健康経営を実施するうえで起こりうる課題とは?健康経営を成功させる施策と取り組み事例も紹介
「健康経営を取り組むうえで、事前に起こりうる課題を知りたい」
「今まで何度か健康経営についての施策を行ってきたが、いまいちうまくいかない」
「健康経営を成功させるための施策やポイントがあれば知りたい」
社員の健康管理を経営視点で考えて実践する「健康経営」。働き方改革や新型コロナウイルスによるリモートワークの増加などによって、昨今注目を集めている経営手法の一つです。
実施する企業も増えている中、私たちの会社でも、とお考えの担当者・経営者の方も多いのではないでしょうか。ただ「健康経営を行うからには成功させたい。なにか取り組む上での課題はあるのだろうか」と懸念もあるかと思います。そこで本記事では、健康経営について次のポイントを中心にお伝えします。
ぜひ本記事の内容を、自社の健康経営の実施にお役立てください。
健康経営を実践するうえで起こりうる主な課題4つ
さっそく本題である、企業が抱えやすい健康経営の課題についてお伝えします。特に以下の4つは多くの企業が直面する課題ですので、ここを押さえておきましょう。
- 健康保険料や医療費の負担が減らない
- 業務効率化・労働生産性が向上しない
- 企業イメージが上がらない
- 社員の離職率低下を防げない
1. 健康保険料や医療費の負担が減らない
1つ目は健康保険料や医療費の課題です。社員の健康がおろそかになった結果、病院にかかる社員が増え、健康保険料や医療費の負担が大きくなります。
健康保険料や医療費は会社にとって大きな出費のひとつ。「なかなか負担が減らない」という場合は、健康診断の回数を増やす、労働時間の見直しなどを再度行ってみましょう。
2. 業務効率化・労働生産性が向上しない
2つ目は業務効率や生産性の課題です。労働環境が原因で体調やメンタル面の状態が悪いと、社員の生産性は下がってしまいます。
一人ひとりの生産性が下がると、当然チームや企業としての生産性も低下。結果、利益がふるわず、会社の経営そのものに打撃を与える可能性も考えられます。
健康経営を導入しているのに社員の生産性が上がらないという場合は、メンタルヘルスチェックの実施、社内コミュニケーション円滑化のため社内SNSの導入、などの取り組みがおすすめです。
3. 企業イメージが上がらない
3つ目は、企業イメージが上がらないという課題です。今はインターネット企業の評判が掲載されている時代です。職場環境が悪いと、それが評判となって企業の経営を左右する場合があります。
健康経営に積極的に取り組むことで、「社員の健康を第一に考えている企業」としてプラスイメージを持ってもらえるでしょう。
4. 社員の離職率低下を防げない
4つ目は、社員の離職率低下を防げないこと。体調やメンタルの不調によって退職してしまう社員が増えるケースです。
離職率は人材採用にもダイレクトに影響を与えます。退職者が増えれば、その分人材採用も行わなければなりません。それらの悪循環を防ぐためにも、健康経営の考え方は大切です。
健康経営を実施しているのに退職者がなかなか減らない場合は、まだ課題が残っている可能性が高いです。労働環境や社員の体調管理、取り組みを再度見直してみましょう。
【統計紹介】企業の5割が健康経営を実践済!多くの企業が取組む内容とは?
