ウェルビーイング経営の導入を検討した際に知っておくべき課題とは
- ウェルビーイング
「社員のモチベーション向上のために、ウェルビーイング経営を導入したい」
「導入に失敗したくないので、ウェルビーイングにどのような課題があるのか知っておきたい」
「ウェルビーイング経営を成功させるためのコツを知りたい」
「幸福」と訳されることの多いウェルビーイング。人が身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることをあらわす概念です。昨今では、ウェルビーイングの考え方を「企業経営」に取り入れて、社員の健康や幸せにフォーカスする企業も増えています。
しかし、せっかく導入するのなら失敗は避けたいところです。そこで本記事では、ウェルビーイング経営について、以下のポイントを中心にお伝えします。
ぜひ本記事の内容を、自社のウェルビーイング経営の導入にお役立てください。
ウェルビーイングを導入するうえでの課題とは?
さっそく本題の「ウェルビーイング導入の課題」をご紹介します。特に押さえておきたい課題は次の4つです。
- 労働法を遵守できる環境を作る
- ヘルスチェックを導入する
- 福利厚生の見直し
- ウェルビーイングを実現するためのツールの導入
1. 労働法を遵守できる環境を作る
1つ目は「労働法を遵守できる環境を作る」です。ウェルビーイング経営を導入する大前提として、労働法を遵守する必要があります。しかし、労働法が遵守されていない会社は意外と多いです。
たとえば「1日の労働時間が8時間を超えている」「有給休暇が取りにくい」「健康診断が自己負担になっている」などさまざま。社員を雇用している場合は、労働法の基準を満たせているかどうかを今一度確認しましょう。
2. ヘルスチェックを導入する
2つ目は「ヘルスチェックを導入する」です。ヘルスチェックとは、社員の健康をチェックする制度で、たとえばストレスチェックなどがあります。これは常時50人以上の労働者を雇用している企業に義務付けられており、労働時間や環境、体調の状態についての調査票を作成し、アンケートを実施します。
その結果から「高ストレス者」がいた場合、医師や保健師を設置するなどの改善策を講じる必要があります。
3. 福利厚生の見直し
福利厚生を見直すことも大切です。健康保険や厚生年金といった法定内の福利厚生はもちろん、家賃補助や社食サービス、キャリア支援、子育て支援といった内容があげられます。
最近ではユニークな福利厚生も増えてきています。たとえば会社負担で、あまり話したことのない社員同士で食事に出かける「シャッフルランチ」や、介護のためにかかる交通費を支援する「親孝行支援制度」などさまざま。ウェルビーイング経営を実現するためにも、社員に喜んでもらえるような福利厚生を導入することが大切です。
4. ウェルビーイングを実現するためのツールの導入
ウェルビーイングというのはあくまで「概念」なので、実現できているのかどうかが見えにくいものです。社員の精神状態がどうなっているのか、社内の人間関係は円滑なのかなど数値化が困難です。
そういった場合、社内SNSなどのツールの利用がオススメ。社内SNSとは「ビジネス版のLINE」のようなもので、個人チャットやグループチャット、ファイルのアップロード機能などが備わっています。社内SNSの導入によって、社員同士のつながりが可視化され、それをもとにモチベーション向上につながる取り組みを実施できます。
ウェルビーイングの課題を解決して自社に導入すべき理由
ウェルビーイングの課題を解決することで多くのメリットを享受できます。具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しくみていきましょう。
1. 社員の満足度向上によるエンゲージメントの向上
1つ目は、社員の満足度向上によるエンゲージメントの向上です。労働時間や有給休暇を見直したり、社内コミュニケーションを促進したりと、ウェルビーイング向上の取り組みを行うことで、社員の満足度が向上します。
そうすることで「この職場で働き続けたい」と思う社員が増え、組織としての生産性アップにもつながりやすくなります。
2. 優秀な人材を確保でき、人手不足の解消に役立つ
