タレントマネジメントに必須な管理項目とオススメ項目|導入ステップやメリットも紹介

「タレントマネジメントに必要な管理項目とは?」
「タレントマネジメントが重要視されている理由を知りたい」
「タレントマネジメントのメリットについて知りたい」
タレントマネジメントとは、従業員の能力や資質、スキルや経験などの情報を一元管理し、戦略的な人材配置や人材育成に役立てる手法です。
この手法は、1990年代のアメリカで「優秀な人材を定着させ、育成する」ことで生産性を向上させる目的で生まれました。
タレントマネジメントを取り入れることで、従業員の能力や特性が明確になり、企業は経営戦略の実現に向けて最適な人材を効果的に配置できます。
ぜひ本記事をご覧になってタレントマネジメントについて理解を深めてください。
タレントマネジメントに必須な管理項目5つ
タレントマネジメントで従業員ごとの情報を収集・管理する際には、管理する項目を厳選する必要があります。
ここでは、タレントマネジメントに必須の管理項目についてお伝えします。
1. 基本情報
従業員の基本情報はタレントマネジメントにおいて最も重要となる情報です。
「誰がどのような経歴を持っているか」といった情報が正確でないと、分析や人材検索の際に正確なデータを得られません。
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 住所
- 電話番号
- 学歴など
基本情報はタレントマネジメントの基盤となるため、情報が変更になった場合は担当者はすぐに対応し、つねに最新の状態を保つことも大切です。
2. キャリア情報
キャリア情報では、従業員がどのような経験をし、どのような実績を残してきたかをまとめます。
採用活動で応募者から預かった履歴書や職務経歴書は、そのままタレントマネジメントに活用できるため、廃棄せずに保管しましょう。
- 学歴
- 職歴
- 所属履歴
- 評価履歴
- 受賞
- 表彰履歴など
キャリア情報をうまく活用することで、従業員を適材適所の部署に配置でき、業務効率の向上につながります。入社後もキャリアは積み重なっていくため、昇進や人事異動の際には定期的に情報を更新することが必要です。
3. 能力・スキルの情報
次に必要となるのは、従業員の能力やスキルに関する情報です。とくに従業員が資格を保有している場合、能力やスキルを客観的に評価する材料となります。
- 資格の取得年や級
- 経験職種
- 経験業務
- 免許情報など
スキルや資格に関しては、基本的に自己申告です。入社時には過去の経歴に基づいてスキルや資格を登録し、仕事を通じて得たスキルを申告および登録する仕組みを整えましょう。
4. 勤務状況の情報
従業員の行動や勤怠に関する項目も設定する必要があります。これまで、目標達成に向けてどのような行動をしてきたか、勤務態度はどうだったかなどの情報を集めます。
- 遅刻
- 早退
- 欠勤
- 有給取得数
- 残業時間など
どんなにスキルや能力が高くても、勤務態度に問題があれば高評価になりません。
逆に、目標達成度が高くても、つねに残業しているようでは、効率的に仕事をこなせていない可能性があります。行動・勤怠情報の項目は、こうした点を精査するために重要になります。
5. 性格・価値観の情報
働き方や仕事に対する考え方などが多様化する現代において、従業員の価値観について把握することも大切です。
仕事に対するやりがいの感じ方や希望する働き方、将来に対するビジョンなどは一人ひとり考えが異なります。
このような価値観・志向性の把握は、その従業員に適した人員配置・勤務条件の整備を実施することにつながります。
- 仕事を選んだ理由
- 企業理念の共感具合
- 仕事に対する原動力
- 理想の上司像など
性格や価値観は個人によって微妙に異なるため、記録が難しいように見えますが、MBTI診断やOCEANモデルを使えば、ある程度分類・記録が可能です。
大まかな性格の傾向を把握することで、上司や同僚との衝突が性格の不一致によるものだと推測できたり、適性のある部署に配属できたりします。
ただし、MBTI診断やOCEANモデルはあくまで「大まかな傾向」を示すものです。個々人の詳細な性格や価値観については、採用面接や入社後の上司との面談を行い、変化があれば更新するようにしましょう。
タレントマネジメントにオススメな項目3つ
上記では、タレントマネジメントをする上での必須項目についてお伝えしました。ここでは、タレントマネジメントにオススメの項目を3つお伝えします。
1. 家族に関する情報
家族構成を把握することで、各従業員のニーズに応じた働き方や支援が可能になります。
たとえば、育児や介護の負担がある従業員には、柔軟な勤務時間やリモートワークを提案できます。
また、他の従業員に過度な負荷がかかっていないかを注視し、サポートすることも大切です。これにより、従業員の心理的負担が軽減され、離職率の低下にもつながるでしょう。
2. 健康状態に関する情報
従業員の健康状態を把握することで、労働時間や休憩時間の管理がしやすくなり、ストレスや疲労の蓄積を予防できます。
ストレスチェックや健康診断、残業時間のモニタリングを通じて、従業員の健康状態を可視化することが大切です。これにより、健康に問題がある場合でも迅速に対応できます。
長時間労働はストレスや作業の非効率の原因となるため、適切な労働時間の管理は従業員の心身の健康を維持する上で非常に重要です。
3. 福利厚生システムの利用情報
福利厚生の利用状況を把握することで、従業員のニーズに合ったサービスの充実や改善が可能です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が2020年に行った「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」によると、導入されている福利厚生の利用率が高いものは30%を超えています。