健康経営に取り組んでいる企業は、一体どのような施策を行っているのでしょうか。シンクタンクなどの調査結果を参考に、企業の健康経営の傾向をご紹介します。
健康経営の認知度は9割超えでも、実施済の企業は3割程度に
最近注目を集めている健康経営。シンクタンクの調査によると全体の約9割が「知っている」と回答しています。しかしながら健康経営を実践している企業は、大企業が52%、中堅企業が36%、中小企業が20%という結果に。つまり健康経営を認知している9割の中でも、3〜4割しか実践していないのが現状です。
取り入れやすい施策は「メンタルヘルス対策」
上記の調査において、健康経営を導入している企業の中でもっとも多く取り組まれていたのが「メンタルヘルス対策」です。
実践企業のうち78%が同対策に関する取り組みを行っていました。メンタルヘルス対策が取り組みやすい理由として、ストレスチェックや休暇取得状況の把握など、アンケート形式で手軽に行えるという理由が考えられます。
ほとんどの企業が「従業員の生産性」を重視
実際に健康経営を行なっている企業のうち、76%が「従業員の生産性維持向上」を目的としているようです。次いで「企業全体の労働生産性向上」「従業員のモチベーション維持向上」が2位と3位になっています。
上位に位置し、企業の関心の高さからもわかるように生産性やモチベーションは「可視化」が難しいのが特徴です。だからこそ多くの企業が、組織全体の目的として設定し、さまざまな取り組みを実施しているのです。
健康経営を成功させるための施策
健康経営の課題についてお伝えしましたが、具体的にどのような解決策があるのでしょうか。この章では例としていくつかの施策をご紹介します。健康経営がうまくいっていない企業は、次のような施策を試してみてください。
健康意識が低い社員をサポートする
会社が健康経営に取り組んでも、なかには健康意識の低い社員の方もいます。社員の健康意識を高めるためには、「健康に関するセミナーの開催・相談窓口の設置・健康管理アプリの提供」といった取り組みがオススメです。社員全員の健康を増進できるような取り組みを実践しましょう。
社員の労働時間・シフトを見直す
社員の労働時間やシフトを見直してみるのも一つの手です。長時間労働や残業、深夜シフトは体調を崩す原因になります。飲食店や製造業など、どうしても現場に社員を立てなければならない業種もあるかと思いますが、積極的に交代制を取り入れるなど社員の負担を減らす工夫をしてみましょう。
社員同士のコミュニケーションの場を増やす
健康経営においては、社員同士のコミュニケーションについても考えてみましょう。事実、「人間関係」を理由に退職する人は多いです。上司や同僚となじめず、仕事のモチベーションが上がらないという人も少なくありません。
それらを解決に導くためには、たとえばコミュニケーション円滑化のために、固定席を設けない「フリーアドレス」を導入する、オフィス内にカフェや雑談スペースなどを設置するなどの施策が考えられます。
長期的に改善と振り返りをする
そして、ただ施策を行なって終わりでなく、改善と振り返りを定期的に行いましょう。たとえば施策実施後、社員がどう感じているのかを知るためにアンケートを実施する、そのアンケートの結果をもとに施策をアップデートする、などが考えられます。
また健康経営はすぐに効果が表れるものではありません。ある程度時間がかかるものなので、長期的に改善と振り返りを行いましょう。
女性特有の健康課題に対応する
仕事との両立や産婦人科検診など「女性特有の健康課題」にも対応しましょう。婦人科系の病気や子育てについて不安を抱える女性社員は多いです。
たとえば婦人科医や専門のカウンセラーを配置する、休暇や勤務形態をフレキシブルにする、など女性社員が安心して働ける施策を行いましょう。
【事例】実際に健康経営に取り組んだ企業の事例
健康経営を成功させるための施策をお伝えしましたが、具体的な事例がないとイメージが湧きにくいのではないでしょうか。ここでは健康経営に積極的に取り組んでいる企業の事例をご紹介します。
事例1:株式会社東京堂
株式会社東京堂は、オフィス環境のトータルプランニングをはじめ音楽・英語教室、ライフスタイル用品の小売販売など幅広い事業を行っている会社です。数年前に女性社員がガンを患ったことをきっかけに、これまで以上に健康管理を強化することを決めたといいます。
【実施した取り組み】
