若手社員の離職防止に効果的な6つの対策|離職する理由や現代の若手社員の特徴も解説

「若手社員の離職が多いので何かしら対策したい」
「若手社員が離職してしまう本当の理由が知りたい」
「最近の若手社員の特徴や傾向について知りたい」
昨今の少子高齢化の影響で、労働人口が減少し、人材確保が難しい時代に突入しました。
また働き方の価値観が変わり、転職のハードルも下がっているため、人材の流動性も高くなっています。とくに若手社員の離職について問題視されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
厚生労働省で発表された資料によると、新規大卒就職者の3年以内の離職率は31.2%、およそ3人に1人が早期離職していることがわかります。
そこで本記事では、若手社員の離職防止に効果的な対策について、次のポイントを中心にお伝えします。
- 【この記事でわかること】
- 若手社員の離職防止に効果的に対策について
- 若手社員が離職してしまう理由について
- 現代の若手社員の特徴について
本記事が、若手社員の離職防止の手助けとなれば幸いです。
若手社員の離職防止に効果的な対策6つ
若手社員の離職防止には、以下のような対策が効果的だと考えられます。
1. 採用時のミスマッチを減らす
まず、採用時のミスマッチを減らすことです。
若手社員が離職する理由のひとつとして、「やりたい仕事と違った」「自分の考えていたキャリアと方向性が違った」という離職理由がよく挙げられます。若手社員が入社時に理想と現実の仕事にギャップを感じてしまうと、不満やストレスに繋がりかねません。
ミスマッチを防ぐためには、採用時に企業理念や人材育成方針をきちんと伝え、共有することが必要です。
たとえば入社前の見学会や先輩社員との座談会などの場を設けるのもよいでしょう。応募者が知りたい情報を伝えてミスマッチを防ぐことは、企業の育成コスト削減にも繋がります。
2. 企業の経営方針や課題を共有する
企業の経営方針や課題を共有することも大切です。
「自分の仕事がどこに繋がっているのか」
「会社がどこへ向かっているのかわからない」
このような状態で働いていると、自分の立場や存在意義が曖昧になりモチベーションが低下しやすいです。
上司が定期的に企業の経営方針や今の課題を共有したり、組織における自分の立場や役割を伝えることで、若手社員が会社に貢献できていると実感できます。
このような「自分の仕事は会社の役に立っている」という意識は、若手社員の帰属意識を高めてくれるでしょう。
3. 労働条件・人事制度を見直す
労働条件や人事制度を見直すことも効果的です。
働き方改革の浸透により、テレワークや時短勤務、フレックス制など、柔軟な働き方を求める人が増えています。
従業員のモチベーションを上げるためには、従業員が希望する働き方を取り入れることも必要になります。現状の労働環境を見直し、改善すべき点がないか検討してみましょう。
また給与制度・人事評価制度は、従業員がわかりやすいもの、納得できる内容で運用できているか確認が必要です。
若手社員は待遇の改善を求めて、より条件のいい会社に転職する傾向があります。同じ地域や職種の競合他社の待遇と比べて魅力が少ない場合は、転職を検討する若手社員が増加しやすいといえます。
待遇改善を求めて退職する若手社員が多い場合は、現状の待遇を見直し、可能な限り改善を図ることが得策です。
4. コミュニケーションの機会を増やす
職場内のコミュニケーションの機会を増やすことも、離職防止に効果的です。職場でのコミュニケーションが不足すると人間関係で不安や不満が生じ、離職原因になりがちです。
コミュニケーションが活性化して自由に発言できる状態は、従業員にとって働きやすい職場となり、モチベーションアップややりがいに繋がります。もし、辞めたいと感じる問題が起きたときも、相談して意見を交換することで問題解決できる可能性も高くなります。
職場のコミュケーションを向上させるために、社内イベントやコミュニケーションツールを活用することもオススメです。また若手社員に対してメンター制度を導入し、上司以外の先輩社員に相談しやすい環境を作ることも有効です。
5. 上司のマネジメントスキルを伸ばす
管理職のマネジメントスキルを育成して、若手社員との関わり方を改善する方法も有効です。
よくある離職理由のひとつに、上司との関係性やトラブルがあります。上司への不満や業務への不安などはもちろん、なんらかのハラスメントが起きている可能性もあるかもしれません。
上司から部下への適切なマネジメントは、信頼関係を作り、やる気ややりがいを育ててくれます。部下の資質を引き出せる管理職の存在は貴重です。とくにまだ仕事に慣れていない若手社員にとっては、上司のマネジメント力が部下の成長を左右すると言っても過言ではないでしょう。上司のマネジメントスキルを磨くことは、会社にとって重要な施策のひとつです。
管理職を対象とした研修の実施でマネジメントスキルを育成し、若手社員との関係性を向上させることで、離職を防ぐ効果も期待できます。
6. 若手社員のキャリアデザインをサポートする
若手社員のキャリアデザインをサポートすることも重要です。
若手社員に「この会社でどうなっていきたいか?」という将来的なビジョンが見えると、モチベーションの維持や帰属意識の向上に繋がります。しかし、昇進やキャリアに将来性が感じられないと、「この会社で長く働き続けたい」「会社へ貢献したい」という気持ちがなくなりやすいです。
