後悔しない自社に最適な人事管理システムの選び方 | よくある失敗事例や無料ツール選定の注意点を解説

- 人事管理システムの選び方を知りたい
- 人事管理システムの失敗事例を知りたい
- 人事管理システムの導入するときの注意点を知りたい
人事管理システムとは、給与や勤怠、評価など従業員に関する情報を一元管理できるシステムのことです。最近ではDX化の流れもあり、システムの導入を検討する企業も増えています。
しかしながら、「何を基準にシステムを選ぶべきかわからない」と考える企業も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、人事管理システムについて次のポイントを中心にお伝えします。
- 【この記事でわかること】
- 人事管理システムの選び方
- 人事管理システムを導入・運用するときの失敗事例
- 人事管理システムの機能
ぜひ本記事の内容を、自社の人事管理システム導入にお役立てください。
人事管理システムの選び方
さっそく本題である、人事管理システムの選び方を見ていきましょう。システムを選ぶ際に意識したいポイントは次の6つです。
- 導入する目的は明確か
- 予算と目的は合致しているか
- システムの連携性・拡張性は十分か
- サポート・メンテナンス体制が万全か
- システムアップデートと法改正に適応できるか
- ユーザビリティが高いか
1. 導入する目的は明確か
人事管理システムには労働時間の集計や給与計算、人事評価の管理などさまざな機能があります。そのため「システム導入によってどうなりたいか」「どの業務を効率化させたいか」といった目標設定が重要です。
まずは人事管理における課題や改善すべき業務を洗い出し、何のために導入するのかを明確にしましょう。
2. 予算と目的は合致しているか
人事管理システムを利用する際はコストがかかるため、費用に対して効果が見合っているか確認しましょう。費用はシステムによって異なりますが、大きく「初期費用」や「月額費用」に分類できます。
たとえば、初期費用は固定で数万円、月額費用は「1ライセンス(ユーザー)あたり数百円」などです。インストール型の場合は、パッケージソフトを買い切ることで、以降の料金は発生しません。
3. システムの連携性・拡張性は十分か
システムの連携性や拡張性も、人事管理システムを選ぶうえで意識したいポイントです。システムによっては、チャットツールやタレントマネジメントシステム、会計ソフトなどと連携できるものもあります。
自社が現在使っているシステムと連携できると、さらに便利です。外部システムと連携することで管理工数が減り、自社の生産性アップにつながります。
4. サポート・メンテナンス体制が万全か
ベンダーによるサポートやメンテナンス体制も確認しましょう。たとえば次のような内容があげられます。
- 24時間365日の相談窓口
- トラブル時のスピーディーな対応
- システムの導入支援
- システム導入後の運用支援
内容はシステムの使い方や不明点に関する相談窓口をはじめ、トラブル時のサポート、さらには導入や運用支援までさまざまです。「導入後、社内にシステムが定着するか不安」と悩む企業は、伴走型のサポートを提供するシステムをおすすめします。
5. システムアップデートと法改正に適応できるか
労働時間や時給、社会保険の内容など人事管理に関する項目は、たびたび法改正が起こるため、企業はそれに対応しなければなりません。その際システム側のアップデート体制が整っていれば、最新の法律に準拠した状態でシステムを利用可能です。
しかし人事管理システムが法改正に対応していなかった場合、企業側で最新情報に対応させるため、入力内容を修正しなければなりません。負担を減らすためにも、システムアップデートと法改正の対応について確認しておきましょう。
6. ユーザビリティが高い
使える機能が多くても、それが担当者や従業員にとって使いにくければ定着しにくいです。
ITツールに不慣れな人でも使いやすいか、目的のページまで少ないクリックでたどり着けるかなど、システムの操作性や視認性を意識しましょう。
無料トライアルを複数人に使ってもらい意見を募る、システムの操作性についてベンダー側に入念に確認するといった方法でユーザビリティを確認することが大切です。
人事管理システムを導入・運用するときの失敗事例
人事管理システムを導入したものの、失敗に終わってしまうケースも少なくありません。ここでは人事管理システムの失敗事例をいくつかご紹介します。
1. 経営層・人事労務部門にDXに精通した人材がいない
最近、企業のあいだではデジタル技術を業務に取り入れるDX化の流れが加速しています。人事管理システムもDXの取り組みのひとつですが、経営層や人事労務部門がデジタルに詳しくない場合、適切なシステムの導入・運用は困難になりかねません。
さらに人事管理システムが、システム構築が必要なオンプレミス型であればITに関するノウハウが必要です。まずは上層部や担当者が実際にシステムを使い、従業員に積極的に活用するように伝える必要があります。
2. 情報管理や整理に膨大な時間と労力がかかる
人事管理システムでは、従業員一人ひとりの勤怠や給与、評価など多くのデータを扱います。既存システムから新しい人事管理システムに移管する場合、膨大な量の情報を整理しなければなりません。その整理や管理に時間と労力がかかり、結局コア業務に集中できない、といったケースも多いです。
タグやカテゴリーなどを活用して情報を整理する、既存システムを使っている場合は一つに集約するといった工夫が求められます。
3. 導入に満足してしまい継続的な運用ができていない
人事管理システムの導入自体が目的になり、運用が失敗してしまうケースです。無事に導入できても、社内に定着しなければ意味がありません。継続的な運用をするためには、担当やルールの設定が必要です。
- 勤怠や給与、人事など項目別に担当者を決める
- 責任者による定期的なチェックを入れる
