クロス1on1とは?導入のメリットから具体的な手順まで解説
自社の1on1が形骸化してきているとお悩みではないでしょうか。この記事では、組織の風通しを良くする施策として注目を集めるクロス1on1について解説します。読み終わると、クロス1on1の導入手順や成功させるための具体的なポイントが理解できるようになります。
【この記事でわかること】
クロス1on1とは?
クロス1on1は、組織内の異なる部署やチームに所属する社員同士が1対1で行う面談のことです。まずは、クロス1on1の基本的な定義と、従来の1on1との違いについて整理します。
比較項目 |
従来の1on1 |
クロス1on1 |
主な目的 |
業務進捗の確認、目標管理、評価フィードバック |
キャリア相談、多角的な視点の獲得、部門間交流 |
心理的安全性 |
評価者であるため本音を言いにくい場合がある |
利害関係がないため本音を話しやすい |
話題の中心 |
直近の業務課題や目標達成に向けた相談 |
中長期的なキャリアや他部署の業務に関する情報交換 |
他部署の社員と行う斜めの関係での面談
クロス1on1とは、直属の上司や部下という縦の関係ではなく、他部署の先輩やマネージャーといった斜めの関係で行う面談のことです。業務上の直接的な利害関係がない相手と対話することで、普段の職場では言えないような本音を引き出しやすくなります。
例えば、現在の業務に対する漠然とした不安や、将来のキャリアプランについて相談する場として機能します。つまり、クロス1on1は社員の心理的な負担を減らし、よりフラットな対話を実現するための有効な手段です。
従来の1on1との主な違い
従来の1on1とクロス1on1の最大の違いは、面談相手との間に評価や査定が絡むかどうかです。直属の上司との1on1では、どうしても業務の進捗確認や評価の話題が中心になりがちです。
一方で、クロス1on1は評価に直接関わらない他部署の社員が相手となるため、より中長期的な視点でのキャリア相談や、純粋な悩み相談に時間を割くことができます。この違いを理解し、両者を目的によって使い分けることが組織の成長につながります。
クロス1on1が注目される背景
クロス1on1が注目される背景には、既存の人事施策の限界や、働き方の変化に伴う新たな課題が存在します。
背景・課題 |
具体的な状況 |
クロス1on1による解決策 |
横のつながりの希薄化 |
リモートワークの普及で他部署との雑談や情報交換が減った |
意図的に他部署との対話の場を作り、連携を深める |
キャリアの多様化 |
直属の上司のキャリアパスだけではロールモデルとして不足する |
異なる職種や経験を持つ社員からアドバイスをもらえる |
既存の1on1の形骸化とマンネリ化
クロス1on1が求められる背景の一つとして、従来の1on1がマンネリ化してしまっている現状があります。毎週や隔週で同じ上司と同じようなテーマで面談を続けていると、次第に話す内容が尽き、単なる業務報告の場になってしまうことが少なくありません。
例えば、部下が本当に話したい将来の不安などを打ち明けられず、お互いに時間の無駄だと感じてしまうケースです。このように、既存の1on1が本来の目的を果たせなくなった際の打開策として、相手を変えるクロス1on1が注目されています。
リモートワークによる横のつながりの希薄化
リモートワークの普及により、他部署との自然なコミュニケーションが減少したことも大きな背景です。オフィスに出社していれば、休憩スペースや廊下ですれ違った際に行われていたちょっとした雑談が生まれにくくなりました。
その結果、自分の部署以外の動きが分からず、組織全体の一体感が失われやすくなっています。こうしたコミュニケーション不足を補い、意図的に部門を越えたつながりを作るための施策として、クロス1on1が機能します。
クロス1on1のメリット
クロス1on1を導入することで、個人と組織の双方にさまざまな良い影響をもたらします。具体的なメリットを整理して解説します。
メリットの対象 |
メリットの内容 |
具体的な効果 |
メンティー(相談者) |
多角的な視点の獲得 |
自分の部署にはない知識やノウハウを学ぶことができる |
組織全体 |
部門間連携の強化 |
お互いの業務理解が深まり、新しいアイデアや協業が生まれる |
心理的安全性が確保されやすい
クロス1on1の最大のメリットは、メンティーの心理的安全性が確保されやすい点です。直属の上司には、評価が下がるのではないかという不安から、ネガティブな相談をためらってしまうことがあります。
しかし、利害関係のない他部署の社員であれば、そうした評価の目を気にせずにありのままの悩みを打ち明けることができます。結果として、早い段階で本音を引き出すことができ、離職の防止やモチベーションの低下を防ぐことにつながります。
