究の第一人者ホワイト企業大賞委員長である天外伺朗氏と慶応義塾大学 前野隆司教授協力のもと、 PHONE APPLI が開発したパルスサーベイです。
    Well-being Company Surveyの詳細はこちら

「1on1ツール」を活用し、週25分の対話でメンバーの状態を把握

  • 1on1ツールで現在の体調・仕事量・モチベーションを回答し、話したいトピックを選択します。それにより、マネージャーがメンバーの状態を把握しやすくなり、1on1の質が高まりました。また、全社横断での1on1も積極的に実施しています。組織横断コミュニケーションを意識的に増やすことで、精神的・社会的健康の向上を目指しています。

ウォーキングイベント「PA Walking Cup」で運動習慣の定着化

運動習慣の定着を目的としたウォーキングイベント毎月開催しています。従業員が楽しく参加できるよう、季節ごとのテーマやゲーミフィケーションを取り入れながら工夫しています。

年齢制限なしの保健指導で若年層の健康リスクにも対応

40歳以上の特定保健指導対象者だけでなく、39歳以下の生活習慣病予備群にも年齢制限を設けずに保健指導を実施しています。将来の疾病リスクを低減し、特定保健指導対象者の若年層からの流入抑制を目指しています。








【まとめ】1on1が心理的安全性の向上に逆効果といわれる理由と対処法について

本記事では、1on1が心理的安全性の向上に逆効果といわれる理由について解説してきました。

  • 1on1が叱責の場になると、部下は萎縮して何も言えなくなり、1on1がパワーハラスメントになる可能性がある
  • 上司も部下も「1on1の定義」を理解せずに参加すると、やらされている感が強くなり、形だけの面談に陥りがち
  • 1on1が雑談の場になってしまうと、重要な問題や課題が見過ごされ、実質的な改善や成長にはつながらない

1on1が逆効果となるのは、面談が評価や指導の場として捉えられ、部下が正直に話せない雰囲気が生まれるときです。

部下が安心して話せるように、1on1では評価から離れたオープンな対話を心がけ、成長を支援する姿勢をもちましょう。そうすることで、1on1は信頼関係を深め、心理的安全性の向上に役立ちます。

1on1を効果的に運用するために、ぜひ本記事をご活用ください。



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