テレワークで生産性を向上できない原因とは?生産性低下を防ぐポイントと業務効率化の成功事例を紹介

- テレワークで生産性が低下する原因を知りたい
- テレワークでも生産性向上させるコツが知りたい
- テレワークの成功事例を知りたい
政府による働き方改革の推進や新型コロナウイルスの影響により、テレワークを導入する企業が増加しました。テレワークは柔軟な働き方ができる一方で、生産性が上がらないという課題が顕在化しています。
内閣官房ホームページ「コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ」では、在宅勤務での生産性について以下のように報告されています。
日本の労働者と企業に対し、職場勤務と比較した在宅勤務の生産性を問うたところ、「在宅勤務の方が生産性が低い」と回答した割合は、労働者82.0%、企業の92.3%。
そこで本記事では、テレワークでの生産性について、次のポイントを中心にお伝えします。
- 【この記事でわかること】
- テレワークで生産性を向上できない原因
- テレワークで生産性を向上させるポイント
- 業務効率化の成功事例
本記事が、テレワークにおける生産性を向上させる一助となれば幸いです。
テレワークで生産性を向上できないといわれる原因5つ
なぜ、テレワークでは生産性を向上できないといわれるのでしょうか?その原因は次の5つです。
1. 長時間労働になりやすい
原因の一つとして、長時間労働になりやすいことが挙げられます。
テレワークでは、仕事とプライベートの区別があいまいになりがちです。オフィスでは定時に帰宅することが一般的ですが、家では「もう少しだけ」とメリハリなく働くことが可能となります。。
たとえば、パソコン作業の合間に家事をするなど、結果的に長時間労働になりやすく、生産性を下げる大きな原因です。
さらに、時間外労働や休日勤務をしたにもかかわらず、申告をしない「隠れ残業」も発生しており、企業側で把握できない長時間労働も増えている現状があります。
2. 快適に働ける環境が整備されていない
従業員の自宅には、快適に働ける環境が整っていないことが多いです。オフィスには仕事をするのに快適な通信環境や必要な設備が整っていますが、自宅の環境ではそうはいきません。
たとえば、作業用のデスクや椅子がなく、ダイニングテーブルなどの家族共用のものを代用している場合もあります。また家族やペットの音の問題によっても、作業を中断させることが考えられます。
この場合、長時間での作業が難しく集中力が保てず、生産性を下げることになりかねません。
3. コミュニケーションの機会が少ない
チームとのコミュニケーションの機会が少ないことも一つの要因です。
オフィスでは隣の席の同僚や上司とすぐに話や相談ができますが、テレワークではそれが難しくなります。対面で素早い情報交換ができないことも、理由の一つです(内閣官房による「コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ」より)。
チャットやメールを使用してもすぐに返事が来るとは限らず、相手の表情が見えないため細かなニュアンスが伝わりにくく、誤解も生じやすいです。
このような状況では、チームの連携が取りにくくなり、仕事の効率が下がります。
4. モチベーションが低下しやすい
従業員のモチベーションが低下しやすいことも関係しています。
それぞれの場所で仕事をするため、一人で業務することになり孤独感を抱きやすいです。周囲の目がないため、緊張感や張り合いがなくなり集中できなくなる可能性もあります。
また、オフィスでは同僚との雑談やランチなどがあり、それが仕事の息抜きになりますが、自宅ではそのような機会が少ないです。このような状態が続くとモチベーションを保つのが難しくなります。
5. 勤怠管理や人事評価制度が適正でない
テレワークでは、勤務時間や成果の把握が難しいです。オフィスでは上司が直接部下の働きぶりを見られますが、リモートではそうはいきません。これが勤怠管理や人事評価の難しさにつながります。
たとえば、担当業務が予定通り進んでいるのか、チーム全体の動きはどうなのか、進捗確認が難しくなります。仕事ぶりを把握しきれていないため不適切な評価をしてしまう可能性があり、それが社員のモチベーションの低下を招きかねません。
テレワークで生産性向上させるためのポイント7つ