- 社員が働きやすい環境を作るべく、事業内容に合わせて100通り以上のシフトを制定
- 社員のプライベートを充実させるために、1時間単位で有給休暇の取得を可能に
- 社内の隔離されたスペースに喫煙場所を設置し「完全分煙」を実施
健康経営を積極的に行って以降、自社で販売する運動機器の設置、健康に配慮したオフィス用品の販売促進につながったそうです。健康経営によって企業のイメージの向上、利益向上につながった事例といえるでしょう。
事例2:ユーシン建設株式会社
ユーシン建設株式会社は、富山県を所在地とする建設会社です。以前より健康経営に注力していた同社。平成12年から月に2回、全社員で2km歩きながら路上のゴミを拾う運動を行っていたようです。今では健康経営優良法人の認定を受けています。
【実施した取り組み】
- 会議後に開催している「おやつタイム」で、健康な食生活についての勉強会を実施
- 自販機のメニューを無糖コーヒーや水、お茶、低糖のものメインにするよう自販機設置会社に依頼
- 健康診断は全社員で一斉に実施し、再検査を受けられやすいよう有給休暇の取得を促進
「食生活」に関しての変わった取り組みを積極的に実施している同社。健康経営優良法人に認定されて以降は、地元テレビに取り上げられるなど企業イメージアップにもつながったそうです。
PHONE APPLIのウェルビーイング経営(健康経営)への取り組み
PHONE APPLIは、2018年から「従業員が健康でいきいきと働いている」状態を目指し、コミュニケーション改革による「ウェルビーイング経営」を推進してきました。従業員が身体的・精神的に健康であるために、運動・食事・睡眠など、様々なイベントやワークショップ実施のほか、上長と毎週30分の1on1の時間を設け、仕事以外の相談も気軽に話せる信頼関係の構築や、オンライン上で感謝の気持ちを贈りあい、お互いを尊重し感謝しあう文化の醸成など、コミュニケーションの活性化を意識した諸施策を展開しています。 2020年8月には部署を横断した健康経営推進プロジェクト「Wellnessアンバサダー」を発足、組織の幸福度診断「Well-being Company Survey」を社内実施開始しました。
組織の幸福度を測定する「Well-being Company Survey」の活用
ウェルビーイング向上のために、身体的健康や精神的健康に関するアンケートだけでなく、組織の幸福度を測定するアセスメントサービス「Well-being Company Survey」を定期的に実施し、これらの回答結果をもとに、身体的・精神的・社会的それぞれの健康を満たすための施策の検討、実施に繋げています。
※「Well-being Company Survey」について
https://phoneappli.net/product/consulting/health-consulting/wcs.html
従業員間で感謝や称賛を"贈りあう"「PHONE APPLI THANKS」の活用
- THANKSカードを通じてお互いに感謝を贈りあい、従業員間の「ありがとう」を可視化しています。このカードの内容は全社に公開されているため、リモートワーク下でもマネージャーがメンバーの活躍を知ることや、これまで接点のない従業員の情報を事前に知ることが可能になります。「PHONE APPLI THANKS」によって、コミュニケーション活性化やモチベーションの向上、職場における一体感の増進や心理的安全性の向上に努めています。
※「PHONE APPLI THANKS」について
https://phoneappli.net/product/service/pa-thanks/
上司と部下の信頼関係をつくる毎週30分の1on1ミーティングを実施
自社開発した「リモート1on1」ツールを用い、マネージャーとメンバーで毎週30分、1on1を実施しています。メンバーは1on1開始直前に、ツール上で現在の体調・仕事量・モチベーションを回答し、今回の1on1で話したい話題のカテゴリーを選択します。これらの機能により、マネージャーはメンバーの状態を把握し、より1on1を有効活用することができます。またリアルタイムでマネージャーとメンバーの発話量もグラフ表示されるため、マネージャーはより傾聴を意識して1on1を行うことが可能です。基本的に上司と部下の発話量が「30%:70%」になるようなルールを設けています
信頼関係構築を目的としたハイブリッドワークの推進と全社横断1on1ミーティング