2つ目は、優秀な人材を確保でき、人材不足の解消につながることです。ウェルビーイング経営が行われている、すなわち「社員満足度の高い職場」は、世間からの評判も高くなります。
そして採用にも良い影響を与え、優秀な人材が集まりやすくなるのです。さらに退職率を軽減できるため、人材不足解消に非常に有効な手段ともいえるでしょう。
3. 働き方改革の促進にも役立つ
3つ目は、働き方改革の促進に役立つということ。これまでの日本の会社の多くは「長時間労働をいとわない」というスタンスが普通でした。
しかし人材不足が叫ばれるようになった昨今。ただでさえ人材が不足している中で、社員がすぐに辞めてしまうような労働環境を続けている企業は、経営が危うくなってしまいます。
したがって「社員一人ひとりが満足して働ける社内環境」が重要になってくるのです。ウェルビーイング経営による社員のワークライフバランスの実現は、働き方改革の促進にもつながるでしょう。
4. 企業の評価が高まる
4つ目は、企業の評価が高まることです。社員の健康を重視した経営を行うことで、世間から「社員を大切にしている企業」と思ってもらえます。
企業のブランディングにつながり、たとえば「信頼できる企業」として株価にも良い影響を与えるでしょう。
また消費者から支持されると、商品やサービスも売れやすくなり、結果として企業利益の向上にもつながるでしょう。
ウェルビーイングを実現する上で必要な事とは?
ウェルビーイング経営において、どのような制度や施策を行うかは大切です。しかしそれ以上に、「何のためにウェルビーイングを実現するのか」というビジョンが大切になってきます。
会社全体を良くしようと広い目で見ていると、労働環境・社内コミュニケーションと「組織単位」で考えてしまいがちですが、それらの元にいるのは「ひとりの社員」です。たとえば離職を防ぎたい場合、「離職防止のためには賃上げだ、待遇改善だ」と短絡的に考えるのはオススメしません。一人の社員としっかりと向き合い、本当に必要なことは何なのかを考えましょう。
【事例】ウェルビーイングの導入事例
ウェルビーイングの課題や解決方法についてお伝えしましたが、実際の事例がないとイメージも掴みにくいかと思います。そこで、ウェルビーイング経営を実践している企業の事例をいくつかご紹介します。ぜひ自社のウェルビーイング経営にお役立てください。
味の素
味の素は、調味料や冷凍食品、即席麺といった食品を生産・販売している会社です。社員のセルフケアを徹底している同社。以前より働き方改革や健康経営に注力しており、2017年には「健康経営銘柄」に認定されています。
【ポイント】
- 健康診断のデータを蓄積し確認できるポータルサイト「My Health」を設置
- AIが栄養指導を行ってくれる健康管理アプリ「カロママプラス」の開発・運営
- 社員の不調を早期発見するため、最低でも年に1回「全員面談」を実施
ポータルサイトやアプリを活用することで社員の健康をサポートしている同社。また「全員面談」によって、社員のメンタル面もカバーしています。身体面・精神面ともにバランスよくアプローチを行うことで、ウェルビーイングを実現している事例です。
PHONE APPLI 萩
当社「株式会社PHONE APPLI」の事例です。当社では、エンジニア育成を目的としたオフィス「萩 明倫館 アプリ開発センター」を運営しており、ウェルビーイングの考え方を積極的に取り入れています。
【ポイント】
- 数々の志士を輩出した毛利家が子弟(若い人)教育のために開いた藩校「明倫館」にならい、自社のアプリ開発センターとして開設
- 若い人材の「絆」と「成長意欲」を大切にすることで、地方創生や新たな価値の創出を目指している
- 明倫館のコミュニティを通して、萩市や他IT企業とのコミュニティ形成を図っている
萩で生まれ育った若い人材の「絆と成長意欲」に惹かれ、当社のサテライトオフィスとして同センターを開設。人は「人と人とのつながり」と「成長したい」という気持ちがあれば、ウェルビーイングを感じることができると考えています。
【無料資料ダウンロード】健康経営とウェルビーイング
PHONE APPLIのウェルビーイング経営の考え方や取組みをご紹介します。この機会に自社の課題や大切にしたい価値観を見つめ直し、自分なりに一歩行動することから始めてみませんか?