若手社員に向けて、どのようなキャリア形成が可能かわかりやすく提示しましょう。そしてキャリア形成のためのサポートや研修制度を明示し、活用促進することがポイントです。上司や先輩などお手本となるような身近なロールモデルから、数年後の自分がイメージできるのも大切です。
若手社員が離職してしまう主な理由5つ
若手社員が離職してしまう主な理由は、以下のようなものが考えられます。
1. 労働環境がよくなかったから
職場の人間関係や労働時間、福利厚生や休暇制度など、労働を取り巻く環境がよくないと感じた場合です。
現代の若手社員はワークライフバランスを重視した働き方を求める傾向にあります。労働時間が長く、休日や休暇の取得条件がよくないことは、若手社員の離職理由の中でもトップにあげられます。
また、職場でうまくコミュニケーションが取れない、仕事の負担が多くて上司や同僚も頼れないなどの人間関係がよくないことも離職原因になるでしょう。
「長時間労働が常態化していないか」
「休暇制度は適切に運用されているか」
「人間関係に問題がないか」
若手社員の離職率が高いときは、まず労働環境に問題がないか見直してみましょう。
2. 理想の仕事と現実が違ったから
理想の仕事と現実にギャップを感じた場合です。
仕事内容への不満は「雑務ばかりで面白くない」「ノルマが厳しすぎる」などがあげられます。入社前の期待と異なる現実に直面することが、早期退職の大きな原因のひとつといわれます。
また、自分の能力と与えられた仕事にギャップを感じたときや、仕事の内容と報酬にミスマッチを感じた場合も同様です。
このような理由による離職を防ぐためにも、採用時に企業理念や仕事内容を可能な限り伝えましょう。たとえば入社前見学会や先輩社員との座談会などの場を設けるなど、入社後にギャップを感じにくい状態を作ることが大切です。
3. 仕事にやりがいを感じられないから
仕事にやりがいが感じられない場合も、離職の原因になります。現代の若手社員は、仕事を通して会社や社会に貢献をしたいと考える人も多くいます。
「自分は何のために頑張っているのか」が不明瞭になると、その会社で働く意味を感じられなくなってしまうのです。
「頑張って仕事をしても、年功序列の評価基準が邪魔で評価されない」という場合も、モチベーションの低下を招きます。自分の仕事にやりがいや成長を感じられず、さらに待遇もよくない場合は離職の原因になるでしょう。
それぞれの能力に応じた目標設定や仕事内容、環境整備を実施し、若手社員がイキイキ働ける状況を作ることがポイントです。
4. 自分の成長を感じられないから
自分の成長が感じられないからという理由もあります。
現代の若手社員は、どこでも通用するスキルを身につけたいと考えています。
現代は終身雇用が当たり前ではない時代です。そのため若手社員の時分に、社会人として生きていくためのスキルを身につけたいと考える若手社員が多いのです。
漫然と仕事をこなして特別なスキルを身につけていない状態で30代を迎えることに抵抗を感じる若手社員は少なくないでしょう。
このまま会社で働いていても自分の成長が見込めないと感じた場合、離職リスクが高まります。
このような若手社員を増やさないために、人材育成方針をわかりやすく示したり、研修などスキルアップのための制度を整備することも検討しましょう。
5. 1つの企業に依存したくないから
最近の若手社員の中には一つの企業に依存せず、キャリアを築きたいと考える人もいます。
キャリアを企業に依存するのではなく、自分自身のキャリアとして持ち、企業と対等な関係を築きたいという考え方です。
就活生の大半は、将来の転職を視野に入れて就職先を選んでいます。離職を完全にゼロにすることは難しいですが、マイナスイメージを抱えた状態での離職は企業へのダメージになります。
企業は今までの採用活動や人材育成方針を見直し、新たな人材戦略の仕組みを考える必要があるでしょう。
現代の若手社員の特徴5つ
現代の若手社員が重視している価値観や働き方には、どのような特徴があるのでしょうか。若手社員には以下のような傾向が見られます。
- プライベートの時間を重視する
- 「褒められたい」と承認欲求が高い
- 努力よりも効率を優先する
- 考える前にネットで調べる
- 転職自体に抵抗がない
まずプライベートの時間を大切にする人が多い傾向にあります。仕事への責任感がないわけではなく、定時内で与えられた責任を果たしつつ、プライベートの時間はしっかり確保したいという考え方です。また、「認められたい」「褒められたい」という承認欲求が高い人が多い傾向もあります。
そしてインターネット検索が当たり前の世代なので、インターネットによる情報収集能力、収集した情報を処理する能力が非常に高いです。「タイパ」や「コスパ」など、効率を優先する人も多いでしょう。
そのため自分の中で考えて答えを出すよりも、検索して答えを見つける、正解を探す、という感覚を持っていることも特徴のひとつです。
また終身雇用が当たり前でなくなったこともあり、現代の若い世代は転職に対する抵抗がない傾向もあります。
このような現代の若手社員の特徴を踏まえて、教育や研修、関係構築に活かしていきましょう。
【コラム】早期退職者の損失コストは1人あたり150万円以上!