それでは、テレワークで生産性を下げないためにはどのようにしたらいいでしょうか?ここでは、テレワークで生産性を向上させるためのポイントを7つご紹介します。
1. チームでテレワークのルール設定
テレワークを成功させるためには、チームで明確なルールを設定することが重要です。チーム全体が同じ方向を向いて働け、一体感が出るためです。
たとえば、業務の予定や日報を共有したり、会議の頻度や報告のタイミングを決めるなどが挙げられます。また、チャットやメール送信を控える「集中タイム」を設定したり、深夜・休日の連絡を控える「つながらない時間」をルール化したりすることも有効です。
このようにチームのルールを設定することで、チームメンバー同士の相談や仕事の進め方がスムーズになり、生産性向上が期待できます。
2. 業務の進捗管理を見える化する
業務の進捗管理を見える化することも生産性を上げるポイントです。誰がどの仕事をしているのかを把握することで、チーム全体の動きがわかりやすくなります。
もし業務の進捗が滞っていたり問題が起きた場合、それぞれの動きが見えれば、適切に仕事を割り振ったり、上司が相談に乗ったりなど早期に対処できます。
仕事の効率を上げるためにも、業務を見える化する管理ツールの導入もオススメです。
3. コミュニケーションを活発にする
テレワークでも、コミュニケーションを活発にできる環境を作ることが重要です。コミュニケーション不足は孤独感を誘発させたり、聞きたいことが聞けずチーム内での連携がうまく取れなかったり、生産性を下げる大きな原因になりかねません。
コミュニケーションの活発化には、定期的なオンライン会議や1on1を設定し、頻繁に情報共有をしましょう。また、あえて非公式な雑談の場を設けることも、チームの連携の強化に有効です。
4. ペーパーレス化やITツールを導入する
テレワークでは、ペーパーレス化やITツールの導入が欠かせません。書類の提出や直接の対応が必要になると、その分受け渡し作業や運用の調整が必要になり、逆に作業工数が増大することも考えられます。
ペーパーレス化すれば書類の管理が簡単になり、必要な情報にすぐアクセスできるため工数削減やタイムラグの解消につながるでしょう。
電子契約サービスやビジネスチャットツール、Web会議、オンラインストレージを使えば、どこからでもスムーズにコミュニケーションが取れ作業ができます。
最新のITツールを導入し、社員が効果的に利用できるように教育することが大切です。
5. 勤怠管理と評価制度を見直す
勤怠管理と評価制度の見直しも必須です。なぜなら周りから勤務態度が見えにくくなり、それに伴い正当な評価がしにくくなるためです。評価に対する不満足感が発生しやすいだけでなく、本人の自己管理力が下がることもあります。
勤怠管理では出退勤の管理ができるシステムの導入を検討しましょう。隠れ残業が発生していないかをチェックすることも重要です。評価制度では、成果に重きを置くなどできるだけ公平な評価ができる仕組みに整えることが求められます。
6. 適切な健康管理や労働時間管理を行う
社員の健康管理や労働時間管理も重要です。テレワークにより身体活動量が減少すれば、生活習慣病など多くの疾患リスクの増加につながりかねません。
長時間労働や不健康な生活習慣を防ぐために、定期的な休憩や運動の推奨、健康相談の機会を提供しましょう。パルスサーベイを導入するなど、心身の健康をチェックすることも有効です。企業は健康管理のサポート体制を整え、社員が安心して働ける環境作りをしましょう。
7. テレワークとオフィス勤務のバランスを整える
テレワークとオフィス勤務のバランスを整えることもポイントです。それぞれのメリットを活かせれば、生産性向上につながります。全員が同じ場所で働く必要はありませんが、適度に顔を合わせることでチームの結束力が高まります。
たとえば、週に一度のオフィス出勤日を設けるなど、柔軟な働き方を推奨しましょう。従業員が最も効率よく働ける環境を提供するために、バランスの取れた勤務形態を考えることが必要です。
【コラム】テレワーク社員をケアして健康経営を実践するための施策
働き方の柔軟性が広がる中で健康経営を実現するには、出社する社員だけでなく、テレワーク社員への対応も必要です。テレワークは通勤時間が減り時間の効率化ができる反面、座っている時間が増え身体活動量が減っています。