- データの入力や編集時のルールを決める
人事管理システムを運用するためにも役割を明確にして、定期的にチェックしましょう。
4. 情報がうまく活用できていない
人事管理システムでは、従業員の勤怠やスキルなどに関するさまざまな情報を一元管理できます。しかし多くの情報を保有しているものの、うまく活用できず、結局システムの運用に失敗してしまうケースも多いです。
たとえば、従業員自身のスキルを細かく記録しているのに、マネージャーの主観で人事異動させてしまったため従業員がパフォーマンスを発揮できないケースも珍しくありません。責任者には、従業員の情報を逐一チェックしたうえでの人材配置が求められます。
5. 既存の人事システムと連携できない
すでに人事システムを使っているが、連携ができないため入力や管理が二度手間になってしまうケースです。似たようなシステムが2つあると担当者の負担は膨らみ、情報の誤認やミスも起きやすくなります。
負担軽減のためにも、人事管理システムを導入する際は、既存システムと連携できるかどうか必ず確認しておきましょう。
6. システム導入と運用のための予算が足りない
人事管理システムの導入・運用にはコストがかかります。クラウド型やオンプレミス型などシステムの形式によって費用は異なりますが、多くの場合、初期費用と月額費用が必要です。
たとえばユーザー1人あたり月額500円のクラウド型システムを社内の管理者10人が使う場合、月間5,000円の費用が発生します。これに加えて、導入時は初期費用も必要です。
予算が足りずにシステム自体を諦める企業も少なくありません。人事管理システムに使える予算はもちろん、本当に費用対効果があるのか見定めたうえで導入を検討しましょう。
人事管理システムの機能9つ
人事管理システムには多くの機能が備わっており、システムによって特長も異なります。なかでも代表的な機能として、次の9つがあげられます。
- 給与の計算
- 労働時間の集計
- 勤怠管理
- 人事評価
- 社員教育
- 配置・異動
- 福利厚生の企画や適用
- 人材採用
- 退職の調整や手続き
給与計算や労働時間の集計、人事評価など企業の労務管理において必要不可欠な機能はもちろん、社員教育や配置・異動、人材採用なども管理可能です。システムによっては、従業員が退職した際の調整や手続きができるものもあります。
人事管理システムの種類
人事管理システムは「クラウド型」「オンプレミス型」「インストール型」の3種類に分かれます。それぞれの特徴やメリット、デメリットを解説します。
クラウド型
クラウド型とは、ベンダー(システムの提供会社)が用意したサーバーを使って、インターネット経由でサービスを利用する形式です。データはクラウド上に自動保存されるうえ、メンテナンスや運用保守もベンダーが担ってくれます。
メリット |
デメリット |
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オンプレミス型
オンプレミス型とは、サーバーを自前で用意し、自社でシステムの構築・運用を行う形式です。自前でシステムを構築できるため開発の自由度は高いですが、難点もいくつかあります。
メリット |
デメリット |
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インストール型
インストール型は、ソフトウェアのライセンスを購入し、PCにインストールして使う形式です。多くが「買い切り型」なので、ライセンスさえ購入してしまえば、以降はコストがかからず半永久的に利用できます。
メリット |
デメリット |
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無料の人事管理システムを使用するときの注意点3つ
人事管理システムの中には無料で利用できるものもありますが、有料版と比べて機能やサービスの品質は下がります。なかでも次の3つには注意しましょう。
- 機能や利用人数に制限がある
- サービスが急に終了または有料化する可能性がある
- サポート体制・セキュリティ対策が不完全な可能性がある
無料システムは、機能や利用人数に制限がある場合があります。たとえば、「基本機能は使えるが〇〇機能はオプション料金が発生する」「無料版ではユーザー3人まで」などです。
ほかにも、無料プランが急に終了したり、これまで無料で使えた機能が有料になったりすることもあります。また、無料プランではサポート体制やセキュリティ対策が不完全なケースも多いので、利用時は注意が必要です。
【サービス紹介】人的資本経営で必要な人材スキルの可視化ができる「PHONE APPLI PEOPLE」とは
従業員のスキルを可視化するためには、これらの情報を一元管理するツールが必要です。PHONE APPLI PEOPLEは、皆さんが連絡を取るために普段使いする電話帳、社内イントラネットのような用途で使われるサービスです。社内のメンバー同士のつながりを高めるために個々のメンバーが持つスキルや経験、パーソナリティ情報などを自己開示しあい、相互理解を深め、心理的な距離を縮めて、活発な協働を促すことが可能です。
【まとめ】失敗しない、人事管理システムの選び方について
本記事では、人事管理システムの選び方について次のポイントを中心にお伝えしました。
- 人事管理システムを選び際は、導入目的を明確にしたうえで予算と費用対効果、サポート体制、法改正の対応などを確認する
- 失敗事例として、経営層や責任者がDXに詳しくない、情報をうまく活用できていないなどがある
- 無料のシステムを使う場合は機能や人数制限、サポート体制、セキュリティ対策に要注意
人事管理システムを導入する際は、目的を明確に定めたうえでシステムを見定める必要があります。予算やサポート体制、法改正への対応、ユーザビリティなどさまざまな側面から総合的にシステムを選びましょう。
本記事の内容が、自社の人事管理システム導入に役立つことを願っています。