部署を越えた多角的な視点が得られる
異なる部署の社員と対話することで、今の環境では得られない多角的な視点が得られることも大きな魅力です。例えば、営業部の若手社員が開発部の先輩とクロス1on1を行うことで、自社製品の裏側にある技術的な工夫や苦労を知ることができます。
このような新しい視点を取り入れることで、日々の業務に対する捉え方が変わり、新たなモチベーションやキャリアのヒントを見つけるきっかけになります。
組織全体の連携や一体感が強化される
クロス1on1は、組織全体の風通しを良くし、部門間の連携を強化する効果があります。他部署の社員と定期的に対話を重ねることで、相手の部署が現在どのような課題に取り組んでいるのかを互いに理解できるようになります。
例えば、あそこの部署で困っているなら自分たちのリソースで支援できるかもしれない、といった協力関係が自然に生まれやすくなります。このように、個人の対話から組織全体の事業シナジーへと発展していくのがクロス1on1の強みです。
クロス1on1のデメリット
クロス1on1には多くのメリットがある一方で、運用を誤ると新たな課題を引き起こす可能性があります。導入前に把握しておくべきデメリットと注意点を解説します。
想定されるデメリット |
具体的なリスク |
対応策の例 |
直属の上司との連携不足 |
部下の悩みを直属の上司が把握できず、現場でのサポートが遅れる |
面談後に差し支えない範囲で上司へフィードバックする仕組みを作る |
目的の曖昧化 |
単なる雑談で終わってしまい、成長や業務改善につながらない |
事前にキャリアや人間関係などのテーマを設定する |
メンターとなる社員の業務負担が増加する
クロス1on1を実施すると、メンターとして話を聞く側の社員に業務負担がかかるというデメリットがあります。他部署の社員の悩みを聞き、適切なアドバイスをするためには、面談の時間だけでなく準備や事後の振り返りにも時間が必要です。
例えば、優秀なマネージャーほど複数のメンティーから指名されやすく、その人の業務が逼迫してしまうケースが考えられます。そのため、メンターの負担が一部の人に偏らないようなマッチングの工夫が求められます。
直属の上司との連携が不足するリスクがある
他部署のメンターとばかり深い話をしてしまうことで、直属の上司との連携が疎かになるリスクも存在します。メンティーがクロス1on1で深刻な業務上の悩みを打ち明けたとしても、それが現場のマネジメントを担う直属の上司に伝わらなければ、根本的な環境改善にはつながりません。
本人が内緒にしてほしいと望む場合を除き、メンターから直属の上司へ必要な情報を適切に連携するルールを設けることが重要です。
実施の目的が曖昧になりやすい
評価や業務報告という明確なアジェンダがないため、クロス1on1は単なる雑談で終わってしまう危険性があります。もちろん雑談を通じた関係構築も重要ですが、それだけでは社員の成長や組織の課題解決には結びつきません。
例えば、今日は何について話しますかという状態からスタートすると、お互いに時間を無駄にしてしまいます。貴重な業務時間を使って実施する以上、何のための面談なのかという目的意識を保つ工夫が必要です。
クロス1on1の導入手順
ここからは、実際にクロス1on1を自社に導入する際の具体的な手順を解説します。事前の準備を丁寧に行うことが成功の鍵となります。
| 導入ステップ | 実施内容 | 具体的なアクション例 |
| 1.目的と対象者の決定 | クロス1on1を導入する目的(なぜ実施するのか)と、対象者(誰が参加するのか)を明確に定める | 若手の離職防止のために若手社員と中堅社員を対象とする、あるいは部門間連携強化のために異なる事業部のマネージャー層を対象とする |
| 2.マッチング | メンターとメンティーの組み合わせを決める | ランダムに組み合わせるか、希望制にするかを決める |
| 3.ルール設定 | 頻度、時間、実施場所などの運用ルールを定める | 月に1回、30分間、オンラインまたは対面で実施する |
| 4.連携の仕組み作り | 面談内容を直属の上司や人事に共有する方法を決める | 面談後に簡単なレポートを提出し、関係者に共有する |
実施の目的と対象者を明確に決める
まずは、なぜクロス1on1を導入するのかという目的と、誰を対象とするのかを明確に定めます。会社の課題が若手の離職率の高さであれば、若手社員をメンティーとし、経験豊富な中堅社員をメンターに設定するのが効果的です。
また、部門間の連携強化が目的であれば、異なる事業部同士のマネージャー層をマッチングするといったアプローチになります。目的がブレると施策全体が形骸化するため、最初のステップとして非常に重要です。
メンターとメンティーをマッチングする
