離職防止に有効な取り組み7つ|実行時の注意点や離職率が改善した成功事例も紹介

「離職率が高いので、何かしらの対策を打ちたい」
「離職防止に有効な取り組みを知りたい」
「離職率が改善した成功事例を知りたい」
昨今の少子高齢化の影響で、労働人口が減少し、従来に比べて人材確保が難しい時代に突入しました。また働き方の価値観が変わり、転職に対するハードルも下がっているため、人材の流動性も高くなっています。
このような状況で離職率が高くなると、人材を新たに確保するのも難しいうえ、既存の従業員の負担が増加してしまうでしょう。採用や育成にかかるコストもタダではありません。最悪の場合、事業継続が困難になる可能性もあります。
また離職率は、求職者が重視するポイントの一つです。そのため、離職率の改善は安定した生産性を確保するだけでなく、採用活動にも良い影響を与えてくれます。離職防止に取り組むメリットは多いといえるでしょう。
そこで本記事では、離職防止に有効な取り組みについて、次のポイントを中心にお伝えします。
- 【この記事でわかること】
- 離職防止に有効な取り組みについて/a>
- 離職防止の取り組みを実施する際の注意点について
- 離職率が改善した事例について
本記事が、貴社の離職率改善の手助けとなれば幸いです。
離職防止に有効な取り組み7つ
ではさっそく、離職防止に有効な取り組みをみていきましょう。ここでは7つご紹介します。
1. 労働環境を整備する
まず、労働環境を整備することから始めましょう。
労働環境と一口にいっても、従業員を取り巻く環境はさまざまです。
テレワークや時短勤務、フレックス制など、柔軟な働き方を求める人が増えています。従業員のモチベーションを上げるためには、従業員が希望する働き方を取り入れることも必要になります。
離職率が高いと感じたときは、現状の労働環境を見直し、改善すべき点がないか検討してみましょう。
2. 給与体系や人事評価制度を見直す
給与体系や人事評価制度の見直しも人材定着のために有効です。
給与制度・人事評価制度は、従業員がわかりやすいもの、納得できる内容になっているか確認しましょう。
企業の中には正社員だけでなく、非正規雇用の待遇改善を実施する会社も増加しています。正社員であろうと非正規であろうと、自社にとって必要な人を見落とさないことが重要です。
待遇の改善を求めて、より条件のいい会社に転職する方は多い傾向にあります。給与や福利厚生、休暇などの待遇は、従業員の生活に直結するものだからです。同じ地域や職種の競合他社と比べて魅力が少ない場合は、転職を検討する人が増加しやすいです。
待遇改善を求めて転職される方が多い場合は、現状の待遇を見直し、可能な限り改善を図ることが得策といえるでしょう。
3. 職場のコミュニケーションを活性化させる
職場のコミュニケーションを活性化させる方法も、離職防止の効果が期待できます。職場でのコミュニケーションが不足すると、人間関係で不安や不満が生じ、離職につながる原因になってしまうからです。
コミュニケーションが活性化して自分の意見を自由に発言できる状態は、従業員にとって働きやすい職場となり、モチベーションアップややりがいにつながるでしょう。もし、辞めたいと感じる問題が起きたときも、相談して意見を交換することで問題解決できる可能性も高くなります。
また、職場のコミュケーションを向上させるために、社内イベントやコミュニケーションツールを活用することもオススメです。
4. 採用活動や人材育成施策を見直す
採用活動や人材育成施策を見直すことも重要です。
離職原因のなかには、採用時のミスマッチがあったり、人材育成に関するシステムができていない、うまく活用できていないことも考えられます。
ミスマッチを防ぐためには、採用時に企業理念や人材育成方針をきちんと伝え、共有することが必要です。応募者が知りたい情報を伝えてミスマッチを防ぐことは、企業にとって育成コストの削減にも繋がるので非常に有意義です。
またスキルアップやキャリアステップなど、長期的なキャリアを見通せるとモチベーションの維持につながり、離職を防ぐ効果があります。
従業員が10年後の将来を想像できるシステムや育成計画になっているか、見直してみましょう。
5. 上司のマネジメントスキルを育成する
管理職のマネジメントスキルを育成して、部下との関わり方を改善する方法も有効です。
よくある離職理由のひとつに、上司との関係性やトラブルがあります。上司への不満や業務への不安などはもちろん、なんらかのハラスメントが起きている可能性もあるかもしれません。