利用状況を調査し、利用率が低い福利厚生やその理由を把握することで、福利厚生を見直す際に役立ちます。
タレントマネジメントが重要視された背景
タレントマネジメントが日本で注目されるようになった理由には、大きくわけて3つの背景があります。
労働人口減少による人手不足
日本では少子高齢化により労働力が不足しており、新たな人材を確保することが難しい状況です。
そのため、企業は「人を増やす」よりも「今いる従業員の力を最大限に引き出す」ことに注力しています。
今後も人材不足が続く中、自社の従業員が最大限の力を発揮できるようにするために、タレントマネジメントが注目を集めています。
仕事に対する価値観の多様化
時代の変化に伴い、従業員の働き方や仕事に対する価値観が多様化しています。たとえば、収入だけでなく、仕事のやりがいやワークライフバランスも重視されるようになりました。
タレントマネジメントは、そうした個々の価値観やモチベーションを理解し、それぞれに合った働き方やキャリアの進め方を提案することで、社員のエンゲージメントやパフォーマンスを向上させるのに役立ちます。
IT環境の発展や市場のグローバル化
IT環境の発展や市場のグローバル化といった、ビジネス環境の変化も、タレントマネジメントが注目されるきっかけとなった要因のひとつです。
日本でこれまで一般的であった、年功序列や終身雇用、新卒一括採用などの人事制度は、世界的な競争から遅れる要因といわれています。
世界的な競争に適応するためには、革新的な製品やサービスを創り出すための優秀な人材を発掘し、育成することが不可欠です。
タレントマネジメントを促進するために、人的資本経営は大きなメリットをもたらします
タレントマネジメントを導入することで、次の5つのメリットがあります。 タレントマネジメントは、従業員の能力や適性を可視化することで、個々に合わせた人材育成や、採用すべき人材のモデルや基準が明確になります。 従業員のスキルや経験を分析し、自らの力を発揮できる環境で働くことで、従業員の不満が減少し、離職や転職のリスクも低くなります。 さらに個々の特性を理解し、適材適所の配置を行うことで、企業の生産性も向上するでしょう。 次に、タレントマネジメントの導入方法について主な流れを解説します。 まず自社の課題を把握し、タレントマネジメントを導入する目的を設定します。たとえば、若手社員不足の場合は新卒採用の強化が必要です。 次に、従業員のスキルや経験、性格などをデータベース化し情報を整理します。 人材を把握した結果、会社が求める人材とのギャップがあれば、新規採用によってギャップを解消します。採用時には、企業の文化やビジョンに合った人材を重視し、採用することが大切です。 収集した人材情報や育成計画に基づいて、各ポジションに最適な人員を配置します。ただし、従業員の能力や経験を考慮しつつ、本人のキャリアパスや志向にも配慮することで、モチベーションの維持・向上が期待できます。 最後は、計画と結果を比較して検証・評価することです。タレントマネジメントの導入後は、定期的に評価を行い、当初の目的や期待していた効果と実際の結果を比較します。 評価には、従業員のパフォーマンスや満足度、離職率などの指標を用いると良いでしょう。必要に応じて計画を修正することで、より効果的なタレントマネジメントが実現できます。 従業員のスキルを可視化するためには、これらの情報を一元管理するツールが必要です。PHONE APPLI PEOPLEは、皆さんが連絡を取るために普段使いする電話帳、社内イントラネットのような用途で使われるサービスです。社内のメンバー同士のつながりを高めるために個々のメンバーが持つスキルや経験、パーソナリティ情報などを自己開示しあい、相互理解を深め、心理的な距離を縮めて、活発な協働を促すことが可能です。 引用元:株式会社クラレ":https://harekuraray.com/ 株式会社クラレは、1926年に化学繊維レーヨンの事業化を目的に創立。2000年代に入り、海外企業のM&A(合併・買収)を積極的に進め、事業を拡大しました。 その結果、2001年度には30%だった海外売上高比率が、2023年度には79%となり、海外での売上高の割合が大幅に増加しています。 そのため、クラレでは国内外の社員を対象とした「グローバル人材育成プログラム」を運営し、世界で活躍できる人材を育成しています。このプログラムは2007年度に開始され、2022年度までの15年間で約1,000名が受講しました。 人材マネジメントにおいてもグローバル全体の最適を目指し、グローバルベースでの人材マネジメント基盤の整備を進めています。 また2017年度より、グローバル共通の人事評価制度と人材情報システムを段階的に導入。これにより、以下の基本的な人材マネジメントをグローバル規模で実施することを目指しています。 この取り組みによって、クラレは世界中で統一された基準で人材を評価・育成し、企業全体の競争力を高めようとしています。 本記事では、タレントマネジメントで必要な項目について解説してきました。 タレントマネジメントは、人材情報をデータベース化し、可視化することで効果を発揮します。これにより、従業員一人ひとりの能力やスキル、過去の成果や業績を企業全体で共有できます。 データに基づいた人材管理を導入することで、企業はより効率的で効果的な人材活用が可能となり、競争力を高められるでしょう。 本記事を参考にして、タレントマネジメントの導入を検討し、自社の成長と発展にお役立てください。タレントマネジメントがもたらす5つのメリット
タレントマネジメントの導入ステップ
【サービス紹介】人的資本経営で必要な人材スキルの可視化ができる「PHONE APPLI PEOPLE」とは
【事例紹介】株式会社クラレ |グローバル人材強化に伴いグローバル共通制度を導入
【まとめ】タレントマネジメントで必要な項目について