次に、誰と誰を組み合わせるかというマッチングを行います。マッチングの方法には、人事が意図的に組み合わせを決める方法や、メンティー側が話したい相手を指名できる方法などがあります。
例えば、キャリアに悩んでいる若手には、異動経験が豊富で多様な業務を知っている先輩を割り当てるといった工夫が考えられます。社員が自主的に相手を探せるシステムを導入すると、マッチングの負担を軽減しつつ自発的なコミュニケーションを促すことができます。
面談の頻度や基本的なルールを設定する
面談をスムーズに運用するために、実施の頻度や時間といった基本的なルールを設定します。クロス1on1は直属の上司との1on1に比べて緊急性が低いため、頻繁に実施しすぎるとお互いの業務負担になります。
月に1回から2か月に1回程度のペースで、1回あたり30分から45分程度を目安とするのが一般的です。また、オンラインで行うのか、オフィス内のオープンスペースで行うのかといった環境面についても推奨事項を提示しておくとスムーズです。
直属の上司へ内容を共有する仕組みを作る
クロス1on1で出た重要な意見や課題を、直属の上司へ還元する仕組みを構築します。メンティーの心理的安全性を守るためにすべてを共有する必要はありませんが、業務改善に関わる内容は適切にエスカレーションされるべきです。
例えば、面談終了後にメンターが簡単なサマリーを作成し、本人の合意を得たうえで直属の上司や人事へ報告するといったフローを用意します。これにより、組織全体の課題解決へとつなげることができます。
クロス1on1を成功させるポイント
クロス1on1を形骸化させず、意味のある時間にするためにはいくつかのコツがあります。運用時に意識すべき重要なポイントを解説します。
| 成功のポイント | 目的・理由 | 具体的な取り組み |
| 評価との切り離し | 本音を引き出し、心理的安全性を高めるため | 冒頭でこの場での発言は評価に影響しないと明言する |
| ツールの活用 | 運用にかかる手間を削減し、継続しやすくするため | 日程調整や記録を一元管理できる専用システムを導入する |
事前に面談の目的を明確に共有する
面談の前に、メンティーからメンターに対して何について話したいのかを共有しておくことが成功のポイントです。事前にテーマがわかっていれば、メンター側も過去の経験を振り返ったり、アドバイスの準備をしたりすることができます。
例えば、今後のキャリアパスについて相談したいという大まかなトピックを事前にチャット等で伝えておくことで、限られた時間を有効に活用できます。
評価に直結させないことを伝える
クロス1on1の場では、評価と完全に切り離されていることを参加者全員に徹底して伝える必要があります。メンティーが少しでも評価に響くかもしれないと感じてしまうと、表面的な会話しかできなくなります。
面談の冒頭でメンターから、ここでの話は評価には一切関係ないから安心して話してほしいと一声かけるだけでも、相手の緊張は大きく和らぎます。この安心感が質の高い対話を生み出します。
専用ツールを活用して負担を減らす
クロス1on1の運用を継続するためには、メンターの選定や日程調整にかかる手間を削減することが重要です。参加人数が増えるほど、「誰がどんなスキルを持っているのか」「いつ面談の時間がとれるのか」を手動で把握するのは困難になります。
そこで、社員情報を一元管理できるコミュニケーションツールを導入し、キーワード検索による最適なメンター探しから、システム連携(OutlookやTeamsなど)による空き時間の確認までをスムーズに行うのがおすすめです。ツールの活用により、参加者と運営側の双方の負担が減り、施策が定着しやすくなります。
コミュニケーションポータル「PHONE APPLI PEOPLE」とは
「ヒトのつながり」を高め、組織を強くするコミュニケーションポータル「PHONE APPLI PEOPLE」。メンバー同士がお互いを理解し最適なコミュニケーションをとることにより心理的な距離を縮めて、活発な協働を促します。
「PHONE APPLI PEOPLE」には、次のような機能が標準搭載されています。
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まとめ
この記事の要点をまとめます。
- クロス1on1は他部署の社員と行う斜めの面談であり、心理的安全性が高く本音を話しやすい
- リモートワークによる分断や既存の1on1のマンネリ化を解消する施策として有効である
- 面談内容は評価に直結させず、事前にテーマを共有することで質の高い対話が実現できる
- 専用のツールを使いスケジュールを管理することで、参加者と運営側の双方の負担が減り、クロス1on1の運用が継続しやすくなる
自社の課題に合わせてクロス1on1を効果的に取り入れ、風通しの良い組織づくりを進めていきましょう。