上司から部下への適切なマネジメントは、従業員との信頼関係を作り、やる気ややりがいを育ててくれます。部下の資質を引き出せる管理職を育成することは、会社にとって重要なポイントといえるでしょう。
管理職を対象とした研修等の実施でマネジメントスキルを育成し、部下との関係性を向上させることで、離職を防ぐ効果も期待できます。
6. 福利厚生や研修制度を充実させる
有給休暇や育休、各種休暇、メンタルサポートなどの福利厚生や、スキルアップやキャリア形成のための研修制度を充実させることも効果があります。
休暇などの福利厚生や自身のスキルアップの研修などは、従業員にとって生活に直結するため、メリットを感じやすいです。内容によっては、昇給と同程度の効果がある場合もあります。
まずは、現状の福利厚生や研修制度に改善点があるかどうかを調べましょう。
「現行の制度は魅力的か」
「他にどのような制度があったら嬉しいか」
「スキルアップのために必要と思われる研修は何か」
などのアンケートを取るのもオススメです。
7. 離職防止に役立つツールを活用する
離職防止に役立つツールを活用することも効果が期待できます。ツールの一例には、従業員満足度チェックやストレスチェック、パルスサーベイがあります。
ツールを活用することで、従業員の状況が把握しやすくなり、離職の兆候がある従業員に対して、早期のアプローチが可能になります。
離職理由を探るヒントにもなり、離職の芽を摘むことにもつながります。自社の離職原因が絞り込めない場合などにも有効です。
離職者の傾向をデータで分析したい、外部業者の力を借りたい場合は、外部ツールの使用も検討してはいかがでしょうか。
「パルスサーベイ とは」を内部リンク
離職防止の取り組みを実行するときの注意点5つ
離職防止の取り組みを実行する際に、注意すべき点についてご紹介します。
1. 自社が抱える離職の原因を把握する
まず、自社における離職の原因を正確に把握しましょう。次に挙げるのは、離職理由で多いものです。
- 労働条件に不満がある
- 給与に不満がある
- 職場の人間関係に問題がある
- やりたいことと実際の業務にギャップがある
- 尊敬できる上司や先輩がいない
- 周囲から過剰なプレッシャーがある
- 将来のキャリア形成が見込めない
- 社風や職場の雰囲気になじめない
- 企業の将来に危機感を覚えている
たとえば労働条件や給与に不満がある場合と、職場の人間関係に不満がある場合では、離職防止に必要な対策は異なります。
せっかく対策したとしても、的外れの施策では意味がありません。退職時面談、退職アンケートなどを活用して、離職原因を把握しましょう。
ただし退職理由を話したくないという人もいるので、無理強いは厳禁です。
自社の人間では本音を聞き出すのが難しいと感じた場合は、キャリアコンサルなど第三者機関にアウトソーシングする方法もあります。
2. 自社に合った離職防止策を導入する
離職原因を把握した上で、自社にあった離職防止策を導入しましょう。
いくら施策を打ち出したとしても、その方法が自社の離職原因と合っていなければ、離職率は改善されません。
離職原因はもちろん、自社の問題点などに合った離職防止策を選びましょう。
3. 離職防止策の実施自体を目的にしない
離職防止策は、効果があってこそやる意味があります。自社に合った施策を適切なタイミングで実施することが大切です。
ニーズに合っていない場合、逆に従業員側が負担を感じて効果がなくなる可能性があります。
離職防止策を実施するときは、実施すること自体が目的にならないように注意しましょう。
4. 給与や待遇の改善だけで解決しようとしない
離職率の高さは「給与や待遇を改善すれば解決する」かというと、そうでもありません。
給与や待遇など、対策しやすい方にいきがちですが、従業員が離職を決意する場合は給与だけでなく、総合的に考えて会社に残るデメリットが上回ったときです。
とくに昨今では給与だけではなく、働き方と人生を楽しむことの両立を求める傾向にあります。やりがいがある仕事で楽しく働きたい、自分らしくキャリアを積んで働きたいなど、給与だけでは解決できない理由を抱えているかもしれません。
本当に従業員が求めているのは給与や待遇の改善なのかどうか、よく見極めるようにしましょう。
5. 離職防止策の長期的な模索と改善が要る
離職防止策は長期的な模索と改善が必要です。
離職率の改善は、施策を実施してすぐに効果が出るものではありません。施策を実施したあとは、効果があったかどうかを検証し、さらなる改善策を検討していく必要があります。
目先の成果を求めるよりも、長期的なビジョンを持ち、離職率改善を目指しましょう。
【紹介】心理的安全性を高めるツール「PHONE APPLI THANKS」とは?