コロナ禍が継続しリモートワークを推奨していましたが、コミュニケーション不足により、業務やメンタルヘルスへの影響が見受けられました。それらの課題を解消するため、フルリモートから対面ワークとリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークへ移行し、全社横断での1on1ミーティングを定期的に実施しています。組織横断コミュニケーションを意識的に増やすことで、当社にとっての望ましい働き方を整備し、精神的社会的健康の向上を目指しています。
ウォーキングイベント開催、運動部活動の実施による運動習慣の定着化
PHONE APPLIでは、歩数計アプリ「RenoBody」を用いたウォーキングイベント「PA Walking Cup」を毎月開催しています。また2022年から社内部活動にて「月二体育館」という運動部を設立し、月2回程度、自主参加のメンバーで運動を行っています。自治体の体育館を借りて、卓球、バドミントン、バレーなどの運動を行いながら、普段交流のないメンバーとの関わりを楽しみながら体を動かすきっかけとなっています。
※PHONE APPLIのウェルビーイング経営(健康経営)への取り組みについて
https://phoneappli.net/company/well-being/
PHONE APPLIの書籍「最強の組織は幸せな社員がつくる ~ウェルビーイング経営のすすめ~」
最強の組織をつくる仕掛けを大公開
社員の幸せを追求することは奉仕だと思っていないでしょうか?
幸せな社員たちは価値ある商品やサービスを生み出すクリエイティビティの源泉になり、企業の成長につながることが証明されています。
私たちはウェルビーイングを経営戦略の一環として位置づけ、正しく構造化することで幸せな社員を増やすことに成功しました。本書では、ウェルビーイング経営の構造やノウハウを余すことなく公開!
ウェルビーイング経営で、あなたの会社にイノベーションを起こしてみませんか?
【コラム】健康経営の課題解決には「感染症対策」もカギ?
新型コロナウイルスの感染拡大が続いている昨今。コロナ禍が健康経営に影響を与えているケースも少なくありません。
特に「リモート化によって社員の健康管理が難しくなった」「社員の顔色や態度がオンラインからではわからない」といった問題です。
たとえばオンライン健康診断の実施、在宅勤務者向けにオンラインのエクササイズイベントを開催する、定期的にオンラインの1on1ミーティングを実施する、など。アフターコロナでは、座席間隔や空調管理といった感染症対策をしつつ、社員の健康管理を行うことが重要になるでしょう。
【まとめ】健康経営の課題について
本記事では、健康経営の取り組みについて、次のポイントを中心にお伝えしました。
- 健康経営を導入しても「健康保険料や医療費の負担が減らない」「労働生産性が上がらない」などの課題を感じる企業が多い
- 健康経営の認知度は9割を超えているが、実施済の企業は3〜4割程度
- 健康経営の成功には、「健康意識の低い社員をサポートする」「社内コミュニケーションの場を増やす」などの施策が考えられる
- コロナ禍においては、感染症対策をしつつ社員の健康管理を行うことが重要
お伝えしたように、健康経営に課題を感じる企業は少なくありません。またコロナ禍におけるリモートワークの加速で、いっそう社員の健康管理が難しくなっています。自社の健康経営にお悩みの方は、健康経営コンサルティングサービスを検討してみるのも良いでしょう。
ぜひ本記事の内容を、自社の健康経営にお役立てください。
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組織の幸福度や風土を可視化する組織の健康診断組織の健康診断「Well-being Company Survey」
ウェルビーイングな状態は測れるものでなければ、改善していくことができません。
Well-being Company Surveyとは、幸福経営学研究の第一人者ホワイト企業大賞委員長である天外伺朗氏と慶応義塾大学 前野隆司教授協力のもと、PHONE APPLIが開発したパルスサーベイ※です。
基本設問は3つの因子から12問(約2分で回答)。手軽に受けられて無理なく継続できる組織の健康診断です。
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