オーストラリアの研究機関の調査(2011年)では、平日の座位時間は日本では7時間と世界20カ国で一番長いことがわかりました。座位時間が長いことにより、さまざまな生活習慣病、大腸癌や乳がんなど、死亡リスクが高くなることも報告されています。
こうしたテレワークによる健康課題を踏まえ健康経営を実践するためには、施策を打つことが大切です。
- セルフケア専門のオンラインプログラムの実施
- 運動機会を増やすイベント・制度の活用
- 福利厚生でスポーツジム利用補助
- 日々で感じた感謝や賞賛をメッセージにして送り合える
- やりとりがオープンに表示されるため社員の活躍を把握しやすい
- メッセージカードに「いいね」を押すことができる
- テレワークで生産性を向上できない原因は、働く環境の未整備やコミュニケーション不足、長時間労働になりやすいことなどがある
- 生産性を向上させるポイントは、ルール設定や業務の見える化やコミュニケーションの活性化、テレワークとオフィス勤務のバランスを整えることなどが挙げられる
- 健康経営を実践するためには、運動を促す支援によるテレワーク社員の健康ケアも重要
まずは従業員自身がすすんで運動不足を解消する意識づけをすることが重要です。そのためには、セルフケア専門のオンラインプログラムを実施して、教育を促しましょう。
また、運動機会を増やすためにイベントや制度を活用することも有効です。楽しみながら参加できれば、運動するハードルが下がり運動の習慣化にもつながります。また従業員同士で取り組めば、社内コミュニケーションの促進が可能です。
たとえば、歩数計アプリを活用して目標歩数の達成を競うなど、さまざまな施策が考えられます。福利厚生でスポーツジムを利用できる補助を提供することも一つの方法です。
従業員の健康ケアを実践し、企業全体の生産性を高めていきましょう。
【紹介】心理的安全性を高めるツール「PHONE APPLI THANKS」とは?

当社(株式会社PHONE APPLI)では、「PHONE APPLI THANKS」というサービスを提供しています。従業員間で感謝や称賛を"贈りあい"、組織のパフォーマンスを向上させるウェルビーイング経営推進サービスです。
【PHONE APPLI THANKSの特長】
日々の業務の中で感じた感謝や称賛をカードにして"贈りあう"ことで、従業員それぞれの様子が見えるようになり、認め合う組織風土を育めます。こうした風土が従業員間の心理的安全性や、働くことに対する幸福度を高め、離職率の改善にも寄与します。
【事例紹介】三井不動産株式会社|スーパーフレックス制度と対面・非対面のベストミックスで労働生産性を向上
三井不動産は約2000名の従業員が在籍する、日本を代表する総合デベロッパーです。住宅や商業施設、ホテル、オフィスビルなど、街を構成するあらゆる不動産を幅広く手がけています。
同社は2014年から働くための環境整備に取り組み、育児・介護を抱える社員を対象とした在宅勤務制度の導入やサテライトオフィスの活用などを推進。コロナ禍以降は、出社とリモートワークを柔軟に組み合わせた働き方を推進しています。
2022年4月には、全社員を対象とした「スーパーフレックス制度」と「リモートワーク制度」を導入。「チームで協働する時間」と「個人で業務遂行する時間」を意識しています。
また、リモートワーク制度は社員本人が業務特性に応じて生産性が高まる場所を自律的に選べ、「対面で実施すべき業務」と「非対面でも実施できる業務」を仕分けることでベストミックスを実現。
業務のクラウド化やペーパーレス化による就労環境の整備、コミュニケーション活性化のためのツール導入なども後押しとなっています。
三井不動産はこのような取り組みにより、女性活躍推進に優れた企業としても評価され、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「なでしこ銘柄」に3年連続で選ばれました。
【まとめ】テレワークで生産性を向上できない原因と生産性低下を防ぐポイント
本記事では、テレワークでの生産性向上について、以下のポイントを中心にお伝えしました。
働き方の柔軟性が求められる中、テレワークを有効活用することは企業にとっても重要です。生産性の低下を防ぐため、テレワークの環境整備や従業員のケアを怠らないようにしましょう。テレワークとオフィス勤務のバランスを整えたベストミックスが、生産性向上の鍵になります。
本記事が、テレワークを上手に活用するための参考として役立てていただけたら幸いです。