当社(株式会社PHONE APPLI)では、「PHONE APPLI THANKS」というサービスを提供しています。従業員間で感謝や称賛を"贈りあい"、組織のパフォーマンスを向上させるウェルビーイング経営推進サービスです。
【PHONE APPLI THANKSの特長】
- 日々で感じた感謝や賞賛をメッセージにして送り合える
- やりとりがオープンに表示されるため社員の活躍を把握しやすい
- メッセージカードに「いいね」を押すことができる
日々の業務の中で感じた感謝や称賛をカードにして"贈りあう"ことで、従業員それぞれの様子が見えるようになり、認め合う組織風土を育めます。こうした風土が従業員間の心理的安全性や、働くことに対する幸福度を高め、離職率の改善にも寄与します。
【事例紹介1】株式会社レオパレス21|従業員の意識改革により新入社員の離職率を15%から9%弱に改善
株式会社レオパレスは不動産業を営む会社で、アパートなどの賃貸事業やリゾート施設の運営などを展開しています。
レオパレスではもともとOJTなどの全体研修がなく、教育は現場に任されていました。しかし現場管理職のスキルやタイプにばらつきがあり、上司と合わない場合は辞めてしまうという問題も。従業員からも教育に関する要望が高まっていました。
そこで管理職研修をはじめ、営業力強化研修、組織マネジメント研修など、部門や役職に応じた研修制度を導入。
さらに新入社員を中心に、従業員へのヒアリングを積極的に実施し、現場で解決できていなかった問題に対処できるような体制を整えました。
また、人材定着のためには、不動産業界では当たり前になっている長時間労働を是正する必要があると考え、「労働時間=評価ではない」と経営側から発信し、労働時間の短縮を目指しました。ワークライフバランスを重視し、「限られた時間で成果を出す人」を評価する労働環境を整備したのです。
その結果、新入社員離職率は15%から9%まで改善、有給休暇取得率も34%から70%近くまで改善に成功。
現場任せにせず、社長や人事担当の取締役が自ら率先して労働環境の整備を推進した点も、社内に働き方改革が浸透した理由のひとつといえるでしょう。
【事例紹介2】株式会社鳥貴族|理念の共有と部門を超えたフォロー体制で飲食業界トップの離職率低さを誇る
焼き鳥チェーン「鳥貴族」を運営する株式会社鳥貴族。離職率が低いイメージがある飲食業界において、鳥貴族は離職防止の仕組みづくりを徹底し、業界トップの離職率の低さをキープしています。
鳥貴族では採用の時点で、むやみに採用しないというこだわりを持っています。鳥貴族で活躍できる人材かどうか見極めることに注力し、採用のミスマッチを減らす方針です。
さらに入社1か月後に面接官による店舗訪問で、新入社員の様子をチェック。新入社員の育成を店舗任せにするのではなく、人財部でフォローし、直属の上司に相談しにくいこともヒアリングできる環境を作っています。
鳥貴族は組織に壁を作らず、本社では全員が一つの大部屋で仕事するスタイルをとっています。若手から役員まで、話しやすいフラットな社風を持っていることも、離職率の低さにつながっているのかもしれません。
【まとめ】離職防止に役立つ取り組みと実行するうえでの注意点について
本記事では、離職防止に役立つ取り組みと、実行するうえでの注意点についてお伝えしました。
- 労働環境を整備する
- 給与体系や人事評価制度を見直す
- 職場のコミュニケーションを活性化させる
- 採用活動や人材育成施策を見直す
- 上司のマネジメントスキルを育成する
- 福利厚生や研修制度を充実させる
- 離職防止に役立つツールを活用する
離職防止に役立つ取り組みを実行するうえでの注意点は、自社の離職原因を正確に把握し、自社に合った取り組みを選ぶことです。取り組みの方向性が間違っていると、逆効果になる可能性があるため、注意しましょう。
離職防止の取り組みは長期的なビジョンが必要です。実施した施策の成果を確認し修正しながら、改善に向けて取り組んでいきましょう。
従業員の離職を減らし、より力のある組織づくりのために活用していただけたら幸いです。