採用後早期退職者が多い場合、企業にどのくらいの損失があるかご存知でしょうか。
入社後3か月で早期退職した場合、1名あたり185万円前後のコスト損失があるという試算があります。
ここには採用経費などの直接経費だけでなく、在籍中に支払った給与や社会保険料、指導にあたった教育担当者の人件費や研修費用なども含まれます。
金額 |
内容 |
|
採用経費 |
62.5万円 |
求人広告の掲載料 採用ツールの利用料 会社説明会等の開催費用 採用担当者の人件費 |
在籍費用 |
112万円 |
離職者の人件費 社会保険料の損失 |
教育研修費 |
12.5万円 |
教育、研修など外部研修 教育担当者の人件費 |
さらに退職した人の分、新たな人材を採用しなければならないため、再度コストをかける必要があります。
なお、新入社員が入社3年で辞めた場合、損失は500万〜1,000万円になるという試算もあります。
早期退職者の増加は退職者だけではなく、他の社員のモチベーション低下や離職にも繋がりかねません。会社のイメージや評価が低下する可能性すらあります。離職率を公表している求人サイトもあり、離職率が高い企業には人材が集まりにくくなる傾向があります。
このように早期退職者が増えることは、単純な損失コスト以上に企業にダメージを与える可能性があるといえるでしょう。
【紹介】心理的安全性を高めるツール「PHONE APPLI THANKS」とは?

当社(株式会社PHONE APPLI)では、「PHONE APPLI THANKS」というサービスを提供しています。従業員間で感謝や称賛を"贈りあい"、組織のパフォーマンスを向上させるウェルビーイング経営推進サービスです。
【PHONE APPLI THANKSの特長】
- 日々で感じた感謝や賞賛をメッセージにして送り合える
- やりとりがオープンに表示されるため社員の活躍を把握しやすい
- メッセージカードに「いいね」を押すことができる
日々の業務の中で感じた感謝や称賛をカードにして"贈りあう"ことで、従業員それぞれの様子が見えるようになり、認め合う組織風土を育めます。こうした風土が従業員間の心理的安全性や、働くことに対する幸福度を高め、若手社員の離職防止にも寄与します。
【事例紹介】株式会社ビースタイル|職場のコミュニケーションの改善で20%の離職率を8%に
株式会社ビースタイルは総合人材サービス業を運営している会社です。ビースタイルでは20%に達していた離職率を、3年で8%まで改善しました。
同社で問題となっていたのは、職場コミュニケーションがスムーズに取れていないことでした。そこでコミュニケーションの問題を改善するために、以下のような取り組みを実施しました。
- 感謝の気持ちを表す「バリューズアワード」
- 幹部に意見を伝える「全社日報」
- マネージャーと1対1の面談「1ON1」
これらは上司と部下や同僚だけでなく、タテ・ヨコ・ナナメの全方位に対するコミュニケーションを目的として工夫されたものです。他にも運動会などの社内行事も積極的に取り入れ、コミュニケーションの改善を図りました。
このような取り組みが功を奏し、徐々にコミュニケーションが改善されると、今まで存在していたものの形骸化していた福利厚生や評価に関する制度が活用され始めたのです。
「選択式時短勤務制度」
「69ファミリーシフト※」
「新規事業プランコンテスト」
など、従業員のワークライフバランスやモチベーションアップに関する施策が活用され、離職率低下へさらなる好循環を生み出しました。
このような相乗効果で、離職率が大幅に改善したといえるでしょう。
※社員が午前・午後6時~9時は在宅する取り組み
【まとめ】若手社員の離職防止に効果的な対策6つ
本記事では若手社員の離職防止に効果的な対策について、次の6つを紹介しました。
- 採用時のミスマッチを減らす
- 企業の経営方針や課題を共有する
- 労働条件・人事制度を見直す
- コミュニケーションの機会を増やす
- 上司のマネジメントスキルを伸ばす
- 若手社員のキャリアデザインをサポートする
若手社員の離職防止には、採用時のミスマッチを減らすこと、企業の経営方針や課題を共有することで当事者意識を持たせ、帰属意識を高めることが重要です。
また入社後は育成方針や上司とのコミュニケーション、キャリアのサポートなど、モチベーションを保つような取り組みがポイントとなるでしょう。
若手社員の離職は、コスト面や会社のイメージなどに大きな損失を与えます。転職への意識が高い世代であるため離職をゼロにすることは困難ですが、マイナスイメージを抱えたままの離職は避けるようにしたいですね。
若手社員の離職を減らし、より力のある組織づくりのために活用していただけたら幸いです。