人材ポートフォリオとは?メリットや作り方、成功事例をわかりやすく解説

- 人材ポートフォリオを作成したいがイメージが掴めない
- そもそも人材ポートフォリオとはどういったものなのか
- 人材ポートフォリオを作るメリットや成功事例を知りたい
人材ポートフォリオとは、簡単にいうと「社内にどのようなスキルをもつ従業員が、何人いるのか」を示したものです。企業が経営戦略を立てるうえで重要であり、働き方改革の推進や働き方の多様化から、人材ポートフォリオの作成を検討する企業も増えています。
しかしながら、「人材ポートフォリオのイメージが掴めない」と悩んでいる企業の方もいらっしゃるでしょう。そこで本記事では、次のポイントを中心に解説します。
- 【この記事でわかること】
- 人材ポートフォリオの概要や求められる背景
- 人材ポートフォリオのメリットや作り方
- 人材ポートフォリオの成功事例
ぜひ本記事の内容を、自社の人材ポートフォリオ作成にお役立てください。
人材ポートフォリオとは、自社の人材構成を分析および可視化したもの
人材ポートフォリオとは、企業が業務を進めるうえで必要な人材がどのように構成されているのか可視化したものです。
そもそも、ポートフォリオ(portfolio)の直訳は「書類入れ」です。ポートフォリオがあることで、人材がどこに配置されているのか明確になり、評価もしやすくなります。
企業における人材ポートフォリオでは、社内に在籍する人材を見える化します。「どの部門にどのくらいの人材を確保すべきか」「どのような人材が必要か」を可視化することは、採用や人員配置、評価の最適化に役立ちます。
人材ポートフォリオが注目される背景
企業が人材ポートフォリオに注目している背景として、次のものがあげられます。
人材版伊藤レポート「人的資本経営」への注目
人材版伊藤レポートとは、2020年に経済産業省が発表した「人的資本経営」に関する報告書を指します。人的資本経営とは、従業員のもつスキルや知識、ノウハウなどを「人的資本」企業の大切な資源として経営に役立てることです。
2022年には「人材版伊藤レポート2.0」にアップデートされました。企業理念の定着やリスキリング、ダイバーシティ、従業員エンゲージメントの向上など、企業が人的資本経営を実現するために取り組むべき内容が記載されています。
その中の項目に「動的人材ポートフォリオ」があり、必要な人材像をできるだけ具体的に定義する、人材戦略に関するKPIを見直すといった内容があります。
人的資本の情報開示が義務化
人的資本の情報開示が義務化されたのも、人材ポートフォリオが注目されるようになった背景のひとつといえます。人的資本の情報開示とは、上述した「人的資本経営」の内容を社内外に公表することです。
2020年に米国証券取引委員会は、上場企業を対象に人的資本の情報開示を義務化しました。世界的に人的資本の情報を開示する動きが高まっています。
人材ポートフォリオを作成するメリット5つ
企業が人材ポートフォリオを作成することには次のようなメリットがあります。
- 自社の人材が明確になる
- 適材適所の人材配置ができる
- 従業員のキャリア支援ができる
- 人材の過不足が把握できる
- 採用コストなどの人件費を削減できる
1. 自社の人材が明確になる
人材ポートフォリオによって、従業員の強みや弱み、仕事に対する向き合い方、思い描くキャリアなどを見える化できます。
一人ひとりの特性が明確になることで、これまで気づけなかったスキルが見つかる可能性もあるでしょう。また従業員の思考の偏りに気づくきっかけにもなります。
2. 適材適所の人材配置ができる
人材ポートフォリオによって従業員の特性が明確になれば、それを活かした適材適所な人材配置が可能です。従業員の特性に合った業務にアサインできたり、思い描くキャリアを達成できる部署に異動させたりと柔軟に対応できます。
従業員一人ひとりの特性や希望にマッチした人材配置をすることは、組織全体の生産性向上にもつながります。
3. 従業員のキャリア支援ができる
人材ポートフォリオでは、従業員が思い描くキャリアも可視化できます。今いる会社でどのようなスキルを身につけてどこまで成長したいのか、転職や独立を見据えているのかなど、細かく把握可能です。