PHONE APPLIが実施しているウェルビーイング施策
ウェルビーイングの施策事例として、当社 株式会社PHONE APPLIの取り組みをご紹介します。当社では、次の3つを主軸としたウェルビーイング施策を行っています。
1. もっともパフォーマンスを出せる環境で働く
- オフィス・在宅に関係なく働きやすい環境づくりを会社が用意
- 上司との1on1ミーティングを週1回実施
- コロナ禍でも毎日「オンライン雑談」タイムを設ける
2. 時間ではなく成果で評価
- 基本的にはコアタイムなしのフレックスタイム制を実施
- 7:00〜11:00の中で10分単位で出社時間を変更できる「快適出社制度」の導入
- 社員個人の目標や成果を「見える化」することで、風通しの良い組織づくり
3. お互いを尊重し感謝しあう文化
- クラウド上で「ありがとう」を贈りあえるサンクスカードの導入
- 感謝の気持ちを「見える化」することで、ウェルビーイング経営をさらに加速
社員がパフォーマンスを発揮するためには、本人が「身体・精神的に満たされた状態」でなければならないと考えています。それを実現するために、オフィス環境の整備はもちろんフレキシブルな働き方、社内コミュニケーションの円滑化など、さまざまな観点からウェルビーイング経営を進めています。
PHONE APPLI 初の書籍【ウェルビーイング経営!社員の笑顔が会社を成長に導く】
本書は、4年連続ホワイト500の認定を受けたPHONE APPLIが実践した、独自メソッドをこの一冊に詰めこみました。ウェルビーイングの第一人者 前野 隆司先生にもご協力いただき、お勧めの言葉も頂戴しています。ウェルビーイング経営にご興味をお持ちの方や悩まれている方、少しでも興味を持っていただけましたら、是非この機会にお手に取ってお読みください。
【コラム】ソーシャルウェルビーイングとは?
ウェルビーイングには「キャリア」、「ソーシャル」、「ファイナンシャル」、「フィジカル」、「コミュニティ」5つの構成要素があります。
なかでも、人間関係の幸福をあらわす「ソーシャル ウェルビーイング」は、組織運営において重要です。事実、離職する理由に「人間関係」と答える人は多く、各社が行うアンケート調査でも毎年3位以内にランクインするほど。
社員同士の人間関係が良好になれば、職場の雰囲気がよくなり、組織としての生産性アップにもつながります。ウェルビーイングの導入を検討している方は、まずは「ソーシャルウェルビーイング」について考えてみても良いでしょう。
【まとめ】ウェルビーイングの課題について
本記事では、ウェルビーイングの課題について、以下のポイントについてお伝えしました。
- ウェルビーイングの課題解決には、労働法の順守を前提とし、ヘルスチェックの実施、福利厚生の見直し、社内SNSの導入といった方法が有効
- ウェルビーイング経営には、従業員エンゲージメントの向上や人材不足解消、企業ブランディング向上などのメリットがある
- ウェルビーイングを実現するためには、「誰のための、何のための制度なのか」を明確にすることが大切
【無料相談会】ウェルビーイング経営についてお気軽にご相談ください
ウェルビーイング経営について、「何から始めればよいのかわからない・・」という担当者・経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような悩みをお持ちの方は、「ウェルビーイング経営(健康経営)コンサルティング」がオススメです。当社では、豊富なノウハウをもったコンサルタントと、自社で実践してきたウェルビーイングの知見を元に、最適なビジョンの実現を支援しています。
どのようなウェルビーイング施策を行うべきなのかを、サーベイの実施・分析からご提案いたします。また「ホワイト500」への申請や睡眠の質の向上、女性の健康づくりといった各種研修や講演も可能です。

【藤田友佳子:保持資格】・健康経営アドバイザー(東京商工会議所)・キャリアコンサルタント(国家資格)・第2種衛生管理者(国家資格)・メンタルヘルスマネジメント検定Ⅰ種・Ⅱ種 他