そのため企業は、従業員の理想のキャリアに沿った支援ができます。たとえば、スキルアップや異動の希望に対応することで、、最終的には従業員エンゲージメントの向上につながります。
4. 人材の過不足が把握できる
人材ポートフォリオでは、どの部署に誰がいるのか、人材過多または人材不足などの人材状況をひと目で把握できます。
たとえば、従業員が多すぎる部署から少ない部署に異動させたり、少ない部署にはベテランや能力値の高い従業員を配属させたりといった対応が可能です。つねに自社の人材状況を把握して、人材配置を最適化できます。
5. 採用コストなどの人件費を削減できる
人材ポートフォリオによって人材状況や従業員の特性を把握できれば、それに従って最適な人材配置が可能です。人員数の偏りや部署と個人のミスマッチを防げるため、「無駄な採用」をせずに済み、採用コストの削減にもつながります。
人材ポートフォリオの作り方
人材ポートフォリオは従業員が増えると作成の難易度も上がります。作成の大まかなステップは次のとおりです。
- 活用の目的を明確にする
- 必要な人材をタイプで分類する
- 人材をそれぞれのタイプに当てはめる
- タイプに偏りがないかチェックする
- 余剰または不足するタイプの解消手段を考える
まずは、人材ポートフォリオを作成する目的を設定しましょう。
つぎに、自社の経営戦略や人材戦略に必要な人材を、スペシャリスト(専門職)・ゼネラリスト(総合職)、個人でする仕事が得意または組織での仕事が得意といった軸でタイプ分けします。
その後、従業員がどのタイプに該当するのか全員分を当てはめましょう。タイプを当てはめたら、人材の余剰または不足があれば解消手段を考えます。
【ツール紹介】人的資本経営で必要な人材スキルの可視化に役立つ「PHONE APPLI PEOPLE」の特長や機能とは
人材ポートフォリオを作るにあたっては、従業員のスキル情報を一元管理できるツールが必要です。それを実現できるツールとして、当社では「PHONE APPLI PEOPLE」を提供しています。
PHONE APPLI PEOPLEでは、電話帳、社内イントラネットといった機能をPCやスマートフォンなどデバイスを問わずに利用可能です。「マイプロフィール機能」によって、従業員同士のつながりを深めるために個々のスキルや経験、パーソナリティ情報などを自己開示しあい、心理的な距離を縮めるといった活用もできます。
さらに詳しい方法についてこちらの資料でも解説しています。資料ダウンロードは無料なのでぜひ、こちらをご覧いただけますと幸いです。
【事例紹介】旭化成株式会社 | 年1回の人材ポートフォリオ構築とKSA導入で従業員エンゲージメント向上

引用元:旭化成株式会社
旭化成株式会社は、化学製品の製造をはじめ住宅やヘルスケア領域の製造・販売まで行う会社です。同社では職場環境の改善や従業員の活力アップのために人材ポートフォリオを作成。育成や採用すべき人材の質と量を「事業軸」と「機能軸」の両軸から、年1回全社的に洗い出しています。
他にも2020年度からKSA(従業員の活力や成長度合いを測る調査)を実施。社内の人間関係やワーク・エンゲージメント、組織学習行動などさまざまな項目を可視化し、従業員のエンゲージメントにつなげています。
【参考】人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書~人材版伊藤レポート2.0~ 実戦事例集 | 経済産業省
【まとめ】人材ポートフォリオについてわかりやすく解説すると
本記事では人材ポートフォリオについて次のポイントを中心にお伝えしました。
- 人材ポートフォリオとは社内に在籍する人材を見える化したもの
- 人材ポートフォリオが注目される背景として、人的資本経営の推進や情報開示の義務化がある
- 人材ポートフォリオの作成によって適材適所な人材配置、採用コストの削減などを実現できる
人材ポートフォリオを作成することで、自社の人材状況が把握できます。人材配置を最適化できれば、従業員のパフォーマンスが高まり、組織全体の生産性向上にもつながります。作成する際は、自社の目的を明確にして、人材のタイプに偏りが出ないよう分析を進めましょう。
本記事の内容が、自社の人材ポートフォリオ作成に役立つことを願っています。